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「新しい生活様式」で注目の自転車通勤 導入時のポイントは?

社員を大切にしたい 2021年3月23日

3密回避や健康増進効果で注目!

政府が発表した「新しい生活様式」の実践例では、通勤手段の1つとして自転車の利用が推奨されています。自転車通勤は、新型コロナウイルス感染症対策として3密回避につながる上、従業員の健康増進策にもつながります。そこで、従業員に自転車の利用を促すためのポイントを、2回に分けて解説します。1回目は、自転車通勤の導入を検討している経営者のために、従業員が自転車通勤をしやすい環境の作り方について紹介します。

なお、自転車通勤をする従業員の悩みの解消について、次の記事で解説しています。

■自転車通勤者の3大悩み(汗・駐輪場・通勤距離)を解消する方法■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300064/

自転車通勤の導入で企業が享受できるメリット

1)「健康経営」につながる

自転車通勤の導入によるメリットはさまざまですが、国土交通省や自転車活用推進官民連携協議会では次のように紹介しています。自転車通勤によって従業員が健康的に働ける職場が形成され、企業全体の生産性向上を目指す「健康経営」の実践にもつながることが分かります。

【企業のメリット】

  • 経費の削減:通勤手当や社有車、駐車場の維持にかかる固定費などの削減が期待されます 生産性の向上:時間管理や集中力、対人関係、仕事の成果など、生産性の向上が期待されます
  • イメージアップ:環境に優しい、健康的といった事業者のイメージアップや社会的な評価につながります
  • 雇用の拡大:従業員の自転車通勤を認めることで雇用範囲が広がり、雇用の拡大につながります

【従業員のメリット】

  • 通勤時間の短縮:約500メートルから5キロメートル弱の近・中距離での通勤時間の短縮に効果的であり、定時性にも優れています
  • 身体面の健康増進:自転車通勤は内臓脂肪を燃やし、体力・筋力の維持・増進に役立ちます。さらに、がんや心臓疾患による死亡・発症リスクの軽減が期待されます
  • 精神面の健康増進:適度な運動に加え、電車や車の移動では得られない心地よさが得られるため、気分・メンタルの向上につながるといわれています

2)国や地方自治体も自転車通勤を後押し

自転車通勤は、環境問題への対応、人口減に伴うコンパクトシティ化の推進、災害時の交通機能の維持など社会的なメリットも多いことから、国や地方自治体も導入を推進しています。

国土交通省や自転車関係の団体などでつくる自転車活用推進官民連携協議会は、2020年4月から自転車通勤推進企業宣言プロジェクトを開始しました。「宣言企業」に認定された会社や事業所は、同協議会のウェブサイト上で公表されるとともに、自社のウェブサイトや名刺などに、認定ロゴマークを使用できるようになります。宣言企業の中で自転車通勤をしている従業員が100人以上もしくは全従業員数の2割以上を占めるなどの条件をクリアした企業は、「優良企業」に認定されます。

■自転車通勤推進企業宣言プロジェクト■
https://www.jitensha-kyogikai.jp/project/

また、自転車通勤を推進している企業をウェブサイトで紹介している地方自治体もあります。例えば、愛媛県では「自転車ツーキニスト推進事業所登録制度」を実施しており、登録している企業を同県のウェブサイトで紹介しています。推進事業所に登録すると、同県が募集している「えひめツーキニスト応援隊」が提供する団体割引などの特典を受けられることができます。現在、応援隊には飲食店や自転車店、宿泊施設など約100店が登録しているといいます。

従業員の自転車通勤を促進する方法

自転車通勤を広めるには、従業員の要望を聞き、自転車通勤をしやすくするために環境を整備することが不可欠です。従業員の自転車通勤を促進する施策には次のようなものがあります。

1)駐輪場やロッカールームなどを整備する

自転車で出勤した従業員は、自転車をどこかに置かなければなりません。自社の敷地内に駐輪場があれば理想的ですが、そうでなくても企業の近くの駐輪場を借り上げ、自転車を止める場所を用意してもよいでしょう。

