
貸借対照表を使って財務分析をしてみよう
財務分析を行う方法には「比率分析」と「実数分析」があります。また、財務分析を行う際の主な着眼点には「安全性」「効率性」「収益性」「成長性」があります。 実際には、過去3期分程度の貸借対照表の数値を基に、時系列で比較・分析することが大切です。
ここでは、中小企業庁「中小企業実態基本調査」(記事執筆時点で最新データ)を基に、貸借対照表と損益計算書の一部項目で計算できる財務指標に注目し、比率分析をしてみます。モデルとして、全産業の平均的な貸借対照表の値と財務指標を計算してみましょう。全産業の平均的な貸借対照表と財務指標は次の通りです。
1)流動比率(流動資産÷流動負債)
流動比率は、会社の安全性の指標の1つとして、流動資産により流動負債をどれだけカバーできるかを表しており、2013年度の値は152.2%となっています。流動比率が100%を超えていれば、流動負債よりも流動資産が多く、会社の返済能力が高いことを意味します。
3期分の推移について確認すると、2012年度に低下し、2013年度は上昇しましたが、主な要因は受取手形・売掛金の増加、棚卸資産の増加です。これは売上高の増加が要因となっているといえます。売上高の増加は2014年4月に消費税が引き上げられたことによる駆け込み需要の影響が挙げられます。