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中小企業の健康経営 実践に向けた4つのステップとは?

社員を大切にしたい 2020年3月31日

健康経営は働き方改革とセット

中小企業にとって、社員の健康は無視できないテーマです。社員の不健康を放置すると、次のような「不健康の連鎖」が起こります。

不健康の連鎖の例

不健康の連鎖を防ぐために人材を採用しようにも、人材不足で計画通りには進みません。こうしたことを背景に、

社員の健康に配慮することで、1人当たりの労働生産性向上を実現する「健康経営」

が注目されています。

健康経営の実践を通して、社員を大切にする働きやすい企業であると社内外に示すことができれば、企業イメージは向上します。それが採用面で有利に働き、人材不足の解消につながる可能性もあります。

労働生産性や企業イメージの向上、それによる人材不足の解消を目指すという点で、健康経営は働き方改革と共通しています。そのため、働き方改革の一環として、健康経営を進める企業も増えています。

健康経営実践に向けた4つのステップ

問題は、中小企業が健康経営を実践する際に、いくつかのハードルがあることです。東京商工会議所が2018年7月~8月、全国の中小企業に行ったアンケート調査によると、健康経営を実践する際の課題として、約46%が「どんなことをしたらよいか分からない」、約37%が「ノウハウがない」と答えています。

健康経営を実践する際の課題

このような理由から、健康経営の実践に関心を持っている企業は約98%に達するものの、「現在実践している」と答えた企業は、約21%にとどまっています。健康経営に関心があるものの、手順やノウハウなどの不足により二の足を踏んでいる状況です。

■東京商工会議所「『健康経営に関する実態調査』調査結果について」■
http://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1013695

以降では、手順やノウハウの参考として、経済産業省が示している健康経営に向けた4つのステップを紹介します。それぞれどんなことをするのかを見ていきましょう。

健康経営実践に向けた4つのステップ

STEP1:「健康宣言」を実施しよう

健康経営は、企業全体の取り組みにする必要があります。局所的な取り組みだと、健康に関心のある社員だけが参加し、本来最も参加してほしい「健康に無関心」「多忙で余裕がない」といった層を巻き込むことができなくなります。

そこでまずは、経営者自らが健康経営の意義や重要性を認識し、社員の健康を重視していることを社内外に示すのが効果的です。

具体的には、社員やその家族の健康管理を経営課題として認識し、組織として対策に取り組む旨を、次のように宣言し、明文化します。宣言は、自社のウェブサイトに掲載したり、自社の出入り口、会議室、応接室などに掲示したりして、社内外に発信します。

健康宣言

STEP2:実施できる環境を整えよう

健康経営に取り組むためには、社内体制の整備が欠かせません。まず、経営者層に近い経営的な視点で取り組むことができる「健康経営責任者」を置きます。中小企業の場合は、役員以上の人員が適しているでしょう。

健康経営の失敗例でありがちなのは、「人事や総務の担当者だけで取り組んだ結果、他の経営戦略上の重要施策を優先して途中で頓挫してしまう」というものです。これを防ぐために、経営者自らが健康経営責任者となり、トップダウンで進めるケースが見られます。

その上で、健康経営責任者の下に、人事や総務の担当者などから成る「推進チーム」を設置します。推進チームは、経営者の強力なリーダーシップの下、現状把握、教育・研修といった具体的な施策の立案・実行、社員への働き掛けなど、実行部隊として行動します。

STEP3:具体的な対策をしよう

企業は、労働安全衛生法によって社員の定期健康診断とストレスチェック(50人未満の事業場は努力義務)を実施することが義務付けられています。健康経営の担当者は結果表から、社員の心身の健康状態を知ることができます。結果表の見方については、次の記事で詳しく解説しています。

■経営者が知っておきたい健康診断の基礎知識■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300025/

結果表に加え、社内アンケートや管理職への聞き取りなどで集めた個々の社員の職場環境(例:勤務時間、食事の時間帯など)を組み合わせることで、

「事務職でメタボ予備軍が多いのは、多忙のために朝食を取らず、朝昼兼用でコンビニ弁当を社内で食べる社員が多いのが原因ではないか」

といった、自社特有の健康課題を洗い出します。

自社の健康課題が見えたら、それを解決するための目標を定めます。目標はできるだけ具体的な数値にし、効果を検証できるようにします。また、目標の期限も「1年後」など、具体的に決めて定期的な検証ができるようにします。

健康経営の目標の例

目標を立てたら、それを実現するための具体的な施策を考えます。例えば、定期健康診断の再検査・精密検査の受診率を100%にすることを目標に掲げている企業の場合、「勤務日以外に受診する場合に出勤扱いとし、給与、交通費を会社が負担する」といった施策が考えられるでしょう。

STEP4:取り組みを評価しよう

目標を設定し、施策を実施しても、効果の検証をしないままでは、健康経営が着実に推進できているか分からず、改善策も講じにくくなります。

そのため、定期的に計画した目標の達成度を測ったり、社員へのヒアリングやアンケートを実施して生活習慣・健康状況の改善度合い、参加者の満足度、仕事のモチベーションアップなどの効果を確認したりした上で、改善策を検討します。

例えば、定期健康診断の再検査・精密検査の受診率が目標の100%に届かなかった場合、

「なぜ受診しない人がいたのか(例:業務が多忙、意識が低い)」

といった検証・分析を行い

「受診させる方法は何か(例:周知を徹底する、正当な理由なく受診を拒む社員については懲戒処分の対象とすることを検討する)」

といった改善策を講じることになるでしょう。

ここまでが、健康経営の大まかな手順です。実際に取り組んでいく際には、施策の効果を高めたり、外部の力をうまく活用したりといった工夫が重要になります。そうした具体的なポイントについては、次の記事で紹介しています。ぜひご覧ください。

■中小企業が健康経営の効果を高める2つのポイントとは?■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300044/

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

■健康経営研究会■
http://kenkokeiei.jp/

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年12月13日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者:日本情報マート

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