5Sの「清掃」は、共有スペースも進んできれいに
経営者としての見識を深めたい 2016年3月10日
「清掃」の意味とは何か
5Sの中で最も身近なのが、この「清掃」です。5Sで用いられる意味と一般的な意味が同じであるため、他の活動に比べて分かりやすく、社員に定着させやすいでしょう。
しかし、身近な存在である故、その内容ややり方が軽んじられていることもまた事実です。だからこそ、5S(あるいは3S(整理・整頓・清掃))の一環として「清掃」を進める場合には、改めて「清掃」の目的ややり方について、社員にしっかり理解させる必要があります。
5Sにおける「清掃」のポイントは、次の2つです。
- 職場内・道具・設備などの汚れを落とし、常にきれいな状態にしておく
- 汚れの発生を防ぐ
この2つのポイントには実に多くのことが含まれています。「清掃する対象はどこまでか」「きれいとはどんな状態のことをいうのか」「どれくらい汚れたら清掃すればいいのか」「きれいな状態を保つことで何が得られるのか、またきれいな状態でなかったら何が起きるのか」など、清掃に関する疑問を挙げれば切りがありません。
5Sを社員に定着させるためには、経営者自身がこれらの疑問に明確な答えを持っていなければなりません。
職場と家庭の清掃の違いを知る
壁・工具・機械設備・部品・材料・倉庫・通路・扉・天井・棚・トイレ・玄関など、職場内にある全てのものが清掃の対象になります。また、落とすべき汚れには、ごみやチリ・ホコリの他、油・材料の切れ端・ワックス・切粉・鉄粉・建築素材・シミ・汚泥・垢・塗料・接着剤・粘着テープ・ゴムなどさまざまなものがあります。
清掃場所が工場であれば、一般家庭とは違った汚れが大量に発生します。また、集めたごみなどを捨てる際にも、環境汚染や法令違反につながらないように特別な処理を行わなければなりません。さらに、作業場の専用道具は、特別な清掃が必要なものもあります。
いつ、誰が、どこを清掃するか
1)いつ
汚れが少なくても決まった時間・曜日に清掃を行う「定期清掃」と、汚れが発生したらすぐに清掃を行う「不定期清掃(臨時清掃)」を組み合わせることが理想的です。 特に、工場内の汚れは時間がたつにつれて落としにくくなるものが多いので、汚れたらすぐに清掃する意識を定着させましょう。 また、定期清掃の際には設備のメンテナンスを同時に行うと効率が良く、設備の劣化防止や不良品の抑制に役立ちます。
2)誰が
自分が関わる場所や使用する道具の清掃は、基本的に本人が行います。ただし、責任感や連帯感を高めるため、日替わり・週替わりの清掃担当を決めておくと大きな成果が期待できます。その際は、誰がどこの担当かをしっかり表示しておきましょう。
3)どこを
特に汚れが集中する作業場、人目につきやすい玄関、汚れやすいトイレなどを重点的に行います。また、災害時に使用する通路や設備そのもの、照明や窓ガラスなどがきれいだと精神的に安定するので、これらの場所にも力を入れます。
また、社員には、自分が関わる場所だけではなく、共有スペースの清掃も進んで実践する意識を持たせることが大切です。