経営者としての見識を深めたい

2017年2月3日

守屋淳の、渋沢栄一から経営者への手紙/ 渋沢栄一の生涯(9)

リーダーシップ 渋沢栄一

しぶさわ10

優秀なのに、人のことが見抜けないタイプとは

経営者にとって、何よりも頭を悩ませることの一つに、「人を見抜く」「人材を見抜く」ことがあります。

詐欺師や口先だけの人間を見抜いて被害を防ぐことはもちろん、新入社員の採用、幹部の抜擢、後継者候補の人選と決断……。いずれも会社の命運を左右しかねない判断を強いられるわけです。

この点で渋沢栄一は、こうした「人材を見抜いて、任せる」ことに、非常に長けていました。なにせ、明治から昭和にかけて、約五百社もの会社に関わったわけですから、「人材を見抜いて、任せる」ことに熟達していなければ、手がまわるわけもなかったのです。

今回は、渋沢栄一の「人を見る目」について、取り上げてみましょう。

まず、渋沢栄一は若いときから、「人を見抜く」ための資質を磨くのに好適な環境で育っていました。それは一言でいえば、小さいころから世間の荒波にもまれている、ということなのです。

これについては、中国にわかりやすい例があるので、それを使ってご説明したいと思います。

三国志に出てくる諸葛孔明(名は亮 字が孔明)といえば、日本や中国で人気の高い人物であり、本場の中国では、

「平凡な靴屋でも、三人集まれば諸葛亮の知恵(三個臭皮匠、抵上一個諸葛亮)」

ということわざまであるように、知恵者の象徴にもなっています。

ところが、彼には一つ大きな弱点がありました。それは、人を見る目があまりなかったこと。 たとえば孔明は、ある作戦で、自分のお気に入りであった馬謖を、重要な司令官に任命しました。しかし馬謖は期待を裏切って大敗し、泣く泣く処刑せざるを得なくなった……

「泣いて馬謖を斬る」

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