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経営者に知ってほしい健康経営/第30回 ヘルスリテラシー 医学的根拠に基づいて健康づくり その4 健診結果と食に関する最近の知見

健康経営®のコラム 2019年12月9日

健康診断の活用法の一つは、毎年の健康診断結果のトレンドをみて、どのように変化しているのかをいち早く察知することです。結果が徐々に異常値域へ近づいているのかを見定めることは健康を維持する上で重要な危険予知となります。自覚を伴うもの(痛み、かゆみ、疲労感など)であればわかりやすいのですが、多くの場合自覚することはありませんので、健康診断結果から自覚症状が出現する前に対処することが重要です。

体重の増加は、多くの場合、衣服が窮屈になってきたことで自覚すると思います。その後、血液検査などが少しずつ動き出すことになります。私たちの本能の鋭さを鈍くするのは、私たちの過信からくる油断です。

たとえば、疲労についても、慣れてしまうと、「年のせいか」と思ってしまい、何ら対応しないことがあります。しかし、その前兆をいち早く感じ取ることが重要であり、また検査結果から予見することができるようにヘルスリテラシーを向上させることが必要なのです。

男性の中高年以降の体重の増加は、活動的な生活をしていない場合には、内臓脂肪型肥満への移行でしょうし、女性では閉経後の体重増加は、心疾患やある種のがんの発症リスクを高めることになります。一方、女性が閉経後、体重を維持すること、又は体重を意図的に減量することで子宮体がんの発症リスクを減少させることになります。

体重の増加は、肥満から肥満症へと変化し、さらに2型糖尿病の発症リスクを高めることになりますが、最近の研究報告では、世界のがんの原因の6%は肥満と糖尿病である、とする研究論文も発表されました。加齢とともに体重が増加するのは、膝、足首、腰などに対する負荷を増加させるとともにがんの発症リスクを高めることになりそうです。

特に糖尿病は、この35年間で4倍にも増加していることから、飽食と運動不足については注意が必要です(生活習慣とより関係が深いのは2型糖尿病です)。規則正しい食生活、過食を抑え、多種多様な食物をバランスよく摂り、夜遅い夕食の習慣は、減らすようにすることで、2型糖尿病発症の予防となります。

また、血液検査項目であるトリグリセライド(中性脂肪)も食べすぎ、偏った食事(糖質過剰摂取、食物繊維の摂取不足、過剰な飲酒など)、夜遅い夕食、によって上昇し、その結果、急性すい炎の発症リスクが高くなります。中性脂肪は、血中濃度が高くなると、血液の流れを悪くするばかりか、血糖値を下げるホルモンを分泌するすい臓に炎症を起こすことになり、結果的には糖尿病発症の原因となってしまいます。

日々の生活習慣が体重を知らず知らずのうちに増加させ、筋力の低下と相まって、整形外科的問題を発生させることになります。そして、血液の中の中性脂肪も増加し、その結果は、血液の流れを滞らせ、すい臓に炎症をもたらし、新たな健康問題を発生させることになるのです。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年10月7日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

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