中小企業の事業承継。 相続税額の把握
経営者としての見識を深めたい 2020年5月1日
相続に関する現状分析:相続税額の把握
事業承継時には、オーナーの個人の立場としての相続税についても考えていかなければなりません。
相続により自社株式を引き継ぐ場合、そのための相続税は事業承継のためのコストと捉えることができます。また、相続税の納付は金銭による一括納付が原則ですが、これを納付期限である相続発生後10カ月以内に納付する必要があります。相続税の納付資金をあらかじめ用意しておくことは、スムーズな事業承継を進めるための第一歩ともいえます。そのためには、オーナーに万一のことが生じた場合に必要となる相続税額を、大まかにでも把握しておくことが大切です。
相続が発生した場合の相続税額は、次の順番で計算されます。
- 1.課税遺産総額の計算
- 2.相続税総額の計算
- 3.各人の相続税額の計算
課税遺産総額の計算
土地、建物、預金といったプラスの財産の評価額の合計額から、借入金や葬式費用などのマイナスの財産の合計額を差し引いた正味の遺産額から、基礎控除額(3000万円+(600万円×法定相続人の数))を引いた額が課税遺産総額となります。課税遺産総額の計算(イメージ)は次の通りです。
なお、法定相続人は民法で範囲が決められていて、次のような順番になっています。
- 第1順位:配偶者と子
- 第2順位:配偶者と直系尊属
- 第3順位:配偶者と兄弟姉妹
遺言などにより相続分の指定がない場合の共同相続人の順位と相続分は次の通りです。なお、配偶者は常に相続人となります。
相続税総額の計算
1)相続税総額の計算方法
算出した課税遺産総額を一旦、法定相続分で分割したものと仮定して、各相続人の相続分を算出し、これに相続税率を乗じて計算した税額の総額が相続税総額となります。