経営者としての見識を深めたい

2016年4月1日

成功する経営者に共通するたった1つのこと

リーダーシップ 経営者 自己啓発

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「経営者は孤独」。その本当の意味とは?

1)経営者の仕事

「経営者は孤独である」といわれます。ビジネスは判断の連続ですが、経営者が判断するものの中には会社の存続を左右する重要な事項もあります。難しい判断に迫られたときは、経営者仲間やメンター、幹部社員などに相談することができます。しかし、事の詳細まで打ち明けるのは難しく、最後は経営者の責任で決めなければなりません。「それが経営者の仕事である」。そう言ってしまえばそれまでのことですが、日々、経営者が相応のプレッシャーの中で仕事をしているのは確かです。

もっとも、経営者には自信があり、他人に相談をする時点では、既に自分の考えをある程度固めています。経営者がブレることなく、スピーディーに判断できるのは自信があるからこそですが、その判断が、常に経営者の独りよがりであってはいけません。

2)言われるうちが華

「言われるうちが華」というのは、成長過程にある人だけではなく、一定の地位に立った人にこそ大切な教訓です。嫌な思いをしながらお説教やダメ出しをしてくる人は、「もっと成長してほしい、自分と同じ失敗をしないでほしい」とこちらのことを真剣に考えてくれています。実に有り難いことです。

ところが、経営者になると、他人から指摘を受ける機会は減ります。その理由は2つあります。1つは経営者にお説教することを相手が遠慮するケース、もう1つは相手にされなくなってしまったケースです。前者のケースは、こちらが指摘を求める態度を示すことで変えられます。しかし、後者のケースは簡単に改善できません。相手にされないのは、こちらが無知である、話していてつまらない、得るものがなさそう、人間的に魅力がないなど複数の要素が絡み合った結果だからです。

前述した通り、経営者が自分に自信を持つのは大切なことです。ただし、重要な判断をする立場にあるからこそ、常に客観的な視点で自分自身をかえりみる機会が必要です。そして、そうした機会は他人からの指摘によって得られることが多いのです。にもかかわらず、他人から耳の痛い話をしてもらう機会がなく、自分の考えだけでビジネスを進めている経営者は本当の意味で「孤独」です。これは、文字通りの一人ぼっちという意味だけではありません。現状を改善したり、新しい発見をする機会を得ることができず、孤立無援でビジネスをしなければならないということです。

経営者は、己の考えにばかりこだわって排他的になってはいけません。経営者こそ、社内の誰よりも柔軟な視野を持ち、さまざまな考え方に触れる機会を求めましょう。本稿では、そのための大切なポイントを紹介します。

本当の「モテ経営者」を目指そう

1)クラスに1人の経営者?

経済センサスによると、日本には約380万社以上の会社があります(2014年7月時点)。1人の経営者が複数の会社を経営していることもありますが、一方で会社には社長の他にも複数の役員がいます。これを含めて経営者の人数を400万人とした場合、日本の人口は約1億2000万人なので、30人に1人の割合で経営者が存在します。学校でいえば1クラスに1人という感覚です。

人数的には決して少なくない経営者がビジネスでは特別扱いされるのは、大きな権限を持っているからです。経営者はビジネスを進めるために必要な“力”を持っています。その経営者を好んで敵に回そうと考える人はおらず、とりあえずは良好な関係を築くように努力します。その表れとして、社内の誰もが経営者の話に耳を傾け、指示に従います。部下に自分の話を途中で遮られることはなく、つまらない話をしても笑顔で最後まで聞いてくれます。社外でも同じようなことがあります。名刺を渡した瞬間に、「あ、社長さんですか!」と相手は恐縮した態度を見せ、接し方も特別なものとなります。

このように他人からチヤホヤされることが多い経営者は、自分のことを人気者だと思うかもしれません。しかし、その人気の正体は、経営者のビジネス遂行能力や人間的魅力ではなく、経営者という肩書であることが少なくありません。経営者の人気の正体を探ると、次のようにグループ分けすることができます。

経営者の人気の正体

2)モテ経営者

理想は「モテ経営者」です。人間的魅力とビジネス遂行能力を併せ持ち、経営者の権限を使ってパワフルにビジネスを進める経営者は魅力的です。別の表現をすれば、自然と人が集まる経営者、話していると元気をもらえる経営者、一緒にビジネスをしたいと思わせる経営者といったところでしょう。経営者が目指すのはこのグループですが、まだこの域に達することができず、日々、努力している経営者も多いはずです。ここで、残りの3つのグループの特徴を確認してみましょう。

