権限委譲できるリーダーが会社を成長に導く
経営者としての見識を深めたい 2016年3月19日
権限委譲がリーダーを救う
優れたリーダーであっても、一人でできることには限界があります。特に、業務が高度化・複雑化している現在、リーダーには思考的・時間的・体力的限界が生じているように感じます。
- 思考的限界:新たな可能性を考える際、リーダーだけの思考では限りがある
- 時間的限界:ビジネスは複雑化しており、意思決定に時間がかかる
- 体力的限界:プレーヤーとしての役割で忙しく、マネジメントに注力できない
多くのリーダーは、メンバーに業務命令を出し、メンバーを自分の指示通りに動かすことでビジネスを進めています。しかし、このやり方では前述した3つの限界を突破することができません。
そこでリーダーに求められるのが、「権限委譲」型のリーダーシップです。ビジネスにおける権限委譲では、リーダーがメンバーに一定の権限を与え、その範囲において業務遂行の裁量を認めるものです。5W2Hの視点で業務命令と権限委譲を比較すると、次のような違いがあります。
権限委譲は「メンバーを信じ、任せ、見守る」スタイルであり、業務命令とは性質が違います。リーダーが権限委譲に成功すれば、リーダーはリーダー本来の役割に注力することができ、権限委譲されたメンバーのモチベーションも高まるでしょう。
権限委譲する前提として知っておきたい「SL理論」
リーダーは、権限委譲するメンバーの成熟度合いに応じて関わり方を変えなければなりません。
この考え方を分かりやすく示しているのが「SL(Situational Leadership)理論」です。SL理論では、「仕事志向(リーダーのメンバーに対する指示の出し方)」と「人間関係志向(リーダーのメンバーに対するサポートやコミュニケーションの度合い)」の 2軸で分割された4象限のうち、メンバーがどこに該当するのかを見極めて、リーダーが関わり方を変えるものです。
リーダーの関わり方は、「S1 教示型」→「S2 説得型」→「S3 参加型」→「S4 委任型」と順番になるのが基本です。この順番で進める理由は、次のような問題を回避するためです。
- メンバーが未熟であるにもかかわらず、リーダーが委任(権限委譲)してしまい、メンバーは戸惑うばかりである
- メンバーが成熟しているにもかかわらず、リーダーが細かな指示を出し続けてしまい、メンバーはやる気を失ってしまう
逆に、メンバーに新しい業務を任せるときは、再び「S1 教示型」からスタートすることもあります。