健康経営®のコラム

2017年7月10日

経営者に知ってほしい健康経営/第4回 健康経営の実践方法 その1 健康投資

健康経営®

健康経営は、まず経営者の健康経営宣言から始まります。企業における安全や健康に関する対策は、まず経営者が方針等を述べ、従業員に周知することから始めることになっていますが、健康経営においても同じです。各企業における安全や健康の課題を、過去のデータから抽出し、その解決方法を安全衛生委員会などで調査審議して、実践に移すことになります。

さて、健康問題が抽出され、その解決に向けて職場で一丸となって取り組むためには、やはり投資が必要です。健康経営は、健康づくりを事業として、経営の視点から検討を加えて実践することですので、投資を考えなければなりません。企業が投資をする、ということは、当然のこととして投資に見合うものがなければなりません。効果をも当初から想定して事業を展開することになります。

しかし、過去の研究成果では、健康づくりの効果が得られるには3年の歳月が必要となることが明らかにされています。それでは効果がでるまでに経営が成り立たなくなった場合の課題が、過去に指摘されたことがあります。そこで、まず、利益投資ではなく、経営者、従業員の時間を投資してもらい、健康づくりに取り組んでもらうことでその解決を図りました。経営者が健康経営について従業員に周知し、具体策を検討して、従業員の労働時間内にプログラムを実施することです。例えば、健康診断や保健指導を勤務時間内に実施することのほか、協会けんぽに依頼して健康づくりに関する講演会を開催すること、などです。

次に、空間投資です。空間とは職場の環境ということで、気積、温度、湿度、騒音等を快適に維持することです。さらに、職場内禁煙、さらには敷地内禁煙を始めることも有効です。整理、整頓、清掃の3S、さらに清潔を加えて4S活動を展開することも職場の安全健康の視点から勧められます。

最後に、利益投資で、収益を投資することで、職場の環境の改善をさらにランクアップすることになります。空気清浄機、加湿器、手洗い消毒薬、インフルエンザなどの予防接種費用等の少額投資から、健康診断の再検査・精密検査費用、什器(特に椅子)、オフィスのレイアウトの変更などの高額投資と、経営判断で従業員の健康と労働生産性の向上が図れるような投資をしていただくことで、従業員へのインセンティブにもなります。

このような投資については、まず職場の現状をきちんと把握して最も効果的な対応を検討すべきです。そのためには、従業員の健康診断の結果の分析や従業員の健康に関する習慣などについての情報があれば、波及効果も含めて大きな効果が期待できそうです。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2017年7月4日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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