3)探り合い

「探り合い」は、ビジネスライクな付き合いです。ビジネスではよくある関係で、こちらとしてもうまく付き合っていきたいところです。ただし、探り合いの相手は損得勘定で物事を判断するため、こちらが逆境のときに力になってはくれず、一気に離れていきます。「ピンチのときこそ本当の仲間が分かる」と言いますが、探り合いの相手は本当の仲間とはいえません。

4)飲み友達

「飲み友達」は、お友達感覚の付き合いです。「釣りバカ日誌」(やまさき十三氏)に登場する「ハマちゃん」と「スーさん」のような関係はかけがえのないものですが、ビジネスとは一線を画します。友人としていろいろな指摘をしてくれるでしょうが、そもそもこうした関係は幼なじみなどの友人と同じです。経営者ならば、ビジネスで深く付き合える相手を見つけたいものです。

5)面従腹背

「面従腹背」は、表向きは友好的に接しているものの、裏では何を考えているか分からない相手です。ビジネスでは互いの利害が一致せず、言葉と本音が違うことがあります。面従腹背はこれとは少し異なり、既に経営者のことを見限っていて、そもそも真摯に向き合う気持ちがない相手です。ただし、経営者に逆らうのは面倒であると考え、表向きは礼儀を尽くしてきます。

6)「論語と算盤」に学ぶ

経営者がモテ経営者になるにはどうしたらよいのでしょうか。日本の実業界の父と呼ばれる渋沢栄一氏の著書に「論語と算盤」があります。そこには、「経営者は、論語と算盤という一見相反する2つの要素を併せ持っていなければビジネスで成功できない」という教えが示されています。そして、モテ経営者とは、この論語と算盤、つまり人間的魅力とビジネス遂行能力の両方をバランス良く兼ね備えた存在です。経営者は、自分のレベルを認識し、足りない要素を補う努力をしなければなりません。

異見、進言しやすい経営者になる

1)多様な考え方を受け入れる

経営者も判断を間違えます。経営者だから100%正しいということはあり得ないのです。「失敗も覚悟の上で自分が信じた道を進む」。そんな覚悟を決めるときもあるでしょうが、通常は複数の選択肢から最善策を選びます。難しいのは、見る人によって選択肢が大きく変わることです。

経営者には1から3までの選択肢が見えているとします。しかし、他の人にはAからZまでの、視点の異なる多くの選択肢が見えていることがあります。このとき、「AからZまでの選択肢がありますよ」と、異見、進言してもらえるか否かが大きな分かれ道です。そのときに示されたAからZの全てが使い物にならなくてもよいのです。とにかく自分とは異なる感覚に触れ続けることで、多様な考え方を整理する器ができてきます。最も避けるべきは、異見、進言された内容を頭ごなしに否定することです。これをやってしまうと、相手は「この経営者に話をしても無駄だ…」と落胆し、何も言ってくれなくなってしまいます。

2)社内では参謀を育てる

経営者はお願いしてでも異見、進言を求めるべきです。そのために、まず社内においては参謀を育てましょう。参謀はビジネスの基本を知っていることが前提です。その上で、忠誠心とふてぶてしさを併せ持っていれば理想的です。忠誠心だけでは経営者に物申す勇気が持てません。同様に、ふてぶてしいだけでは自分勝手なことを言い始めます。そのため、2つの要素を併せ持つ人材が良いのです。そうした人材を見つけたら、良い意味で特別扱いをして大切にしましょう。参謀は、三顧の礼で迎えるべき存在です。

3)社外では人脈を広げる

社外においては、積極的に人脈を広げていきましょう。人脈には2つのタイプがあります。1つは、いわゆるメンターと呼べるタイプです。メンターは、ビジネスのことはもちろん、私生活についても相談できる尊敬すべき存在です。経営者にとって、メンターは心のよりどころであり、師匠であり、ロールモデルであり、そしてライバルでもあります。多様な考え方を吸収するために、できればメンターは異なる年代で2人以上持ちたいものです。「この人だ!」と思う人がいたら、「私のメンターになってください」と素直にお願いしてみるとよいでしょう。

