健康経営®のコラム

2017年11月13日

経営者に知ってほしい健康経営/第8回 「経営者のパワー」健康経営の推進力

健康経営®

経営者の持つパワーには、大きく分けて2つあります。健康経営を営む経営者の有するエンパワーメントとそうでない経営者が有するパワーハラスメントです。

エンパワーメントとは、従業員の業務遂行と健康状況を支援するパワーで、結果として労働生産性が向上することになります。エンパワーメントは、力や権力を授けることを意味しており、すなわち自立させることを目的としています。経営の視点からは、自立して仕事ができる、自分の健康を自律させることができる、という「人づくり」と考えられます。最初は、全く仕事の進め方が分からなくても、OJT(on the job training、現場での実践)を通じて基礎を積み上げていくことが成長を促します。

著しく進歩する携帯電話はスマートフォンとなり、機能は進化し、加齢に伴い使い切れなくなっているのが現状です。若い人にスマートフォンを目の前にしてその操作の仕方を教えてもらうことで理解できることが多くなってきました。「トリセツ(取扱説明書)」を読んでも、すぐには理解できないことも多くなり、すでに使い慣れた人にスマートフォンを前に実際に教えてもらうことが一番の早道です。同じことが仕事でもいえます。管理職にとっては当たり前のことでも、新入社員には全く未知の分野になっていることが多々あります。一つ一つ、きめ細かく教導することで、基盤が出来上がり、(私は「職育」―職人づくり、と定義しています)仕事人として成長していくことになるのです。健康も同じだろうと思います。

さて、一方、パワーハラスメントは、なぜ分からないのか、と感情を露わにして叱責、暴言、人格や人権を無視した発言、さらには暴力行為といった言動のことで、部下は、仕事も理解できず、また、精神的にもダメージを受け、職場にいること自体に不安と恐怖を感じることになります。その結果、心身の不調を発症し、仕事ができなくなります。職務不適応となり、プレゼンティーズム(出社しているが心身の不調で労働生産性が低い状態)に陥り、さらにアブセンティーズム(心身の不調で出社できず労働生産性がない状態)となってしまいます。

これらの原因が、同じ職場の人達によってなされているのであれば、人を育てる企業とはいえません。「企業は人なり」が基盤から崩れ落ちることになります。人を育てるには、根気が必要です。その結果、一人前の職業人となり、さらに卓越した仕事人に成長していくのです。

経営者の持つパワーは、経営者自身が自覚している以上に強大で、従業員に大きな影響を与えます。経営者の一言は、もしかすると従業員のモチベーションを大きく変えるパワーになる可能性を秘めています。健康経営は、経営者や管理監督者のパワーを原動力として、人を育て、企業を成長させるための経営戦略なのです。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2017年10月31日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

関連記事