健康経営®のコラム

2017年12月11日

経営者に知ってほしい健康経営/第9回 「経営者の健康」と健康管理

健康経営®

bp900009

企業の安定成長に経営者や経営陣の健康は必要不可欠です。長期経営方針の遂行には、経営者の経験や培った知識に基づく大きな推進力が基盤になります。また、安定した経営陣の存在は、つまり健康上の大きな問題を抱えていない経営陣を有する企業は、その信頼を獲得することにもなります。

過去に、大企業の経営者が相次いで病気で倒れたことがあります。その後、経営者の健康管理を担当している部門は色々と工夫されてこられたことだろうと思います。経営上の問題で精神的ストレスが過剰にならないよう、過剰になった場合でもその対応ができるように体制などを構築すること、また、出張などが連続する場合でも疲労が蓄積しないような休養の工夫、定期的な健康診断や健康相談などが考えられます。

企業において、経営者は企業規模を問わず大きなパワーを有しています。そのパワーが企業の未来を大きく左右することになることは経営者自身もまた、従業員も認めるところだろうと思います。現在の健康経営優良法人制度において、必須認定条件に、経営理念(経営者の自覚)として、「健康宣言の社内外の発信」と「経営者自身の健診受診」が挙げられています。健康経営に経営者の健康が重要であることは言うまでもありませんが、従業員の健康づくりへの取り組みにおいても重要だと思います。

経営者の健康を維持するための健康管理の対応が、その事業場で働く従業員の健康づくりにも影響を及ぼすことが過去の研究成果で明らかになっています。平成8年度労働省委託事業(中央労働災害防止協会)において、経営者自身の健康習慣が事業場の健康づくり風土に大きな影響を及ぼすことが報告されました。

経営者を対象とした調査結果から、健康習慣として最も出現率が高かったのは、「定期的な健康診断の受診」でした。経営者が健康診断を受診していない事業場では、「健康づくりが必要とは思わない」との考えと相関があることが見いだされました。経営者自身が自らの健康に関心を持つことが、事業場の健康づくり意識を醸成し、従業員一人ひとりの健康意識(ヘルスリテラシー)の向上に寄与すると考えられます。

また、経営者の健康づくり習慣、例えば、定期的な運動、禁煙、健康を考えた食生活の実践もまた、従業員に対するインパクトが大きいのではないでしょうか。経営戦略として「健康」を取り上げなければならないわが国の状況をいち早く把握して、危機管理としての位置づけをすることが喫緊の課題となっています。健康づくり活動で大きな課題となるのは、経営者の健康習慣の有無であることはよく見聞きすることです。

人を動かすには、自分自身の言動が大切であることは、いろいろな名言があることからも事実です。経営者の健康は、その企業の健康を推し量る尺度になり、また、その企業で働く人達の健康を評価することができるだろうと思います。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」(山本五十六)

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2017年11月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

この記事は会員限定です。会員登録をして頂くと続きをお読み頂けます。

関連記事