貸借対照表の見方を押さえよう

財務力を鍛えたい 2020年11月26日

貸借対照表で何が分かるの?

 財務諸表は、会社の一定期間の経営成績や決算期末時点の財政状態などを表すものです。財務諸表を見れば、「会社がどの程度利益を上げているのか」「借入金がどの程度あるのか」「資金に不足はないのか」などが分かります。

代表的な財務諸表として「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュ・フロー計算書」があります。この記事で注目するのは貸借対照表です。

貸借対照表には、ある時点(決算期末時点)の会社の財政状態が示されています。会社は借り入れや株式発行等により資金調達を行います。そして、調達した資金で商品を仕入れたり、機械装置を購入したりして資産を取得します。

貸借対照表は、会社の特定の時期の財政状態の記録ということができます。

貸借対照表を見てみよう

1)貸借対照表の全体像

ここで、架空のA社の貸借対照表を見てみましょう。

貸借対照表の右側(貸方)には、資金調達の結果が表示されます。資金調達方法としては、借り入れと株式の発行などが一般的であり、それぞれ負債と純資産として表示されます。

対して、貸借対照表の左側(借方)には、調達した資金の運用結果が表示されます。例えば、製造業であれば原材料や機械装置などを購入し、また小売業であれば商品を仕入れて事業活動を行っていますが、貸借対照表の左側には、こうした資産の保有状況などが表示されます。

貸借対照表では、まず「流動資産」「固定資産」「流動負債」「固定負債」「純資産」の5つの項目に注目してみるとよいでしょう。これらは、会社の財政状態の特徴を示すものであり、経営者や利害関係者などが貸借対照表を読む際に注視する、とても重要な数値です。

2)「流動」と「固定」の区分

貸借対照表では、資産と負債を「流動」と「固定」に分け、通常は流動資産、流動負債から先に表示しています。この流動と固定は、「正常営業循環基準」と「1年基準」に基づいて区分されています。

会社の一般的な営業の流れは、「現金→仕入→商品→売上→現金」となります。正常営業循環基準とは、このような営業の流れの中で使用される(通常の営業において生じる)資産・負債を、流動資産、流動負債に区分する基準です。この正常営業循環基準で流動資産、流動負債に含まれない資産・負債は、1年基準により流動と固定に区分されます。

正常営業循環基準によると、営業活動で用いる資産と負債を流動資産、流動負債として表示します。

1年基準によると、1年以内に現金化される資産を流動資産、返済期限が1年以内の負債を流動負債として表示します。

資産の部

1)流動資産

流動資産とは、現金・預金、受取手形・売掛金、棚卸資産などで構成される資産です。A社の流動資産は3億円となっています。流動資産は、棚卸資産とそれ以外の当座資産とに分けて考える場合があります。

2)固定資産

固定資産とは、建物・構築物・付属設備、特許権など、正常営業循環基準と1年基準に基づいて固定資産に分類される資産です。A社の固定資産は8億円となっています。

1.有形固定資産
有形固定資産とは、固定資産のうち、建物・構築物・付属設備、土地など有形の財産として会社が保有する資産です。A社の有形固定資産は5億円となっています。

2.無形固定資産
無形固定資産とは、固定資産のうち、特許権、借地権など無形の財産として会社が保有する資産です。A社の無形固定資産は1億円となっています。

3.投資その他の資産
投資その他の資産とは、関係会社株式、出資金、長期貸付金など本業以外の投資活動のために保有する資産です。A社の投資その他の資産は2億円となっています。

3)繰延資産

繰延資産とは、創立費、開業費、株式交付費など既に支出した費用のうち、現在から将来にわたって効果が見込まれるために経過的に貸借対照表に記載される資産のことで所定の期間を通して償却し費用化します。A社の繰延資産は5000万円となっています。

負債の部

1)流動負債

流動負債とは、1年以内に返済する借入金、支払手形・買掛金などです。A社の流動負債は3億円となっています。

2)固定負債

固定負債とは、社債、長期借入金などです。A社の固定負債は5億円となっています。

純資産の部

1)株主資本

株主資本とは、資本金、資本剰余金、利益剰余金など返済期限のない自己調達の資金です。A社の株主資本は3億円となっています。

2)その他の純資産

その他の純資産とは、株主資本以外の純資産で、その他有価証券評価差額金など評価・換算差額金、新株予約権により構成されます。A社のその他の純資産は5000万円となっています。

以上
(監修 税理士法人アイ・タックス 税理士 山田誠一朗)

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2020年6月25日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

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