健康経営®のコラム

2017年9月5日

経営者に知ってほしい健康経営/第6回 健康経営の実践方法 その3 空間投資

健康経営®

経営者が自社の従業員の健康管理を考える時間を作り、健康経営を推進することが決まれば、次のステップは実践ということになります。労働時間内に健康診断や事後措置、さらには、健康教育やメンタルヘルス教育を実施することは、従業員一人ひとりの健康意識(ヘルスリテラシー)を向上させ、自分自身で健康づくりに取り組むことが期待できます。

さて、次の投資は、空間投資です。空間とは職場空間で、空間投資とは快適な職場づくりを意味します。空間投資でまず考えなければならないことは職場の禁煙や、敷地内禁煙です。従来の喫煙ルームをリフレッシュルーム(自動販売機などがあり、受動喫煙防止の対策を講じた部屋)にすることは、従業員の将来の健康を考えると極めて効果的といえます。働くことは一つの拘束を意味します。労働にはその対価が支払われており、職場においては、従業員は経営者の指揮命令下において労働を提供することになります。

この拘束時間内は、禁煙ということになりますので、喫煙本数が減る可能性があります。しかし、一部の人には、むしろストレスとなり、退社後一気にたくさんのタバコを吸うことになれば健康問題となります。そのために、職場禁煙にいたるまで猶予期間を設定し、禁煙外来受診を勧奨し、またその費用を会社が負担するなどの支援も検討することになります。

喫煙ルームをリフレッシュルームにすれば、その場はコミュニケーションの場となり、職場内の情報交換の場ともなります。さらに、コーヒーメーカーを設置し、安価でコーヒーを飲む時間を持つことができれば、喫煙に伴う疾病発症リスク(がん、認知症等)が抑えられ、コーヒーの疾病予防効果(糖尿病等)が期待され、将来の健康リスクが大きく変わることになります。職場空間の快適化は、お互いの健康に気を遣うことにつながり、コミュニケーションの向上に有効です。

また、オフィスのレイアウトの変更は、職場空間をより開放的にし、閉塞感のある職場から働きがいのある職場へと変化し、労働生産性の向上に寄与することになります。

プレゼンティーズムとアブセンティーズムの解消に効果的な健康経営オフィスは、健康を保持・増進する7つの行動が実践できる職場です。その7つとは、以下に示すものです。

1.快適性を感じる(例:空気、光、音など)
2.コミュニケーションをとる(例:気軽に話す、笑うなど)
3.休憩・気分転換する(例:雑談する、音楽を聴くなど)
4.体を動かす(例:座位が少ない、歩く、階段を利用するなど)
5.適切な食行動をとる(例:間食や昼食の取り方の工夫など)
6.清潔にする(例:手洗い、うがいなど)
7.健康意識を高める(例:健康情報を閲覧する、自分の健康状態をチェックするなど)

一般的には、整理、整頓、清掃の3Sに、+S(清潔)が職場の安全や生産性を高めるとされていますが、さらに健康経営オフィスへの取り組みで従業員の働きがいも高まり、健康増進と一石二鳥の効果が期待できそうです。できることから一歩一歩進めることが大切です。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2017年8月31日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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