経営者としての見識を深めたい

2017年1月9日

守屋淳の、渋沢栄一から経営者への手紙/ 渋沢栄一の生涯(8)

リーダーシップ 渋沢栄一

しぶさわ9

まず一身を磨き、立派な家庭を築く

リーマンショックは世界経済に大きな爪痕を残した事件でしたが、その行き過ぎた利益至上主義の反省もあってか、日本でもCSR(企業の社会的責任)が声高に叫ばれていたことがありました。

しかし、その実際の活動には、首をかしげたくなるものも少なくありませんでした。たとえば、社内に「CSR室」を作って「社会貢献」に引っかかりそうな事例をとにかく集めてきて、それを冊子にまとめ、マスコミなどでアピールしてみたりとか、砂漠や植林と何の関係もない企業が「砂漠を緑地化しています」などと宣伝してみたりとか……。

渋沢栄一は、「論語と算盤」「道徳経済合一説」をもともと唱えていたため、

「日本における企業の社会的責任の祖」

といわれたりもしました。そんな彼はこの点を、どのように考えていたのでしょうか。

渋沢栄一は『論語講義』という本のなかで、『論語』の次の一節に対する解説を述べています。まずは『論語』の本文が次です。

・子路が、先祖の霊や山川の神々にはどんな態度で仕えるべきかたずねた。孔子が答えるには、「生きている人間にさえうまく仕えていないのだ。先祖の霊や山川の神々のことまでは考えずともよい」「では、死ぬとはどういうことでしょうか」「生きることの意味さえはかりかねているのだ。まして死の意味などわかりようがないではないか」(季路、鬼神に事えんことを問う。子曰く、「いまだ人に事うること能わず。焉んぞ能く鬼に事えん」「敢えて死を問う」。曰く、「いまだ生を知らず、焉んぞ死を知らん」)『論語』先進篇

この一節に対する、栄一の解説が以下です。

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