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ラインケア研修とは? 研修の目的や効果、内容を徹底解説!

社員を大切にしたい 2021年10月5日

「ラインケア研修ってどういうもの?」
「ラインケア研修って必要?」
「ラインケア研修を受けると、どんな効果が期待できるの?」

など、あなたは今、ラインケア研修について興味を持っていませんか?

ラインケア研修とは、管理職が部下のメンタルをケアする方法を学ぶ研修のことで、例えば、「部下のメンタル不調のサインに気がつく方法」「メンタル不調が原因の休職から復職までのサポート方法」といった項目を学ぶことが一般的です。

メンタル不調によって、休職や退職をする社員が多くなってきている昨今の事情を踏まえると、一番近くにいる管理職が部下のメンタルをケアするのは非常に大切なことです。

ラインケア研修を受けて、管理職が部下のメンタルをケアできるようになれば、退職者が減って優秀な人材の流出を防いだり、職場環境が改善して業務における生産性が上がったりなど、会社にとって大きなメリットがあります。

そこで、本記事では、

  • ラインケア研修とは?
  • ラインケア研修の具体的な内容
  • ラインケア研修を取り入れることで得られる4つの効果
  • ラインケア研修を取り入れるべき会社
  • 無料で利用できる厚生労働省のラインケア研修資料

について解説していきます。

ラインケア研修を会社に取り入れるかどうか悩んでいる人が、知りたいと思うことをまとめた記事になっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

本記事を読むことで、ラインケア研修の目的や効果、受講するメリットを理解でき、自分の会社にラインケア研修を取り入れるかどうかを判断できるようになります。

ラインケア研修とは?

「ラインケア研修」については、「初めて聞いたけど、どういう研修なの?」「そもそもラインケアって何?」と疑問に思う人も多いかもしれません。

そこで、本章では、「そもそもラインケアとは何なのか?」を説明した後、ラインケア研修について具体的に解説していきます。

1)そもそも「ラインケア」とは管理職が部下の心のケアをすること

ラインケアとは、職場の管理職が部下のメンタル不調にいち早く気がつき、適切なケアを行ったり、職場環境を改善したりすることを指します。管理職が部下の相談に乗ったり、必要であれば産業医など専門家につなげたり、また、ストレスの原因を取り除く対策に着手したりすることが含まれます。

メンタル不調は自分自身では気がつきにくいものですが、管理職が客観的な視点で部下の様子に気がつきケアをすることで、メンタルヘルスの問題が深刻化するのを防ぐことができるのです。

そして、ラインケアは、下記のように、厚生労働省が定める「職場における4つのメンタルヘルスケア」の1つとしても定められています。

厚生労働省では、上記4つのメンタルヘルスケアを効果的に行うことで、職場の労働災害を予防することを推奨しています。

2)ラインケアが重要な理由

ラインケアは職場のメンタルヘルス対策の中で非常に重要な役割を果たしています。なぜなら、ラインケアが機能しているか、していないかによって、職場の雰囲気や休職者などの人数に大きな影響が出るからです。

会社内におけるメンタルヘルスケアの重要性は年々高くなってきており、厚生労働省「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、「メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者がいた事業所の割合」は7.8%、「退職者がいた事業所の割合」は3.7%となっています。

上記の数字を見るとどの会社も決して人ごとではなく、また、上記の数字には出ていないものの、すでにメンタル不調を抱えていて、休業や退職のリスクが高い社員がいる可能性もあります。

メンタル不調で社員が休職や退職をしてしまうと、優秀な人材がどんどん流出してしまったり、新しい社員を雇うための費用がかかったりなど、会社にとっていいことは1つもありません。

そのため、ラインケアを行い、メンタル不調者にいち早く気がつき、適切なケアやコミュニケーション改善に着手することが大切なのです。そうすることで、休職者が出ることを予防し、社員が働きやすく力を発揮しやすい職場環境に整えられます。

3)ラインケア研修は、管理職が部下のメンタルをケアする方法を学ぶ

ラインケア研修とは、管理職が部下のメンタルをケアする方法について学ぶ研修のことです。

前項で、ラインケアは職場のメンタルヘルス対策の中で非常に重要なものであることをお伝えしました。

ただ、ラインケアを適切に実施するためには、ラインケアの目的や効果、メンタルヘルスについての基礎知識、メンタル不調者のサインや部下への声かけ方法、職場環境改善方法など、さまざまな知識が必要です。

