経営者としての見識を深めたい

2017年8月8日

守屋淳の、渋沢栄一から経営者への手紙/ 渋沢栄一の生涯(15)

リーダーシップ 渋沢栄一

shibusawa16

渋沢栄一のさまざまな講演を抄録した『論語と算盤』の末尾には、現代のわれわれにも大きな問題をつきつけてくる、とっておきの一文があります。

《一時の成功や失敗は、長い人生や、価値の多い生涯における、泡のようなものなのだ。ところがこの泡に憧れて、目の前の成功や失敗しか論ぜられない者が多いようでは、国家の発達や成長が思いやられる。なるべくそのような浅はかな考えは一掃して、社会を生きる上で中身のある生活をするのがよい。

成功や失敗といった価値観から抜け出して、超然と自立し、正しい行為の道筋にそって行動し続けるなら、成功や失敗などとはレベルの違う、価値ある生涯を送ることができる。成功など、人としてなすべきことを果たした結果生まれるカスに過ぎない以上、気にする必要などまったくないのである》『論語と算盤』引用者訳

最後の部分、原文では「成功は人たるの務めを完うしたるより生ずる糟粕(そうはく)たるにおいては、なおさら意に介するに足らぬではないか」となります。

現代、「いかに成功するか」「どうやったら金持ちになれるのか」といった内容の本や雑誌の特集、インターネットの情報が溢れかえっていますが、栄一はこれをばっさりと切り捨てます。

「そんなものはカスに過ぎない」

と。そしてこの点で、渋沢栄一は明らかに『論語』の価値観の影響を受けている面があるのです。

『論語』には、こんな一節があります。

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