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5Sの「清潔」は、いつでも、誰でも、どこででも

経営者としての見識を深めたい 2016年3月11日

「清潔」の意味とは何か?

「整理・整頓・清掃」の3Sに「清潔」を加えたものが4Sです。これまで説明をしてきた3Sの各項目と「清潔」は、やや意味合いが異なっています。

通常「汚れがなく、きれいな状態」という意味で使われる「清潔」ですが、5Sにおける「清潔」とは、「3Sを維持すること」あるいは「3Sを維持している状態」のことを指します。そのため、企業の5Sが未熟で、2Sあるいは3Sの導入・定着を図っている段階では、この「清潔」の概念を考える必要はありません。「清潔」は、あくまで3Sの導入が完了し、それらを安定・継続して企業内に定着させた企業が着手すべきものなのです。

「整理」によっていらないものがなくなり、「整頓」によって必要なものが効率的かつコンパクトに収納され、「清掃」によってそれらが常にきれいな状態を保っている。これらが継続的に維持されていて、初めて「清潔」だといえます。

つまり「清潔」に取り組むということは、すでに3Sが安定・定着していて、社員の意識改革や企業の体制もある一定のレベルを超えたところに達しているということを表しています。

3Sを維持する清潔の重要性

これまで行ってきた3Sのうち、どれが欠けても清潔にはなりません。やり方が間違っていたり、社員に本当の3S活動の意味が伝わっていなかったり、企業の体裁を整えるだけの表面的な3S活動だった場合、すぐに元の状態に戻ってしまいます。

初めて2S、3Sに取り組んだときは、社内に大きな変化が見られるため、社員にとっても経営者にとっても大きなやりがいがありますが、それらを維持する段階になるとそれほど変化はなくなります。同じことを高いレベルで続けていくには、経営者を含めた社員全員にそれを遂行するための強い意志が必要です。

5Sに取り組んでいる企業の多くが3Sで止まってしまい、なかなか4Sに進めていないことを考えると、「維持すること」がどれほど難しいかが分かります。そのため、4S、あるいは5Sに取り組めている企業は、それだけで優良企業とみなされる傾向にあります。

いつ行っても、どこを見ても、常にきれいであり続けている企業は、それだけで美しいものです。この段階まで来た企業の社員は、そこで働いていることに誇りを感じ、高いモチベーションで仕事に励んでいることでしょう。そして、社員全員が生き生きと働き、気持ちよく5Sに取り組んでいる企業を見た外部の人間は、その企業に大きな驚きと大きな魅力を感じます。

「いつ、誰が、どこで」から「いつでも、誰でも、どこででも」へ

3Sでは、基本的にものや設備を対象に「いつ、誰が、どこで」という視点で限定的に取り組んできましたが、清潔ではその範囲や対象が「目に入る全てのもの」になります。誰がやるとか、いつやるといった区切りや区別はありません。

4Sでは、社内の全ての人間が、目に見える・見えないにかかわらず、社内のあらゆる場所・あらゆるものに対して、いつでも3Sを積極的かつ継続的に取り組むことが求められます。言うのは簡単ですが、実際にこれらを行うには大変な労力と長い時間を要します。特に、3Sを維持するためには、真の意味での社員の意識改革が必要です。1人でも「やらされている」と感じている人がいたら、その時点で清潔ではないのです。

「人」という観点で見た場合、清潔を保つのは、現場の社員だけではありません。5Sでいう「人」とは、経営者はもちろん、パート・アルバイト、内勤の社員、納入業者、外部委託企業の社員、グループ企業の社員、見学に来たお客さま、社員の家族など、社内にいる全ての人を指します。それらの人々が同じ意識を持って5Sに取り組んで、初めて清潔が保たれるのです。

「外部の人にまで清潔を求めることは不可能なのでは?」と思うかもしれませんが、ピカピカでごみ1つ落ちていない廊下に、何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、ごみを捨てられる人はそういません。美しい環境と、それを守っている社員を見れば、外部の人も「この環境を汚しては申し訳ない」とおのずと思うでしょう。

清潔を維持するためには、社員全員がきちんと3Sの意味を理解し、心から美しい環境を保とうという意識で、毎日3Sを実践していることが必要です。特に経営者や役員は、現場の社員以上に積極的かつ真剣に取り組むことが求められます。経営者が率先して窓を拭いていたら、周りの社員はどう思うでしょうか。逆に、社長がたばこの灰を廊下に落としているのを見た社員はどう思うでしょうか。

「自分1人くらいやらなくても大丈夫」と誰かが思った瞬間に社内の清潔は崩れ、最初からやり直しになります。そうならないためにも、2S、3Sの時点から「いつでも、誰でも、どこででも」の実現に向け、意識改革を中心に真剣に取り組んでいきましょう。

「見える化」から「見せる化」へ

3Sでは「見える化」というのが1つのキーワードでした。大きな文字で表示し、色を変えるといった工夫をすることで、その意図や目的を目で見て分かるようにするのが「見える化」ですが、4Sではさらにそれを発展させ、「見せる化」というキーワードで清潔を維持していきます。

「見せる化」とは、そこで働く社員だけではなく、例えば工場見学に来たお客さまや取引先の社員に対し、自分たちの取り組みの成果を見せる意識を持って取り組んでいくということです。他者に見せるためには、これまで以上に神経を使い、3Sを徹底させる必要があります。

見える化と見せる化の違い

道具や設備の役割や作業の方法を知らない人に「きれい」と感じてもらうためには、作業経験者にしか分からない、作業効率を重視した配置や表示をさらに一歩進め、誰が見ても「きれいで使いやすそうだ」と思ってもらえるよう工夫しなければなりません。「見える化」から「見せる化」へのステップアップは、常に改善と工夫が要求される5Sの核ともいえる重要な意識改革の1つなのです。

5S推進委員会の役割と主な活動

5S推進委員が先頭に立って整頓や清掃を行うことはもちろん、定期的に各工場や現場に出向いて現場の意見や活動状況を聞いたり、各現場の管理者やチームリーダー、時には経営者を呼んで5Sミーティングを行ったり、メーリングリストや社内報などを使って社員全員にミーティングの内容を報告するといった活動が効果的です。

また、現場の意見を直接経営者に伝えることも、社員のモチベーションアップに大きな効果をもたらすでしょう。他にも、5S推進委員会が中心となって行う活動は数多く存在します。清潔を維持するための主な活動は次の通りです。

1)5Sミーティング

部門・現場・工場の5Sチームごとに定期的にミーティングを開き、現状における不満や改善点など、5Sに関する現場の意見を聞きます。月1~2回の開催とし、議題は現状に関する不満や問題点と、それらを改善するための対策案に限定します。

2)5Sコンクール

定期的に5Sチームの活動を評価するコンクールを開き、積極的に5Sに取り組んできたチームや、優秀な実績を残したチームの功績と努力をたたえます。半年から1年ごとに行います。大規模に行う必要はありませんが、普段の報告会やミーティングとは異なる演出や報奨を行い、チームのモチベーションを高める工夫をしましょう。

3)5Sパトロール

清潔を維持するために最も重要な活動です。企業が作成した「5Sチェックシート」を基に、5S推進委員が各部門・職場・工場を定期的に視察・巡回し、採点します。

問題点や改善点を発見した場合は、ミーティング時に管理監督者やチームリーダーに報告し、5Sツールや清掃道具の改善・更新に役立てます。

5S推進委員が職場を見回ることで社員に清潔への意識を定着させ、5Sツールや清掃道具の消耗や欠品、5Sチェックシートそのものの不備などを発見し、設備面での改善を図ることができるでしょう。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年3月16日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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