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女性社員の健康課題をサポートし、健康経営をさらに推進!

社員を大切にしたい 2021年7月29日

女性特有の健康課題。フォローに困っていませんか?

「部下である30歳の女性社員の体調が悪そうで心配です。声をかけると、『大丈夫です』と答えるのですが、仕事にも集中できないようです…」

産業医・労働衛生コンサルタントである私は、日々さまざまな企業から働く人の健康や職場環境に関する相談を受けています。月に1度ほど訪問する従業員数60人ほどの企業の総務部長の方(50代男性)から、こんな相談を受けました。

私は、総務部長のお話を聞いて、その女性社員は月経(いわゆる「生理」)に伴う体調不良で悩んでいるのではないかと思いました。
女性社員の約半分が、「生理や更年期障害に伴う体調不良によって、職場で困ったことがある」としています(経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」)。こうした女性特有の健康課題について、女性は男性に言い出しにくいと感じています。男性としても、どこまで聞いていいものなのか、フォローが難しいと感じていらっしゃると思います。

しかし、それほど構えて考える必要はありません。前提となるのは、性別を問わず体調が悪いときに遠慮なく申し出て、休むことができる職場づくりです。これに加えて、女性特有の健康課題について基礎的な知識を持ち、フォローできればよいと思います。

なぜ、女性社員は体調不良を訴えにくいのか?

社員の健康管理では「体調不良があるか/ないか」、それによって「業務に影響があるか/ないか」に注目します。これに性別は関係ありません。そして体調が悪いようなら、「少し休憩し、改善しないようなら今日は帰宅してもいいよ」といったように声掛けするのが基本です。

また、体調不良のときはしっかりと休みが取れる必要がありますが、これが意外と実現できていない職場があるようです。

例えば、女性特有の健康課題でいえば、「生理は病気ではないのだから、多少無理をしても大丈夫」といった考えを持つ人もいるようです。症状には個人差があるため、女性同士でもそのつらさを理解できない場合があります。そのため、女性の上司だから理解があるというわけでもなく、自分の経験を他の女性社員に当てはめてしまいがちです。

周囲の知識や理解が乏しいことは、日ごろのちょっとした言動にも表れます。そうすると女性社員は「生理に伴う体調不良だと言っても、理解してもらえない」と諦め、体調不良を言わないようになります。

調査によると、生理休暇が活用されない理由として、「制度的に活用しづらい」(43.8%)、「上司や周囲の理解が浸透しておらず活用しづらい」(27.4%)、「前例がない」(25.2%)などと回答する人が多くなっています(注)。
これらの理由は独立して存在しているのではなく、「前例がないので、上司や周囲の理解が浸透しない」「上司や周囲の理解が乏しいので、制度を積極的に活用しようと思わない」といったように絡み合っているのでしょう。
(注)経済産業省「働く女性の健康推進に関する実態調査報告書」。『勤務先で「働く女性」に対するサポート・配慮が活用されない理由』を問うた中から、「生理休暇」に関する項目の回答を抜粋しています。

こうした問題を解決するために何をすべきか、次章でご紹介します。健康課題への知識・理解を深める、休暇制度の活用を推進するなどの取り組みなので、ぜひ、取り入れてみてください。

女性社員が元気に働ける職場づくりに必要なこと

1)女性特有の健康課題への知識・理解を深める研修を実施する

まずは、女性特有の健康課題への知識・理解を深めることから始めましょう。企業に医療専門職を招き、生理や妊娠出産に関して管理職が行うべき健康管理の研修を実施します。オンライン研修・セミナーなどを提供している場合もあるので、検討してもよいでしょう。

2)申請しやすい休暇の名称に変更する

いわゆる「生理休暇(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)」を与えることは、法令で義務付けられています。しかし、一部の女性社員からすると、自身が「生理」であることを告知しているのと同様なので、申請に抵抗感があるようです。

そこで、休暇の名称を変更してみましょう。実際、生理休暇を「ウエルネス休暇」や「F(エフ)休暇(Femaleの頭文字)」などの名称に変更している企業があります。
こうした企業では、名称変更だけでなく、生理休暇に限定せず更年期による体調不良・婦人科治療・不妊治療・妊娠中の検診などを含める、通常の有給休暇を含めて女性社員が取得する休暇は全ウエルネス休暇・F(エフ)休暇とし、利用用途が分からないようにするなどの工夫をしています。

3)健康相談窓口やアプリの活用を検討する

専門家に健康相談ができる窓口を設置するのも効果的です。とはいえ、健康相談窓口の設置には医療専門職の確保のためにコストがかかります。
最近では、アプリを介して、オンライン上で医療専門職に相談、アドバイスをもらえるサービスも多数存在しているので、活用を検討してもよいでしょう。アプリの場合も料金はかかりますが、社員が気軽に活用できますし、健康管理にも有効です。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年4月30日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
佐藤乃理子 産業医・労働衛生コンサルタント

佐藤先生

2002年、藤田保健衛生大学医学部卒業。泌尿器科医として病院に勤務しながら、がん治療薬の基礎研究に当たった。2010年に厚生労働省健康局へ出向して臓器移植関連の政策に従事し、2013年に北里大学医学部に所属し、同大学病院の医療マネジメント、経営企画に参画。2015年に日本医師会認定産業医となり、複数の企業の嘱託産業医を務めてきた。2020年4月に労働衛生コンサルタントを取得し、幅広く働く人の健康や職場環境の管理に関する相談を受ける。また、東京都檜原村で労働環境やライフスタイルの在り方を提案する「檜原ライフスタイルラボ」の共同代表を務める。

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