もう1つは、自分のキャリアを高めてくれるタイプです。自分のことを目にかけてくれて、通常、自分の力ではすぐに到達できないステージに引っ張り上げてくれます。本業に関するチャンスをくれるのはもちろん、それ以外の分野でも、例えば比較的大きな会合での講演依頼など、経営者が己を磨くための良い機会を与えてくれます。頑張らないと対応できないことが多いはずですが、率先してチャレンジしてみるとよいでしょう。そこを起点に、さらに人脈が広がっていきます。

ただし、このタイプの人脈はボランティアでチャンスをくれるわけではありません。それなりにこちらを認めているからこそ、チャンスをくれるわけです。甘えてばかりで自分磨きを怠れば、すぐにお声が掛からなくなります。人脈はつくること以上に維持することが難しいものです。長く付き合ってもらうために、勤勉でいましょう。

自分磨きを怠らない

1)情報収集は本とネットから

経営者は、比較的本を読む機会が多いことでしょう。本業に関することはもちろん、それ以外の分野でもビジネス情報を把握しておかないと、他の経営者などと話をするときに無知をさらけ出すことになるからです。ただし、経営者が読書に多くの時間を費やすのは難しいため、読む本を選ぶ必要があります。定期的に大きな書店に行き、店内を1周して新刊や平積みになっている本をチェックするとよいでしょう。

また、経営者はもっとインターネット(以下「サイト」)を使って情報収集をしましょう。登録しているニュースサイトばかりではなく、世間で注目されているサイトをチェックし、定期的に訪れてみるのです。テーマにもよりますが、サイトで紹介されている記事は本よりもかなり軽い内容です。それが一般的に知られているレベルなので、少なくともそのレベルまではフォローしておきましょう。なお、サイトを見つけるには、フェイスブックなどのSNSを利用するのが早道です。あるサイトに「いいね」をすると、関連するお勧めのサイトが紹介されるので、手軽にサイトを見つけることができます。

2)オフビジネスがビジネスに生きる

歴史、スポーツ、お酒、アニメなど、ビジネス以外にも詳しい分野を持っていると理想的です。食事会などでうまく話すことができれば、相手に「歴史といえば○○さん。話が面白かったので、次の食事会もお誘いしたい」といった印象が残ります。自分磨きというとビジネスに関することを考えがちです。しかし、オフビジネスからビジネスにつながることも少なくないのです。

3)自分の実力を試す

こうして蓄えた知識が、自分の「得意分野(武器)」といえるレベルなのかを確かめる必要があります。ただし、社内で試しても意味がないため、経営者は異業種交流会などに参加して他流試合をしてみましょう。

異業種交流会などの集まりは、会ごとに参加者のレベルが違います。前述した、自分にチャンスを与えてくれる人脈はレベルが高いため、いきなりそこで試すのではなく、別の会に参加して予行練習してみることをお勧めします。こうして、相手の反応をうかがいながら自分のことをアピールしていくうちに、うまく伝えられるようになっていきます。

4)体調管理を徹底する

経営者にオンとオフの明確な違いはなく、シームレスに活動しています。良くいえば自分で働き方を決めることができ、悪くいえばダラダラと働きづめになる可能性があるということです。休みが取れない時期もあります。そのような繁忙期を乗り切るために、体調管理の徹底が必要です。

ランニングや水泳など適度な運動はもちろん、食事会などでも飲食の量をコントロールすることが大切です。毎晩のように食事会に参加している人がいます。「よく体力が持つものだ」と感心しますが、実際に一緒に食事をしてみると、食事もお酒も量は控え目です。加えて、話す時間も短いです。食事会の目的が情報収集と関係維持であれば、自分が酔ってしまっては意味がありません。また、自分がべらべらと話すよりも、良き聞き役に徹するのがよいわけです。

突っ込みどころを残しておく

インターネットで“バズらせる(話題になること)”コツは、完璧に仕上げず、あえて突っ込みどころを残しておくことのようです。突っ込みどころをユーザーが見つけ、「あれは何だ?」とつぶやき始めるからです。

経営者のブランドづくりもこれに近いところがあります。いかにも経営者然とした立ち居振る舞いでは愛嬌がなく、周囲は近寄りがたくなります。そこで、少しだけ間抜けなところも出しておくと、付き合いやすい相手として認識されやすくなるものです。

以上、経営者がさらに成長するために大切なポイントを紹介してきました。「モテ経営者」になるために、異見、進言を受け入れながら己の懐を広げると同時に、心技体を全て疎かにせず、己磨きを続けることが大切です。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年2月29日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
代表取締役 松田泰敏/日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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