健康経営®のコラム

2019年8月2日

経営者に知ってほしい健康経営/第25回 働く人の健康が構築する企業ブランド -ヘルスリテラシー

健康経営®

ヘルスリテラシー(ヘルス=健康、リテラシー=知識、健康を育む知識、能力)は、単に、食べ過ぎは健康に良くない、運動不足は生活習慣病の原因の一つだ、といった健康に関わる知識のみを意味しているのではありません。

健康の知識に基づいて実践し、自らの健康をステップアップすることができること、つまり結果を出す能力のことです。健康づくりの自発的な行動を抑制する因子の一つとしてストレスがあります。例えば、30歳代、40歳代においては、高ストレス者の出現率が高く、同時に喫煙率も高いという結果があります。

ストレスが解消されれば、禁煙に対する取り組みも加速するのでは、と思いますが、現状では、長時間労働やデッドラインを常に気にしながら職務を遂行しなければいけない強迫因子が亡霊のように付きまとい、禁煙なんかできるはずがない、という強い思いを振り払うことができないのです。

週末に活動的な生活を送っている人は、2型糖尿病の発症リスクが減少することが研究の結果明らかになっています。この研究結果は、企業にとって2つの意味を持っています。第1は、週日の疲労が蓄積している場合には、週休2日ともその疲れを癒やすための休日となります。とても活動的な休日を送ることはできません。

一方、休日労働が常態化している企業では、企業病(労働生産性の低下、労働災害の増加など)の発症リスクが高くなってしまいます。これが第2の意味なのです。

つまり、経営者が、休日労働を常態化させている企業では、糖尿病という疾病リスクが高くなること、つまり労働生産性が低下することを意味しており、さらに活動的な休日を過ごすことができないことは、すでに疲労が蓄積し、糖尿病発症の危険性が高くなっていることを意味しています。まさしく、働くことが、2型糖尿病発症リスクを高めていることになるのです。

疲労状態で、活動的な休日を送ることはできませんし、ようやく疲労を解消しても、翌週はまた疲労が蓄積し、その積み重ねがやる気のなさ、働く意欲を喪失させることになるように思います。知らず知らずのうちに、健康づくりの根が刈り取られているようでは、気付いたときには、いろいろな病気を持った人の集団が企業である、ということになりかねません。

健康に関する情報はこの世にあふれんばかりにありますが、あなたに有用な情報はどれでしょうか。企業では、1人ではどうすることもできないことがあります。しかし、経営者とともに意見を出し合って、働く人と企業の健康づくりを進めることで、企業ブランドが出来上がります。まずは、健康情報を自分のものにして、実践するエネルギーを持つことがヘルスリテラシーを持っている、ということになりそうです。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年5月10日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

関連記事