健康経営®のコラム

2018年7月18日

経営者に知ってほしい健康経営/第16回 副業・兼業・複業と働きがい

健康経営®

働き方改革において、「柔軟な働き方」を進めることが検討されている。その一つに、副業・兼業がある。技術革新は働き方をも大きく変革しつつあり、IT環境を整えることで在宅勤務も可能となっている。自宅で仕事をすれば通勤時間がなくなり、通勤ラッシュによる疲労も回避することができ、一方、企業にとっても遠隔通勤の費用も削減可能となる。

また、地域ごとにサテライトオフィスを設けて、業務に就くことができれば、わが国の大きな課題の一つであるM型女性労働力率(わが国の女性の労働力は30から40歳代で減少する現象―出産、育児、育子(いくし)等)の改善にも寄与することが可能となる。さらにオフィスを持たなくても、モバイル機器をフルに活用すれば多くの業務はテレワークとして可能になる支援ツールが存在している。このような働き方は、一人ひとりが経営者的な働き方となり、一つの会社に縛られることなく、自分の得意とする知識や技術等を活かして、生き生きと仕事ができる可能性を拡大したことになる。

企業は労働者に対して、もしアウトカムのみを求めるのであれば、このような働き方も許容できることになる。好きな仕事を好きな時間に好きなだけすることができれば、心理的ストレスも少しは減少するかもしれない。従業員一人ひとりが、店を持ち、その得意技を提供し続けることで、企業経営は成り立つ可能性はある。人材不足で困っている企業にとって、ある業務の一部を担ってくれるようになれば、現在従事している従業員の負荷も減ることになる。このような自由な働き方で多くの企業が成り立つのであれば、社会的には安定するかもしれない。

総務省の調査結果では、副業を希望している者は年々増加傾向にあることを示している。アウトカムのみを求めるのであれば、年齢制限、性差、などもろもろの条件はなくなり、一人ひとりの能力のみ評価の対象となるはずである。

すでに、副業・兼業を推進していないが容認している企業が14.7%(平成26年度兼業・副業に係る取組実態調査事業。中小企業庁)に上っている。労働基準法に則って、法定労働時間以外には企業の拘束力がない、という前提に立てば、今までにない自由な働き方が許容されることになるが、一方、自分の健康については、自分でしっかりと確保することが自己責任として求められることになる。雇用の在り方、労働時間の在り方、健康管理の在り方、等まだまだいろいろな課題はあるにしろ、新しい時代の働き方を考えなければならない時期が到来している。

ケインズが、「1日3時間勤務、週15時間勤務すれば、問題をかなりの期間、先延ばしできるとも思える。1日3時間働けば、人間の弱さを満足させるのに十分ではないだろうか。」とその著書で述べたことは、現代社会での副業、兼業、複業に当てはまるかもしれない。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年7月10日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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