健康経営®のコラム

2019年10月1日

経営者に知ってほしい健康経営/第27回 ヘルスリテラシー 医学的根拠に基づいて健康づくり その1 先哲に学ぶ養生の知識

健康管理 健康経営®

私たちは、自らの健康を維持・増進させるために、日常生活でいろいろな取り組みをしています。しかし、その取り組みが必ずしも健康度を高めるとは限りません。健康のためと思って取り組んでいたことが、実は健康を損ねることもあります。逆に健康を損ねると思われていたことが、私たちの生活を豊かにすることもあるのです。

過去の経験から、例えば、健康相談に来られた60歳代後半の女性が、毎日たくさんのビタミン剤をのんでいるのに、体調がよくなるどころか、なんとなく悪くなっているようである、とのことでした。

毎日のんでおられるビタミン剤を一つひとつみると、それぞれが入っているビタミン剤のラベルには、疲れをとる、血流をよくする、などの効果をうたっていますが、その錠剤に含まれているビタミン剤は、同じものが多く、結果として脂溶性ビタミン(ビタミンA,D,E,K)を大量にとることでビタミン過剰症になっておられました。

明らかに、1日にとる限度の何倍もとっておられたようで、その結果、ビタミン過剰症になり、頭痛、吐き気などの症状が出現していました。これらをやめると1か月くらいで不快な症状が消失しました。何事も中庸が大切、ということでしょうか。

さて、フッ素という元素をご存知でしょうか。フッ素は、非常に強い酸化作用があり、猛毒とされていますが、微量のフッ素は、虫歯予防に有効です。これらから学ぶことは、過食はやはりよくないということでしょう。

いろいろなものを食べることで食物の持ついい面と悪い面が相殺されて、私たちの体や健康に大きな影響を及ぼさないことになります。貝原益軒はその著書「養生訓」において、「凡大酒・大食する人は、必短命なり。早くやむべし。」として大食を戒めています。

「養生訓」においては、「もろこしに食医の官あり、食養によって百病を治す」と記載されていることから、健康の維持、疾病の予防、さらには疾病の治療に食養生が重要であったことがわかります。

さらに「薬舗は食補にしかず」と、薬をのんで病を治すより、食物で健康になるほうが正しい生活である、としています。

「国似民為本、人以食為養」は、国は人が基盤であり、人は食物で養生することが基本である、という意味です。お酒は飲むものであって、飲まれるものではないことを、「一杯は人酒を飲む、二杯は酒酒を飲む、三杯は酒人を飲む」と言い伝えられていますが、私たちは、美酒に飲まれては人生を失うことになるのでしょう。美酒は人生を豊かにするものなのです。養生訓のまとめは、「畏」と「忍」の2文字です。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年7月1日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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