また、自転車通勤をする人は、ヘルメットや、季節によっては防寒具などを着用します。自転車通勤時は、仕事用の服とは違う専用のウエアを着たいという人もいるでしょう。ヘルメットや防寒具を保管でき、着替えもできるロッカールームがあると便利です。
スペースの問題などから駐輪場やロッカーの整備が難しい場合、自転車通勤手当などを支給するのも一策です。

2)多様な自転車通勤の形態を認める

自転車通勤は「自宅から職場まで毎日自転車に乗る」という人だけではありません。自宅から職場までが遠距離の従業員や、毎日は自転車に乗りたくないという従業員も取り組めるようにしましょう。
例えば、自転車通勤の形態には次のようなバリエーションがあります。

  • 自宅から最寄り駅までのみ自転車を使用する
  • 雨の日などは、公共交通機関や乗用車を使用する(この場合、企業は実費を支給する)
  • 自転車通勤の途中で、子供を保育園などに送迎する(ただし事故時は労働災害には認めない)
  • 通勤の一部にシェアサイクルを使用する

3)服装規定を緩和する

スーツにネクタイ姿で自転車通勤をするのは楽ではありません。そこで、対外的な業務などに支障がない範囲内で、自転車通勤に適したラフな服装などを認めるとよいでしょう。

最も怖い交通事故。防止策や事故後の対応策を事前に準備しよう

自転車通勤を導入する上での最大の懸念は交通事故です。自転車通勤を導入する際は、従業員に対する事故防止のための安全教育の計画や、事故の際の対応方針を定めておきましょう。ここでは、自転車活用推進官民連携協議会が2019年5月に公表した「自転車通勤導入に関する手引き」を基に、事前に会社が行っておいたほうがよい準備を5つ紹介します。

1)自転車や自転車通勤時の安全基準を定める

従業員が使用する自転車に関して、ライトやベル、反射板など、安全に関わる装備の基準を定めます。定期的に自転車の点検をすることも盛り込みます。例えば、自転車安全整備士が点検確認した自転車であることを示すTSマークの取得を義務付けておくのもよいでしょう。また、自転車通勤を行う際の規定として、ヘルメットを着用することや、飲酒後は運転しないことなどを定めます。

2)安全教育の受講を義務付ける

安全運転のための指導を受講することを義務付けます。自転車活用推進官民連携協議会のウェブサイトでは、安全教育活動に取り組んでいるさまざまな団体を紹介しています。

■自転車活用推進官民連携協議会「交通安全教育の推進」■
https://www.jitensha-kyogikai.jp/project/#section3

安全教育を受講する際には、自転車運転時のルールやマナーも学ぶことを推奨するとよいでしょう。

3)保険の加入

自転車通勤者に、自転車損害賠償責任保険などへの加入を義務付けます。保険料は、企業側が手当などの形で支給するとよいでしょう。事故でけがをした場合に備え、傷害保険の加入も勧めましょう。また、企業が団体保険に加入するのも一策です。地方自治体によっては、条例で自転車損害賠償責任保険などへの加入を義務付けたり、奨励していたりするところもあります。

なお、シェアサイクルを使用する従業員がいる場合、シェアサイクル事業者が自転車損害賠償責任保険などに介入しているかどうかを必ず確認しましょう。

4)従業員の通勤経路を確認しておく

従業員に自転車通勤の経路を届け出てもらいます。必ずその経路を守ることを強制することはできませんが、通勤と逸脱(プライベート)について一定の線引きをしておくことは、労災の観点からも大切です。

5)交通事故発生時の対応マニュアルの作成

交通事故を起こした際の対応マニュアルを作成し、従業員に周知します。交通事故発生時の社内の対応窓口を決める他、警察への連絡や労働基準局への報告などを含め、交通事故発生後に必要な作業の手順を明記しておきましょう。

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年3月16日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者:日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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