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健康増進につながる規則正しい食生活とバランスのよい食事

個人としての生活を楽しみたい 2021年8月11日

日本人の栄養状態 男性の約3人に1人が肥満者!?

日々、忙しくしていると、どうしても自分のことは後回しになりがちです。掃除や洗濯などは、多少、ため込んでしまってもなんとかなりますが、「食事」だけは後回しにできません。
空腹には勝てないけど時間がない。そのようなとき、多くの人は「適当に食事を済ませる」ことになります。

しかし、本当はこの「食事」に注意することで、健康な体を手に入れることができ、仕事のパフォーマンスも上がります。さらに、健康な体は肥満ではない状態ですので、見た目の印象も良くなります。

厚生労働省「国民健康・栄養調査」(注)によると、肥満者(BMI25以上)の割合は、男性で約3人に1人(33.0%)、女性で約5人に1人(22.3%)となっています。肥満を放置すると、大きな病気につながりやすくなります。
(注)厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2019年)

食生活で健康寿命は大きく変わる

例えば、心筋梗塞や脳梗塞などは日本人の死因の20%以上を占める大変恐ろしい病気です(厚生労働省「人口動態統計(2019年)」)。心筋梗塞も脳梗塞も動脈硬化が原因とされていますが、多くの場合、動脈硬化の原因は糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。

生活習慣病は肥満が原因となることが多いですが、肥満はほとんどの場合、食生活の乱れによるものです。

こう考えていくと、食生活に気を付けることで、健康寿命が延び、仕事や日常生活をより生き生きとしたものにすることができるのです。

1日2食or3食? 規則正しい食生活とは

「食生活が大切であることは分かったけれど、具体的にどうすればいいの?」と思った人もいるでしょう。

ポイントは、「食べるもの」と「タイミング」の2つです。食生活を改善しようとする場合、どちらから着手してもよいのですが、「タイミング」から着手するほうがやりやすいのではないでしょうか。

一言でいえば「規則正しい食生活」ですから、1日3食をできるだけ同じ時間に食べることが、「タイミング」に気を付けることであるといえます。

ここで、「1日3食は食べすぎだと聞いたことがあるけど?」と思った人もいるでしょう。確かに、食事回数を減らせば摂取エネルギー量も減ると思うかもしれません。

しかし、本当は食事回数を減らすと、「1回減らしたから、1食分は増やしても大丈夫」という気持ちになりやすく、1日で摂取したエネルギー量は減少していないことが多いです。さらに、1日2食の場合、体は「2食で1日分のエネルギー量を賄わなければならない」ことを覚えるため、3食食べて同じエネルギー量を摂取したときと比べて、肥満になりやすいことが分かっています。

加えて、1日3食に比べて、1日2食の人は「食後血糖値」が上がりやすいことも知られています。食後血糖値が上がる食べ方は体に負担がかかります。糖尿病でない人も、できるだけ避けることをお勧めします。

他に食事のタイミングのポイントとして、体重減少(ダイエット)を希望する場合は、就寝2時間前までに食事を終えるほうが、体重減少しやすいといわれています。試してみてもよいかもしれません。

健康を維持するための「食生活指針」

厚生労働省と農林水産省は合同で、「食生活指針」を出しています(注)。ここには推奨される「食生活」について10個の指針とその説明が記載されています。特に重要な部分を解説します。
(注)農林水産省「食生活指針について」

【食生活指針】

  1. 食事を楽しみましょう。
  2. 1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
  3. 適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を。
  4. 主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
  5. ごはんなどの穀類をしっかりと。
  6. 野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
  7. 食塩は控えめに、脂質は質と量を考えて。
  8. 日本の食文化や地域の産物を活かし、郷土の味の継承を。
  9. 食料資源を大切に、無駄や廃棄の少ない食生活を。
  10. 「食」に関する理解を深め、食生活を見直してみましょう。

まず、指針の1つ目「食事を楽しみましょう」です。説明を読むと、おいしい食事を味わいながら食べることで、健康寿命が延ばせる可能性があることも書かれています。

コロナ禍で「黙食」が求められている昨今ですので、食を通して家族だんらん・人との交流がしづらいところですが、落ち着いたら、皆で1つのテーブルに集まって食事がしたいものです。

指針の5つ目「ごはんなどの穀類をしっかりと」も重要です。最近は、「低糖質ダイエット」が流行しています。そのため「主食抜き」の食事をしている人も多く見られます。しかし、この「主食抜き」の食事は日本人の体に合いにくいといわれます。特に「米」は日本の風土に根付いた食品です。先祖代々「米」を食べてきた私たちの体は、「米」が非常に合うようにできています。もちろん「米だけ」食べていれば大丈夫というわけではありませんが、米を食べない食生活はNGなのです。

その他、「食生活指針」はSDGsにも通じる内容も記されています。自分のできるところから、食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

夜勤や交代勤務でも規則正しい食生活はできる

ここまで読んで、「そんなことは分かっているけれど、夜勤の日もあるため難しい」と思った人もいるかもしれません。

一般的な社会人の1日の生活は、

7:00 起床・朝食
8:00 自宅を出る
9:00 業務開始
12:00 昼休み・昼食
13:00 午後の業務開始
18:00 業務終了
19:00 自宅到着・食事
20:00 テレビを見るなど趣味の時間
22:00 入浴
23:00 就寝

