健康経営®のコラム

2019年1月15日

経営者に知ってほしい健康経営/第22回 食育と職育-プロフェッショナルの育成

健康経営®

生活習慣病を予防するためには、食生活、身体活動、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣を検証し、問題があれば改善することが必要となります。特に、日々の食事が私たちの健康に及ぼす影響は大きいといえます。

一般的には、「腹八分に医者いらず」と諺にあるように、食べ過ぎは体にとって大きなストレスとなります。バランスを欠いた食事は、ビタミン、ミネラルの過不足を招き、『養生訓』に記載されている「五味偏勝」となり、体の不調を招くことになります。

一方、同じものを食べても、その順序を変えることで体へのストレスは少なくなり(インスリンの分泌負荷の軽減)、また、ゆっくりと食べることで体の中で発生するストレス(急激な血糖の上昇とインスリンの分泌反応)を和らげることが可能となります。

さて、同じことが「働く」ということにも当てはまるように思います。与えられた職務を遂行するためには、その職務の内容を十分理解し、どのようにすれば円滑に一歩一歩進めることができるのか、その手立て、順序等についての知識が必要となります。

与えられた職務をこなすために必要な基礎知識、基本的なスキルとして資料作成のための知識の習得と実践能力が備わっていることも必須条件です。前者は、職務を命じた上司がきちんと情報提供することで問題は解決することができます。しかし、後者の必要なスキルは入社時にすでに十分獲得しているものと考えがちですが、時に不得意による業務遂行の遅れが発生することがあります。

「計画のグレシャムの法則」では「ルーティンは創造性を駆逐する」という言葉で表されていますが、新入社員にとって、異動したての社員にとって、その職務のルーティンワークができなければその上に位置する創造的な仕事に着手することができないことになります。

日々、ルーティンワークに追われている管理職や経営者は、先を見越した経営戦略を立案することができず、その日その日の仕事ばかりに力が注がれ、ふと気づくと社会の流れから大きく外れ、現在位置不明、となる可能性を孕んでいます。ルーティンワークができない従業員と日々ルーティンワークに追われている管理監督者・経営者の企業は、どのような企業未来を築くことになるのでしょうか。

企業の未来を築くためには、その基盤となる「人」を育てることが必要不可欠です。健康で未来を見通すことができる人づくりに、「ルーティンワーク」は必須であり、その上に「クリエイティブワーク」が築かれることになります。

管理職は、突発的なことにも十分対応できる能力を持ち合わせていることは当然ですが、「ルーティンワーク」を理解していることもまた当然で、その両者を併せ持って部下を育成することで現在と未来を俯瞰し、部下をプロフェッショナルとして育成することが可能となります。

部下がどのような仕事をしているのかわからない、職務についての質問に答えられない管理職があふれるようであれば、これは経営課題である、といえます。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2018年12月12日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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