健康経営®のコラム

2017年8月14日

経営者に知ってほしい健康経営/第5回 健康経営の実践方法 その2 時間投資

健康経営®

健康経営には健康投資が必要不可欠です。その中で、まず投資すべきことは、時間投資です。時間投資とは、経営者が大切な時間を、健康経営について考え、そして宣言内容のまとめに費やすことです。

従業員が元気にそして覇気をもって仕事に取り組めるようにするには、どうすればよいのか。人件費を増やすには経営上限度がありますが、そのほかにはどのような対策があるのか、ということについて企業特性を考慮して、実践に移すことです。

経営陣に意見を求めること、管理職に現状について報告をしてもらうこと、健康経営に関する書籍を読み、研修会に参加して理解を深めること、すべて時間が必要です。未来の企業へ向けて、強固な基盤づくりのために必要な時間です。

グレシャムの法則とは、「悪貨は良貨を駆逐する」ことですが、「計画のグレシャムの法則」は、目先のこととともに未来についての計画をも検討しなければ企業の未来に暗雲が立ち込めることを意味しています。企業の持続性を考えると、企業価値を高めるための方策を決定しなければならないのです。経営者は、広範囲の情報を収集して、時に厳しい判断をしなければならないこともあります。そのためには、時間が必要なのです。

一方、労働時間は、従業員にとって拘束時間になります。この拘束された時間(給与が支払われている時間)において、健康教育をすることが大切です。入社から退職までの長い労働生活において、健康習慣の継続は、セカンドライフにおいて健康をもたらしてくれる可能性が大きいといえます。健康診断受診、講演会受講、社外研修会参加、通信教育などにおける専門知識の習得等は、従業員の健康と能力を高めるためには必要不可欠となります。

自分自身の健康を高めるための知識(ヘルスリテラシー)の蓄積は、自己健康管理能力の向上に直結し、自分自身で生活習慣改善の実践ができれば、人づくりが叶ったことになります。

さらに、経営者、管理職と従業員の共通の時間は、お互いの理解を深めるとともに、職務コミュニケーションを高めることにも有効です。職場におけるコミュニケーションとして最も重要と考えているのが「ワーク・コミュニケーション」です。部下の業務遂行状況を把握して、サポートするためのコミュニケーションで、部下の育成とチームワーク向上の両者に効果的です。

次に「ヘルス・コミュニケーション」で、いつもと違う部下をいかに早くキャッチすることができるかという点です。メンタルヘルス不調の早期発見につながる時間投資です。そして、3つ目は、「プライベート・コミュニケーション」で、代表的な時間投資が「飲みニケーション」です。これらの時間を共有することで部下の働きがいを創造することができ、未来への大きな投資となることが期待されます。

人の成長を支援するためには、多くの時間が必要です。同じく、企業の発展にも経営者は自分自身の時間を多く費やさなければなりません。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2017年7月25日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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