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5Sの「清潔」は、いつでも、誰でも、どこででも

経営者としての見識を深めたい 2021年10月29日

「清潔」とは何か

一般的には「汚れがなく、きれいな状態」の意味で使われる「清潔」ですが、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)における「清潔」とは、3S(整理・整頓・清掃)ができており、業務に必要なものがいつでも使える状態を常に維持していることを指します。

業務に不要なものをなくし、必要なものが決まった場所に、決まった方法で保管してあり、それらがいつでも使える状態を保っている。この状態を常に維持して初めて「清潔」といえます。

つまり「清潔」に取り組むということは、すでに3Sが安定・定着していて、従業員の意識改革や企業の体制もある一定のレベルを超えたところに達しているということを表しています。

3Sを維持する清潔の重要性

これまで行ってきた3Sのうち、どれが欠けても清潔にはなりません。やり方が間違っていたり、従業員に本当の3S活動の意味が伝わっていなかったり、企業の体裁を整えるだけの表面的な3S活動だった場合、すぐに元の状態に戻ってしまいます。
初めて3Sに取り組んだときは、社内に大きな変化が見られるため、従業員にとっても経営者にとっても大きなやりがいがありますが、それらを維持する段階になるとそれほど変化はなくなります。同じことを高いレベルで続けていくには、経営者を含めた従業員全員にそれを遂行するための強い意志が必要です。

5Sに取り組んでいる企業の多くが3Sで止まってしまい、4S(整理・整頓・清掃・清潔)に進めていないことを考えると、「維持すること」がどれほど難しいかが分かります。

いつ行っても、どこを見ても、常にきれいであり続けている企業は、それだけで美しいものです。この段階まで来た企業の従業員は、そこで働いていることに誇りを感じ、高いモチベーションで仕事に励んでいることでしょう。そして、従業員全員が生き生きと働き、気持ち良く5Sに取り組んでいる企業を見た外部の人間は、その企業に大きな驚きと大きな魅力を感じます。

「いつ、誰が、どこで」から「いつでも、誰でも、どこででも」へ

3Sでは、基本的にものや設備を対象に「いつ、誰が、どこで」という視点で限定的に取り組んできましたが、清潔ではその範囲や対象が「目に入る全てのもの」になります。誰がやるとか、いつやるといった区切りや区別はありません。

4Sでは、社内の全ての人間が、目に見える・見えないにかかわらず、社内のあらゆる場所・あらゆるものに対して、いつでも積極的かつ継続的に3Sに取り組むことが求められます。言うのは簡単ですが、実際にこれらを行うには大変な労力と長い時間を要します。特に、3Sを維持するためには、真の意味での従業員の意識改革が必要です。1人でも「やらされている」と感じている人がいたら、その時点で清潔ではないのです。

「人」という観点で見た場合、清潔を保つのは、現場の従業員だけではありません。5Sでいう「人」とは、経営者はもちろん、パート・アルバイト、内勤の従業員、納入業者、外部委託企業の従業員、グループ企業の従業員、見学に来たお客様、従業員の家族など、社内にいる全ての人を指します。それらの人々が同じ意識を持って5Sに取り組んで、初めて清潔が保たれるのです。

「外部の人にまで清潔を求めることは不可能なのでは?」と思うかもしれませんが、ピカピカでごみ1つ落ちていない廊下に、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、ごみを捨てられる人はそうはいません。美しい環境と、それを守っている従業員を見れば、外部の人も「この環境を汚しては申し訳ない」とおのずと思うでしょう。

清潔を維持するためには、従業員全員がきちんと3Sの意味を理解し、心から美しい環境を保とうという意識で、毎日3Sを実践していることが必要です。特に経営者や役員は、現場の従業員以上に積極的かつ真剣に取り組むことが求められます。経営者が率先して窓を拭いていたら、周りの従業員はどう思うでしょうか。逆に、社長がたばこの灰を廊下に落としているのを見た従業員はどう思うでしょうか。

「自分1人くらいやらなくても大丈夫」と誰かが思った瞬間に社内の清潔は崩れ、最初からやり直しになります。そうならないためにも、3Sの時点から「いつでも、誰でも、どこででも」の実現に向け、意識改革を中心に真剣に取り組んでいきましょう。

「見える化」から「見せる化」へ

3Sでは「見える化」というのが1つのキーワードでした。大きな文字で表示し、色を変えるといった工夫をすることで、その意図や目的を目で見て分かるようにするのが「見える化」ですが、4Sではさらにそれを発展させ、「見せる化」というキーワードで清潔を維持していきます。

「見せる化」とは、そこで働く従業員だけではなく、例えば工場見学に来たお客様や取引先の従業員に対し、自分たちの取り組みの成果を見せる意識を持って取り組んでいくということです。他者に見せるためには、これまで以上に神経を使い、3Sを徹底させる必要があります。

道具や設備の役割や作業の方法を知らない人に「きれい」と感じてもらうためには、作業経験者にしか分からない、作業効率を重視した配置や表示をさらに一歩進め、誰が見ても「きれいで使いやすそうだ」と思ってもらえるよう工夫しなければなりません。「見える化」から「見せる化」へのステップアップは、常に改善と工夫が要求される5Sの核ともいえる重要な意識改革の1つなのです。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年10月11日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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