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中小企業が健康経営の効果を高める2つのポイントとは?

社員を大切にしたい 2020年4月6日

健康経営の効果を高めるには

健康経営は、すぐに社員の健康状態が良くなったり、生産性が向上したりすることは少なく、中長期の取り組みになります。短期間での効果検証と改善が難しい以上、1回1回の施策の精度を高めることが重要になります。

中小企業は、健康経営に投入できる人員や予算に限りがあります。その中で、施策の精度を高める2つのポイントを紹介します。

なお、健康経営の基本的な手順と概要については、次の記事でまとめています。「どんなことをしたらよいか分からない」という方は、まずはこちらからご覧になるのがおすすめです。

■中小企業の健康経営 実践に向けた4つのステップとは?■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300043/

ポイント1:「できる施策」からやってみる

1)長続きする施策を考える

何より重要なのは、施策を長続きさせることです。きちんと効果検証を行うためにも、途中で頓挫しない、長続きする施策を打つことが重要です。

中小企業の場合、「社員に、1時間に1回のストレッチ休憩を勧奨する」など、自社や社員にとって、多くの資金や手間を必要としない簡単な施策から始めることがポイントです。

中小企業が取り組みやすい施策としては、次のようなものがあります。

目標別に見る施策の例

2)社員が気軽に楽しめるか?

取り組みやすい施策を打つだけでは、長続きするとは限りません。本当に社員が、「気軽」に実施できるか、さらに言えば、社員が「楽しい」「うれしい」と感じることができるかという視点で、施策を考えることが大切です。

例えば、社員向けの健康関連のセミナーや勉強会を実施する場合は、単なる座学ではなく、社員自らが体を動かして、健康の大切さや自分の体の弱点(良くないところ)に気付くことができるような体験型のものがよいでしょう。

社員が普段行っている「歩き方」「立ち方」「座り方」などを理学療法士など専門家に見てもらい、正しい姿勢と何が違うのか、正しい姿勢に直すとどのくらい気持ちが良いか、効果があるかなどを、従業員一人ひとりが体感できるものがあります。

また、同じ「体を動かす」でも、レジャー感覚で社員が参加できるものを取り入れている企業もあります。例えば、全社的にウォーキングを推奨し、歩数をアプリやウェブサービスなどで管理して部門ごとに競う取り組みなどは、社内を盛り上げるイベントの1つとしても有効です。

他にも、アプリやウェブサービスには、仕事が忙しくても、分かりやすく手軽に使えるという点で注目されているものがあります。例えば、ウェブ上で簡単に腰痛診断などができるサービスは、専門家にチャットで手軽に相談できるという機能が付いています。

また、食事について、社員に働き掛けている企業もあります。経営者や社員、来客などがサラダなど健康的なランチを皆で一緒に楽しむようにしたり、中には、食材にも気を使ったカレーなどを経営者が自ら料理して社員にふるまい、社員を喜ばせたりしている例もあります。

ポイント2:外部の力をうまく活用する

1)無料の専門家による相談・派遣サービスを利用してみる

考えた施策が、自社の健康課題をどれほど解消するのかどうかは、やってみるまでは分かりません。しかし、これまで他社の健康経営に携わってきた専門家の知見を得ることで、施策の成功確率を高めることができます。

国が健康経営を推進していることもあり、協会けんぽや自治体によっては、無料で専門家を派遣したり、専門家が相談に乗ってくれたりするところがあります。

例えば、協会けんぽの都道府県支部によっては、希望する企業に対して、特定健康診断(いわゆるメタボ健診)のデータを活用して、社員の健康度や生活習慣の課題などをグラフで「見える化」した「事業所カルテ」を無料で発行してくれるところがあります。事業所カルテを活用すれば、自社の健康課題の洗い出しが容易になります。

また、自治体の多くが、企業の健康経営推進を支援する部署を設置し、支援事業を行っています。無料で専門家によるセミナーを開催している他、中小企業診断士、社会保険労務士、保健師、労働衛生コンサルタント、健康運動指導士などを無料で派遣してくれる自治体もあります。

2)自社の健康課題に合った専門家を選ぶ

専門家の力を借りる際に考慮すべきなのは、その職種によって健康経営に対する強みや専門性が異なるという点です。自社の健康課題に合わせて、専門家を選ぶとよいでしょう。

1人の専門家だけに頼っていては、支援内容は限定されることもあるでしょう。幅広い視点で、健康づくりの課題を抽出するためには、複数の専門家や関係機関と連携することも有効です。

職種ごとの強み、専門性の違いの例

同時に、健康経営推進の担当者、経営者、従業員が健康経営の知識を身に付けることも重要です。

東京商工会議所は経済産業省からの委託を受けて、「健康経営アドバイザー制度」を2016年に創設しました。健康経営の必要性を伝え、実施へのきっかけをつくる人材を育成するための研修プログラムで、インターネットで受講できるe-learningでも提供しています。

こうしたサービスを活用して健康経営に関する知見を高めることで、専門家や関係機関とのやり取りを、より円滑に進めることができます。

3)助成金を活用する

助成金の中には、健康経営への取り組みをサポートするものもあります。

例えば、「受動喫煙防止対策助成金」は、健康経営の一環として喫煙室などを設置・改修したいと考える中小企業に対し、工費、設備費、備品費、機械装置費などの2分の1(飲食店は3分の2)で上限100万円を助成しています。

■厚生労働省「受動喫煙防止対策助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html

また、「キャリアアップ助成金(健康診断制度コース)」は、有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に1事業所当たり38万円~48万円(中小企業の場合)を助成しています。

■厚生労働省「キャリアアップ助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

ちなみに、上記で紹介した助成金はいずれも2019年度時点の内容です。助成金は、企業の多種多様な課題やニーズに幅広く対応するため、その時々で、国が推し進める政策に基づいて新設・改定されているので注意が必要です。

助成金の活用については、「助成金の数が膨大で探している時間がない」「手続きが複雑でよく分からない」といった理由で申請をためらうこともあるでしょう。そのような場合は、前述したように専門家や自治体、健康経営アドバイザーの他、協会けんぽなどに相談するとよいでしょう。

以上

※「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

■健康経営研究会■
http://kenkokeiei.jp/

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2019年12月13日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者:日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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