経営者としての見識を深めたい

2017年4月10日

守屋淳の、渋沢栄一から経営者への手紙/ 渋沢栄一の生涯(11)

リーダーシップ 渋沢栄一

しぶさわ12

渋沢栄一を動かした「こんなはずではなかった」

渋沢栄一はスティーブ・ジョブズと似ている、と書くと、ちょっとそれは奇をてらい過ぎだろう、というツッコミが入りそうですが、実は両者は明らかに似ている面があります。

『論語と算盤』のなかに、多くの人が読んで驚く、渋沢栄一の次のような述懐があります。

《もし自分に、自分を知ることのできる見識があって、十五、六歳の頃から本当の志が立ち、初めから商工業に向かっていったとしよう。そうであったなら、現実にわたしが実業界に足を踏み入れた三十歳頃までに、十四、五年という長い年月があった。その間に商工業に関する素養をもっともっと積むことができたに違いない。かりにそうであったとすれば、あるいは実業界における現在の渋沢以上の渋沢が、生まれていたのかもしれない。しかし残念ながら、青年時代の見当違いなやる気で、肝心の修養するべき時期をまったく方向違いの仕事でムダに使ってしまった。》引用者訳

渋沢栄一といえば、五百弱の会社にかかわり、そのうえで約六百もの社会事業にかかわった偉人。普通はそれだけ聞いても、その量や質に圧倒されてしまうでしょう。実際、憲政の神様といわれた尾崎行雄が、

「渋沢栄一ほど、働いている人は見たことがない」

と述べたほど、彼は働き続け、そして信じられないような業績をなし遂げてもいきました。ところが、そんな彼が先ほどの引用のなかで、

「もう少し早く実業界に志していたなら、《あるいは実業界における現在の渋沢以上の渋沢が、生まれていたのかもしれない》」

この記事は会員限定です。会員登録をして頂くと続きをお読み頂けます。

関連記事