災禍を超えて、住み継がれる家を。

経営者としての見識を深めたい 2021年3月5日

コロナ禍以降、様々な場面で新様式が求められる現在。日本特有の「無垢材と漆喰の快適な家づくり」を守る菰田誠社長は、家に対する人々の意識変化を感じるといいます。

樹齢60年の紀州産桧(ひのき)の構造材をはじめとする無垢材と、エコ建材としても注目される漆喰(しっくい)の塗り壁をベースとした注文住宅。それが「こもだの家」です。基礎職人、左官職人、板金職人、そして大工。多くの職人の手による家づくりは、量産とは対極にある業態だといえます。

「コロナ禍の先行きが全く読めなかった昨年の春から初夏は、決まりかけていた契約が先送りになったり、なくなったりもしました。やはり一生に一度ともいえる大きな買い物ですから、皆さん慎重になられたのです。しかし一方で、当社の見学会に参加される人は、次第に増えていきました。コロナ後の生活環境の変化から、自分たちの過ごす“家”について、より深く考えられるようになったのだと思います」

以前は、やはり「家事や子育ての空間」という役割が強く、女性目線での快適性が重視されましたが、そこに「仕事の空間」の要素が加わったのです。

「例えば、これまで『家では寝るだけ』と考えておられたご主人が『週の半分はずっと家にいる』となれば、家に求める役割は変わります。私自身、家づくりをしていながら恥ずかしい話ですが、正直いってワークライフバランス(仕事と生活の調和)という言葉にピンときていませんでした。『それは引退してから考えること』という気持ちがどこかにあったのです。しかし家で仕事をしたり、休日も屋内で過ごしたりするようになって、少しずつワークライフバランスの意味が肌感覚で分かるようになりました」

これまで独自に培ってきた断熱技術を背景に、閉鎖空間や間仕切りの少ない開放的な家づくりを基本としてきた菰田社長ですが、家族の空間の中に「個人の空間をどう共存させるか」という新たな課題を見つけたのです。

「注文住宅の良さの一つは、既成の間取りにライフスタイルを合わせるのではなく、ライフスタイルに家をフィットさせられるところにあります。当社の場合、新築だけでなくリフォーム部門もありますから、今後さらに変化していくであろう『これからの時代の快適さ』は、プロである私たちから提案していかねばなりません」

コロナ禍による生活様式の変化だけが問題ではない。近年、激甚化が指摘される自然災害にも安心できるかなど、住む人に「幸せになってもらうための家づくり」を菰田社長は常に考えてきました。

「五十年、百年と住み継がれていく“良い家”をつくりたい。それはこの仕事を志したときから変わらぬ想いです。しかし注文住宅ならではの課題もあります。お客さまの価値観や個性が色濃く反映されるため、次世代の住人の価値観や個性と衝突してしまう可能性があるのです。災害にも負けず、百年安心して暮らせる家が、一代限りで建て直しになるのは見ていて悲しいものです。私としては、これからは『家族に限らず代々住み継がれる家』を模索していく必要があるのではないかと考えています。ヨーロッパの古い街並みとまではいきませんが、地域の資産としても価値のある家です」

日本語の「家」は、英語の「home」「family」「house」の意味を全て含んでいます。それらを切り分けて捉える時代がきているのではないか。菰田社長はそう考えます。

「百年の耐久性の資産を数十年で壊すようでは、投資としても無駄ですし、環境問題や持続可能な社会を実現しようとする時代の潮流にも逆行しています。より豊かな暮らし方を考えるうえでも、建てる段階から『家(建物)は家族が住み継ぐものという概念に固執しない』という選択があってもいいように思います」

同業者の中には「それは子の世代が考えればいい」という人もいます。しかし菰田社長は見えている問題を“見えないふり”はしません。

「当社がただの『木の家』ではなく『国産の木の家』にこだわる理由は単純です。『日本に素晴らしい木があるから』です。大切に育てられた木が、建材ではなく、燃料にされている現実を許せないからです。新建材や輸入材より手間も技術も必要になりますが、誰かが守らなければいけないのであれば、我々が守る。ただそれだけなのです」

photo:Nobuhiro Miyoshi

企業DATA

株式会社こもだ建総

所在地
埼玉県さいたま市見沼区御蔵797-2
代表取締役社長
菰田 誠
事業内容
木造・注文住宅設計施工・増改築・補修工事
Webサイト
https://www.komodakensou.co.jp

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