この記事のタグ: 健康管理 健康経営®

経営者に知ってほしい健康経営/第34回 ヘルスリテラシー 医学的根拠に基づいて健康づくり その8 飲酒がもたらす健康と疾病

健康経営®のコラム 2020年3月26日

飲酒と睡眠の深い関係については、Natureという国際的に高く評価されている学術誌にすでに発表されている研究があります。それは、睡眠不足は酔っぱらっていることと同じで、注意力が低下し、仕事がおろそかになる、とのことです。一定以上の血中アルコール濃度は、当然のこととして仕事の遂行効率が悪くなる、ということです。お酒は「百薬の長」でもあり、「百毒の長」でもあります。このことについては、「一杯人酒を飲む、二杯酒酒を飲む、三杯酒人を飲む」と古くからいわれているように、適正飲酒がいかに重要であるかを物語っています。酒に飲まれるようになると、心身の不調に陥ってしまいます。喫煙者の交通事故死が多いとの研究結果がすでに発表されていますが、同じく飲酒運転による痛ましい事故が過去に多く発生していることは多くの方が周知していることです。

過去のいろいろな経験や学術論文から、私なりに「アルコール2の法則」を提唱しています。それは、「1日に飲むお酒は2合まで、週に2日は休肝日を設けること、そして二日酔いに陥らないこと」です。アルコールは、肝臓で代謝されH2O(水)とCO2(二酸化炭素)になりますが、その過程で悪酔いの原因となる代謝産物ができ、この物質が体の不調を招くことになります。いわゆる二日酔いです。

ナイトキャップは、よく眠れるように就寝前に飲むお酒のことで、寝酒ともいわれていますが、実際は、睡眠の質を低下させてしまいます。例えば、夜間覚醒(夜中に目が覚めてしまうこと)が増えてくることになります。また、少量であったのが、徐々に飲酒量が増えてくることによる依存性の問題もあります。

次に、アルコールが肝臓で代謝される過程において、中性脂肪の合成が刺激され、血中の中性脂肪が増えてきます。さらに、飲酒量が増えることで、肝臓に脂肪が蓄積し、脂肪肝となり、脂肪肝炎を発症し、肝硬変へと進行していきます。いずれにしても、アルコール耐性によってだんだんと強くなり、飲酒量が増加することによる健康障害が現れてくることになります。「一杯人酒を飲む」で抑えが利くのであればいいのですが、どうもそうはいかないことが多いようです。つまり、最終的には、アルコール依存症となって、仕事、日常生活に多くの問題が発生するようになります。アルコールは、肝臓だけではなく、心臓、すい臓をはじめとした臓器にも障害をもたらします。さらに、アルコールを分解する際に必要となるビタミンB1が大量に消費され、ウェルニッケ脳症を発症し、歩行障害などの症状が出現することになります。お酒と長いお付き合いをしたい方は、くれぐれも「酒酒を飲む」にならないようにしなければなりません。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2020年1月19日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
特定非営利活動法人健康経営研究会 理事長 岡田 邦夫(おかだ くにお)

岡田先生

大阪市立大学大学院医学研究科卒業後、大阪ガス株式会社産業医、健康開発センター健康管理医長を経て平成8年より同社統括産業医に就任。特定非営利活動法人健康経営研究会理事長、プール学院大学教育学部客員教授健康スポーツ科学センター長、厚生労働省「職場のメンタルヘルス対策検討委員会」委員、文部科学省「教職員のメンタルヘルス対策検討会」委員、厚生労働省「ストレスチェック制度に関わる情報管理及び不利益取り扱いに関する検討会」委員、厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」委員などを歴任。
「健康経営のすすめ」社会保険研究所(共著)、「新版 判例から学ぶ従業員の健康管理と訴訟対策ハンドブック」法研(編著)、「これからの人と企業を創る健康経営」社会保険研究所(共著)、「健康経営推進ガイドブック」経団連出版、「ストレスチェック導入・運用サクセスガイド」メディカ出版など著書多数。
その他、大阪府医師会「健康スポーツ医学委員会」副委員長、一般財団法人大阪陸上競技協会理事、医事部部長、大阪マラソン医事・救護専門部会委員長、独立行政法人労働者健康福祉機構大阪産業保健総合支援センター産業保健相談員、日本医師会健康スポーツ医学委員会委員など。

関連記事