健康経営®のコラム

2017年4月24日

経営者に知ってほしい健康経営 /第1回 健康経営とは

健康経営®

ba900001top

「健康を経営する」という表現にはあまりなじみがないかもしれませんが、現在、企業は自社の従業員の健康づくりを事業として利益創出することが求められています。今回は、この「健康経営」についてその概要を説明します。

特定非営利活動法人健康経営研究会が、設立された2006年に健康経営を以下のように定義しました。

「健康経営とは、企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな効果が期待できる、との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味している。
従業員の健康管理・健康づくりの推進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要である。
従業員の健康管理者は経営者であり、その指導力の元、健康管理を組織戦略に則って展開することがこれからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられる。」

つまり、健康経営とは、経営者が、職場の健康づくりを経営の視点で捉え、経営戦略によって投資効果を得ること(従業員の健康の向上、生産性向上と企業リスクの低減)といえます。

働く人、一人一人が「自分の健康を自分自身で築き上げる」というのは、簡単なことではありません。例えば、労働時間が長くなることで発症するリスクが高い脳・心臓疾患を予防しようと、従業員が「今日は残業せずに定時帰宅しよう!」と自分で判断することができるでしょうか。企業の命運がかかった事業では、まるで当たり前のように長時間労働が発生するのではないでしょうか。また、中には上司や部下、同僚との人間関係がうまくいかないこと、仕事の進め方が合わないことなどが高ストレスとなり、いわゆる心身症を発症する従業員も出てくるかもしれません。

そこで、健康経営が必要となってくるのです。経営者や管理監督する立場にある人、つまり職場においてパワーを持つ人たちが従業員の健康に配慮して、職場環境や職務適性などをマネジメントすることで、突発休や、長期休業を予防できるかもしれません。そうした視点に立つと、健康経営は、経営管理と健康管理(つまりは組織と人)を両立させる経営戦略であるといえます。

「職場環境」に投資することは労働力の向上に寄与しますが、労働力の源泉である「働く人」に対する投資も必要です。健康経営とは、「労働力の確保」と「労働者の健康」の両方に対する配慮を行って、健康の質を向上させ、その結果、労働の質の向上、そして商品品質の向上(品質保証)へとつながるような仕組みをつくり上げることです。

ただし、高額な投資をすることは、経営者にとって取り組み意欲をなくすことにもなりかねません。そこで、それぞれの職場の個別性を考慮して、経営戦略として効果的な健康づくりに取り組むことが大切です。経営者が企業全体のこと、そして従業員のことをよく知り、健康経営に直接関与することで、労働環境病の予防を図ることができます。

健康経営は、企業の利益創出と従業員の健康の保持増進の両立を、経営戦略で図ることを目的としているものなのです。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2017年4月14日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

関連記事