健康経営®のコラム

2017年10月17日

経営者に知ってほしい健康経営/第7回 健康経営の実践方法 その4 利益投資

健康経営®

健康経営における「健康投資」の3つ目が「利益投資」です。利益投資とは、企業利益の一部を従業員の健康づくりに投資することです。利益投資には、「少額投資」と「高額投資」ならびに「健康づくり投資」と「快適職場づくり投資」があります。

いきなり健康投資として多額の投資をすることは、時として投資に見合った効果が期待できないことが想定されます。職場環境の改善は、働きやすさを向上させるためには、必要不可欠ですが、まずは、最も適切な環境改善についての検討が必要です。

職場環境の改善の基本は、3S、つまり、整理、整頓、清掃です。この3Sを推進するための初期投資として考えられるのが、少額投資です。書類を整理する書類箱、書架、ならびに掃除機などの購入に充てられます。

3Sの次が清潔ですが、例えば、インフルエンザなどの感染症対策として、うがい薬、手洗い消毒薬設置、空気清浄機の購入などがあります。中小規模事業所では、たった1人の突発的な休業であっても、職場の職務遂行上大きな停滞原因になります。ましてや3人、4人の休業となると大変な状況が職場にもたらされます。そこで、感染症対策が重要になり、うがい薬、手洗い消毒薬、そして予防接種ということになります。これらの費用を企業が負担することは、従業員に対するインセンティブとなり、経営者にとっては経営リスクの低減につながります。一石二鳥の効果です。

また、業務用車両を有する企業では、運転する従業員の健康管理が極めて重要となります。この場合、運転前の健康チェックとして、従来のアルコール以外に血圧を加えてみてはいかがでしょうか。

運転業務直前に血圧測定することで、前日からの体調管理の状況が判断しうる可能性があります。血圧異常の程度が高ければ、乗務を禁止、または制限することが、企業リスク回避のためには重要です。経営者と産業医が一緒に従業員の健康管理に取り組むことで、運転業務を指示する運行管理者が、当日の血圧値から、乗務を中止、または拒否することも可能となります。運転手も日々の健康管理の重要性を知ることになりますし、結果として業務中の事故等に対して防止効果が期待できるのではないでしょうか。また、乗務日に血圧を測定し、その値から、日々の健康管理状況を判断することも可能となります。

このシステムの構築に投資したものは、市販の血圧計のみです。1台の血圧計で、測定された従業員の血圧値に対して個々人で評価できることから、職場における健康管理意識がさらに高まることが期待されます。健康な状態で運転業務が遂行できる、つまり、安全運転で、荷台の荷物の破損などの被害を少なくし、さらに人身事故の予防にもその効果が期待できそうです。何に投資するのか、これは経営者の経営判断に基づくものです。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2017年10月12日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

関連記事