というようなイメージでしょうか。

確かに、夜勤や交代勤務がある人は、一般的な社会人の1日のスケジュールとは異なったタイムスケジュールで生活する必要があります。 でも、健康になることを簡単に諦めてしまってはいけません。

飲食業など夜の仕事の場合には、例えば、業務開始時間を17時にずらして、1日のスケジュールを考えます。すなわち、一般的な社会人と8時間ずれた生活を送るようなイメージになります。もう少しいえば、日本にいながら時差のある外国で生活していると考えればよいかもしれません。タイムスケジュールを考えるときには、業務終了後の趣味の時間を業務前にずらすなど、アレンジを加えて組んでください。大切なのは、睡眠時間をむやみに削らないことと、1日3回、5~7時間置きのルーティンで食事を取ることができるスケジュールにすることです。

シフト勤務の人は、このタイムスケジュール表をシフトの数だけ作ります。そのタイムスケジュール表上で、食事のタイミングができるだけ同じ時間になるように工夫しましょう。

バランスの良い食事とは?

次に考える必要があるのが「食べるもの」―すなわち「栄養のバランス」です。栄養のバランスというと、分かりにくいですが、このバランスとは、食事の「量」と「質」を考えて食べましょう、という意味です。

例えば、「腹八分目」という言葉があります。これは食事の「量」について適量を示した言葉で、満腹まで食べてしまうと食べすぎなので、「もう少し食べたいな」と思う量で食べるのをやめましょう、という意味です。

「もう少し食べたいな」で食べるのをやめるコツは、大皿盛りではなく個別に盛りつけて食べるようにすると、自分自身が食べた量も分かりやすく、食べすぎないようになります。

料理を用意する際には「一汁三菜」の考え方が役に立ちます。汁物が1つ(一汁)、おかずが3つ(三菜)が、栄養バランスの良い食事であるという生活の知恵です。

ただし、汁に関しては味噌やしょうゆなどで味付けをするため、「塩味」が強くなりがちです。「高血圧や腎臓に負担がかかっている」と医師から指摘を受けたことがあるなど、疾患を持つ人は汁を飲む量に気を付けましょう。

一汁三菜における3つのおかずは、それぞれ「主菜」「副菜」「副々菜」と呼ばれます。主菜は「主なおかず」で、主食材として「たんぱく質」を多く含む食品を用いたもの。給食などでは「大きいおかず」と呼んでいたものです。「副菜」と「副々菜」はどちらも給食などで「小さいおかず」と呼ばれていたもので、野菜を主材料として作ったおかずです。

この三菜がそろうことで、栄養の「質」の良い食事となります。栄養の質が良いということは、現在知られている栄養素がおおむねバランス良く含まれていると考えて大丈夫です。

ただし、毎日同じ食事内容だと、細かいバランスが取れなくなってしまいかねません。また、飽きてしまいやすいため、メニューは毎日、同じにならないように注意しましょう。

その他、栄養の質を考えるためには、小・中学校で学習する「3色(6色)の食品群」など、色で確認する方法もあります。一部を紹介すると、「黄色=炭水化物」「赤=たんぱく質源」「緑=野菜」とし、各3食をさらに2つに分けて、毎食、それぞれのグループから1つ以上の食品が含まれているように食べよう、という食事方法です。子どもたちに食事に興味を持ってもらうという点でも、とても有意義な方法です。

具体的な目安量のガイドとして厚生労働省・農林水産省が推奨する「食事バランスガイド」(注)があります。1日の食事の適量を一目で分かるようにし、食事を主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つに区分しています。こちらを参考にしてみてもよいでしょう。
(注)農林水産省「『食事バランスガイド』について」

食べ方にも気を付ける

最後に、食事を取るときの注意点を紹介します。

まず、早食いは健康に次のような悪影響を与えます。

  • 肥満・生活習慣病に罹患(りかん)しやすくなる
  • 消化器に負担をかける
  • 歯周病になりやすい
  • 美容面に影響を与える(表情筋が弱くなるため)

早食いを防止するためには、食事を取る際に一口30回かむとよいといわれています。

最近は、食品が軟らかくなってきていることもあり、一口10~20回程度噛んで、飲み込んでいる人が多いようです。しかし、かむことで食べ物を唾液としっかり混ぜ合わせることで消化が良くなり、胃への負担が減ります。平均が10~20回ですので、「飲み込もうかな?」と思ってから、さらに10回程度かんでから飲み込むようにするとよいでしょう。

また、10回かもうと意識するだけでなく、一口の量を減らすという方法もあります。

他にも、早食いを防止する工夫として、料理をする際にあえて繊維を残した調理方法を選択する、食物繊維が多く歯応えのある食材を使う、食事の時間を長く取る、などもよいでしょう。

忙しくしていると、食事時間をできるだけ短くして、すぐに仕事に戻りたい、という気持ちになることもありますが、可能な限り、ゆったりした気持ちで食事をすることが、「健康」につながることを忘れないでください。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年8月5日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者:平井 千里(ひらい ちさと)

平井 千里

管理栄養士。小田原短期大学食物栄養学科 准教授。女子栄養大学栄養科学研究所客員研究員。All About 実践栄養ガイド。女子栄養大学大学院 博士課程修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。肥満と栄養摂取の関連について研究。前職は病院栄養科責任者(栄養相談も実施)。現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養情報を発信。

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