経営者としての見識を深めたい

2016年4月28日

中小企業の事業承継。事業承継と相続

事業承継 組織運営

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事業承継と相続の問題

会社のオーナーには経営者としての立場と、個人としての立場があり、事業承継にはそれぞれの立場で異なる問題があります。

経営者の立場としては、経営権の承継の問題があります。事業承継では、会社のオーナーの座を移すことに加えて、経営権(自社株式など)を円滑に承継させることが不可欠です。

一方、個人の立場としては、相続問題があります。相続が発生すると、自社株式がオーナー自身の財産として評価されます。そのため、相続人間のもめ事が経営に影響を与えることもあります。

事業承継対策は、双方の問題を解消できる方法を検討する必要があります。

経営者の立場としての問題とその対策

1)経営の安定化のためには

株式会社の場合、会社法上、定款の変更や役員の選任といった経営に関する重要事項の決定には、株主総会での承認が必要です。もし、オーナーやオーナーと意思を同じくする家族や役員などの株主だけで承認に必要な議決権割合を確保できていないと、オーナーや取締役会で重要事項を決定しても株主総会で承認が得られない可能性があります。

従って、後継者が会社の重要事項を決定できるように株式(議決権)を集約し、経営の安定を図る必要があります。

そのためには、理想は議決権の2/3以上を確保する、つまり社外株主(オーナーと意見を異にする可能性のある株主)に議決権の1/3超を保有させないことです。それが難しい場合でも、最低限、議決権の1/2超は確保することが重要です。

また、オーナーの個人所有の土地や建物などを会社が賃借して事業に使用しているなど、経営上重要な個人所有の財産(自社株式以外)がある場合には、これらも後継者に承継しておいたほうが経営の安定化につながります。

2)株式の集約・分散防止対策

株式の集約・分散防止を図る方法の1つに、種類株式の発行があります。会社は定款に必要事項を定めることで、権利の内容が異なる株式を発行することができます。これを種類株式といいます。現在、発行が認められている種類株式の概要は次の通りです。なお、種類株式を新たに発行する場合は株主総会の特別決議、既に発行している株式を種類株式に変更する場合は全株主の同意が、それぞれ必要になります。

種類株式の概要

これらの種類株式をうまく活用することで株式の集約・分散防止を図ったり、事業承継直後の未熟な後継者の議決権行使を抑制したりすることができます。

例えば、株主が株式を譲渡や贈与しようとするときに、会社の承認が必要となる譲渡制限株式を発行することで、株式が譲渡や贈与によって分散してしまうことを防ぐことができます。

ただし、相続や合併などの一般承継による取得にはこの制限が適用されません。そのため、相続や合併などにより譲渡制限株式を相続した株主に対して、会社がその株式の売り渡しを請求できる旨を定款に定める必要があります。なお、この売渡請求は相続などがあったことを知った日から1年以内に株主総会の特別決議を経て請求しなければなりません。

オーナー個人の立場としての問題とその対策

1)「争族」の原因

通常、相続が発生すると相続人全員で遺産分割協議を行い、分割の内容を記した遺産分割協議書に署名押印をし、相続した財産の名義変更を行います。

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