健康経営®のコラム

2019年11月26日

経営者に知ってほしい健康経営/第29回 ヘルスリテラシー 医学的根拠に基づいて健康づくり その3 食に関する最近の知見

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日々空腹を感じていた時代から、いつでもどこでも好きなだけ食べることができる飽食の時代へと移り、昨今では、肥満、メタボリックシンドロームなどが社会的な課題となっている。「何かを食べなければならない」から「何を食べればよいのか」、さらに「何をどのように食べればよいのか」、が私たちの健康課題となってきた。

食欲は、私たちの持つ欲望の一つであり、その欲望の否定は逆に私たちの心身の健康に重大な異常をもたらすことになる。食べることは生命の維持に不可欠であるが、豊かな時代では、逆に生命を脅かす要因になる。豊かな時代を享受しつつ、かつ健康を維持するという両立を目指して多くの研究がなされている。以下に最近の研究報告を簡単にまとめてみることにする。

まず、同じものを食べてもその順序を変えることで健康に対する影響を変化させることについての研究成果である。現在では、野菜などの繊維質、たんぱく質、そして炭水化物・糖質を取ることでインスリンの節約効果が期待できる(ベジfirst-カーボ last)。糖質制限は、適切な範囲で実施することは問題ないとしても、糖質の過剰摂取や過少摂取によって死亡率が高まることが報告されている。

同じ1日当たりの塩分摂取量(12g)であれば、午前中よりは、午後のほうが血圧の上昇が抑制されることから、朝食や社員食堂での昼食については、おいしい減塩食が好ましく、ヘルシーメニューの提供が望まれる。味噌汁は、夕食時がいいのであろう。

また、食べる時間(早食い)によって、2型糖尿病などの発症のリスクも増加するようである。先哲の教えが、一つ一つ科学的に実証されているのである。

朝食を欠食し、夜遅く夕食(夕食というよりは深夜食)を取るのは、心臓疾患の発症を高めることも最近明らかにされた。

また、閉経後女性で、ひどい便秘は心臓病の発症リスクを高めることが研究結果として発表されていたが、女性の場合には、閉経前までの健康づくりが閉経後の動脈硬化疾患の発症に大きな影響を及ぼすことになる。まずは、生活習慣の改善が必要である。

昨今、コーヒーの研究結果が多く発表されているが、そのほとんどが健康にとって有効である、とされている。ただし、飲み過ぎは良くないのは当然である。糖尿病の発症リスクを減らし、また、自殺に対する抑制効果も期待される、との論文がある。

健康的な日常生活は、その基本に食生活があるが、その前に規則正しい生活習慣がある。食べること、運動すること、そして疲れを癒やす休養と睡眠などが、私たちの健康の源である。一つでもおろそかにすれば、私たちの健康に大きな問題が発生することになる。

「病は口より入り、禍は口より出ず」とは、食べることの大切さを物語っているのである。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年9月15日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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