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2018年10月19日

中小企業のためのM&A入門~取引の種類~

M&A 税務・財務・会計

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知られていないM&A取引の実体

M&Aといえば、一昔前は日本ではあまり一般的ではなかったのですが、2000年以降経営における有力な選択肢としてすっかり定着した感があります。大企業だけでなく、中小企業においても、M&Aが増えており、特に最近は海外市場に活路を求めるためや、事業承継のためのM&Aが増えているように思います。

増えているとはいえ、実際にM&Aを行ったことのない中小企業の経営者のほうがはるかに多いものです。そのため、いざM&Aをやろうと思っても、何を検討し、どのような人たちにアドバイスを求めるべきなのかわからないのが実情ではないでしょうか。

そこで、まずM&A取引の基本的な種類を紹介し、次回で実際に取引を検討する際に注意すべき事項をまとめます。

M&A取引の種類

M&A取引は、その取引の意図する効果と取引が準拠する法的形態によって、種類分けができます。以降では、こうした種類分けのうち、代表的なものを紹介します。

1)効果に着目した主なM&A取引の種類

1.水平的M&A
水平的M&Aとは、同業で競い合う企業同士の合併や買収をいいます。特に成熟産業においては、シェア拡大により価格決定力や規模の利益による経営効率を維持しようという目的で行われます。なお、M&Aを行った結果、当該企業の市場シェアが極端に高まる場合には、公正取引委員会への届出と同委員会の承認が必要になる可能性があります。

事業承継絡みのM&Aの場合には、企業の経営者が引退を考えている際に、同業の企業に事業や従業員の引き取りを依頼するケースなどが考えられます。

2.垂直的M&A
垂直的M&Aとは、生産活動の異なった段階で活動する企業間のM&Aをいいます。たとえば、自動車メーカーが、従来納入先であった部品メーカーを経営統合する場合がこれにあたります。垂直的M&Aは、川上と川下の企業が一体となって活動することで、コスト削減や技術共有、より円滑な生産・管理プロセスの構築などを目的としています。

また、事業承継絡みのM&Aは、サプライチェーンの一部である企業が事業継続を断念した場合に行われます。このような場合には、サプライチェーンの上位、もしくは下位にある企業が、事業継続を断念した企業を買収して事業を肩代わりするケースなどがあります。

ただし、実際には、すべての生産プロセスを自社で内製化するよりも、むしろアウトソーシングする方が効率的なケースもあるため、M&A後の効果を慎重に検討する必要があります。

3.事業多角化型M&A
事業多角化型M&Aとは、ある企業が他業種の企業との間で行うM&Aをいいます。本業の成長が見込めなくなった企業が新規事業への進出を目指して、M&Aを行うといったケースが考えられます。他業種といっても、より本業に近い業種・分野の企業とのM&Aと、本業とはかけ離れた業種・分野の企業とのM&Aがありますが、一般的に後者はM&A後の被買収企業(買収された企業)の経営の舵取りが、より難しくなります。

また、事業多角化型M&Aでは、いきなり企業を買収するのではなく、緩やかなM&A形態である、資本提携などの少数持分取引が行われるケースも多く見られます。

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