損益計算書を使った財務分析にチャレンジ

財務力を鍛えたい 2020年11月19日

損益計算書を使って財務分析をしてみよう

財務分析とは、損益計算書や貸借対照表の財務諸表の数値を用いて、会社の「収益性」「安全性」「活動性」「生産性」「成長性」を測ることです。財務分析の方法には「比率分析」と「実数分析」があります。

財務分析によって、企業の特徴を明らかにしたり、問題点を見つけて対策を考えたりすることができます。また、財務分析を行う際には、過去3期分程度の数値を基に、時系列で比較・分析することが大切です。

ここでは、中小企業庁「中小企業実態基本調査」(記事執筆時点で最新データ)を基に、比率分析をします。損益計算書のみで計算することができる「収益性」「成長性」に注目し、全産業の平均的な損益計算書の値と財務指標を計算してみましょう。

1)売上高総利益率(売上総利益÷売上高×100)

売上高総利益率は、会社の収益性の指標の1つとして、売上高に占める売上総利益の比率を表しており、2018年度の値は26.3%となっています。売上高総利益率が高い会社は、原材料を安く仕入れ、付加価値の高い商品にして販売していることが考えられます。

3期分の推移を見てみると、2018年度は対前年度比で1.0ポイント上昇しています。要因として、売上高に占める売上原価の割合が下がったことが挙げられます。

2)売上高営業利益率(営業利益÷売上高×100)

売上高営業利益率は、会社の収益性の指標の1つとして、売上高に占める営業利益の比率を表しており、2018年度の値は3.1%となっています。売上高営業利益率が高い会社は、本業でもうける力が強いといえます。

3期分の推移を見てみると、ほぼ横ばいとなっています。

3)売上高経常利益率(経常利益÷売上高×100)

売上高経常利益率は、会社の収益性の指標の1つとして、売上高に占める経常利益の比率を表しており、2018年度の値は3.8%となっています。売上高経常利益率が高い会社は、本業以外の投資活動や財務活動による採算まで含めて、総合的にもうける力が強いといえます。

売上高経常利益率が減少する場合、固定費が増える中で、売上が減少したことによって利益率が減少することが挙げられます。

4)売上高当期利益率(税引後当期純利益÷売上高×100)

売上高当期利益率は、会社の収益性の指標の1つとして、売上高に占める税引後当期純利益の比率を表しており、2018年度の値は3.0%となっています。売上高当期利益率が高い会社は、それだけ最終的に会社が処分可能な利益が多くなるため、新たな成長のための投資などに充てることができる原資が増加していることを表しています。

3期分の推移を見てみると、上昇しています。要因として、税引前当期純利益が低前年度比で増加していることを考慮すると、表には出てきていませんが、特別利益が2017年度に比べて大きかったのが要因と考えられます。

5)売上高増加率((当期の売上高-前期の売上高)÷前期の売上高×100)

売上高増加率は、会社の成長性の指標の1つとして、売上高が前期から当期にかけてどれだけ変化したかを表しており、2018年度の値は、前年度比8.2%減となっています。売上高増加率がプラスであれば成長している会社といえます。もちろん、利益にも注目する必要がありますが、利益が増加しているにも関わらず、売上高増加率がマイナスならば、対策を考える必要があるでしょう。

また、売上高増加率を見る際には、同業他社との比較も重要です。業界全体の売上高増加率が上昇している中で、自社の売上高増加率が相対的に低かったり、そもそも減少したりしているようであれば、何らかの問題を抱えている可能性があります。

財務分析の留意点

ここまで紹介してきた内容は、あくまで損益計算書のみに基づいた財務分析の一例です。実際に財務分析を行う際には、損益計算書だけではなく、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書などの定量的な情報(量的側面)に加え、会社の経営戦略などの定性的な情報(質的側面)も加味しなければ、会社の財務状況を的確に分析できない点に注意しましょう。

また、財務分析を行う際は、業界平均の財務指標と比較することも重要です。自社と業界平均の財務指標とを比較することで、自社の財務指標の推移が業界全体の傾向を反映したものなのか、それとも自社固有の理由によって生じているのかを把握できます。

この記事で紹介した、中小企業庁「中小企業実態基本調査」によると、業種別の損益計算書と財務指標の平均値(2018年度)は次の通りです。

以上
(監修 合同会社gtra and company 代表執行役 公認会計士 朝倉 厳太郎)

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2020年8月7日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

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