管理職になったからといって、最初から適切なラインケアができる人はそう多くはないでしょう。

そのため、ラインケアを適切に行うため、会社側は管理職などに「ラインケア研修」を受講させることが必須になります。

次章からは、ラインケア研修の具体的な内容について解説していきます。

ラインケア研修の具体的な内容

ラインケア研修で具体的にどのような内容を学ぶのかについて解説していきます。

ラインケア研修は主に民間企業が提供していることが多く、提供方法も講師を派遣する方法やオンラインで実施する方法など色々あります。

ラインケア研修の研修期間や費用は会社によって違いますが、一般的に半日程度で終了し、費用は、1人当たり2万円から5万円であることが多いです。

専門的な内容についてより深く学ぶ場合には、1週間程度要することもあり、費用も高くなります。

ここからは、ラインケア研修で扱う具体的な内容について解説していきます。

1)メンタルヘルスに関する基礎知識

ラインケア研修では、まず、メンタルヘルスに関する基礎知識から始めることが一般的です。例えば、下記のようなことについて学んでいきます。

  • 職場のメンタルヘルスについて
  • 労災に係る判例など
  • 会社としてメンタルケアに取り組む意義

最近では、仕事によるストレスに関連した裁判が増えており、社員の心の状態に気を配ることは、どのような会社でも無視できない課題になっています。

そのため、職場のメンタルヘルスの課題や実際に労災認定された事例を踏まえ、会社としてメンタルケアに取り組む意義について、管理職にしっかりと理解させることが大切です。

2)ストレスやメンタル不調への理解

次に、ストレスやメンタル不調への理解を深めていきます。具体的には下記のようなことについて学びます。

  • ストレス要因
  • ストレス反応
  • うつ病などの精神疾患の知識

ラインケアによって部下のメンタルをケアするためには、管理職がストレスについて深く理解していることが重要です。

そのため、どのような職場環境や状況の下でストレスが発生しやすいかを学び、自分の会社と照らし合わせていきます。管理職として反省すべき点が見えてくるかもしれません。

また、うつ病などの精神疾患については、正しい知識を学んでいない場合、誤解が生じることも多いです。「心の病は気の持ちよう」などと考える管理職がいては、部下の状態は悪化していく一方でしょう。

そのため、うつ病などの精神疾患についても詳しく学んでいきます。

3)部下のメンタル不調のサインに気がつく方法

部下のメンタル不調に気がつけるよう、

  • メンタル不調のサイン
  • メンタル不調に気がついたときの対処方法

などについて学んでいきます。

メンタル不調者は必ずサインを出しています。例えば、ミスが多くなったり、感情的になったりなど、管理職が気を配ることができれば気がつけるサインです。

部下のメンタル不調のサインに気がつく方法と、気がついた際にどのように対応すべきかについて理解を深めていきます。

ここで、部下への声かけや傾聴の「演習」が入る研修もあります。

メンタル不調の部下への対応を間違えると、問題が深刻化してしまう可能性があるので、ここで対応方法や傾聴方法についてしっかり学んでいきます。

4)メンタル不調が原因の休職から復職までの支援について

部下のメンタル不調が悪化して休職することになった場合の対応や、復職する際のケアについても学んでいきます。

具体的には、下記のような項目について理解を深めていくことになります。

  • 休職から復職までのステップ
  • 部下を支援する方法
  • 復職後の仕事について
  • 個人情報保護について

実は、メンタル不調で休職していた社員が職場に復帰した後に周囲が対応を間違えてしまい、再びメンタル不調に戻ってしまうという事例は少なくありません。

そのため、復職した部下の精神状態や対応について事前に知っておいた上で、正しいサポートをすることが非常に重要になります。

また、管理職は、部下の健康情報を含む個人情報の保護および部下の意思の尊重に努めなければならないため、個人情報保護などについても学んでいきます。

5)職場の環境づくりについて

そもそもメンタル不調に陥る社員を出さないために、下記のような項目を通して、どのように職場環境を整えればいいのかについて学びます。

  • 部下とのコミュニケーション方法について
  • 相談しやすい職場環境づくりについて

部下のメンタル不調にいち早く気がつき対処すれば、問題の深刻化や職場への影響は最小限にとどめることができます。

とはいえ、一番はメンタル不調になる部下を出さないことなので、メンタル不調者を出しにくくする職場環境のつくり方について学ぶことが大切です。

以上、一般的なラインケア研修の内容について紹介しました。

ただ、ラインケア研修を学んだとはいえ、「すぐに適切なラインケアができるようになるか?」といったら、それは難しいかもしれません。

実際は、会社によって職場の状況や部下のタイプ、仕事の性質は大きく異なるため、それぞれの部下や職場環境に合わせた対応が必要になるからです。

そのため、研修で学んだことを少しずつ実践し、トライアンドエラーを繰り返しながら、中長期的な視点で、部下のメンタルケアや職場環境改善に取り組むようにしましょう。

ラインケア研修を取り入れることで得られる4つの効果

ラインケア研修を取り入れることで得られる、下記4つの効果について解説していきます。

  • 人間関係が改善して業務効率化につながる
  • 優秀な人材の流出を防ぐことができる
  • 管理職自身も自分の心のケアができるようになる
  • 会社のイメージダウンや訴訟負担のリスクを軽減できる

一つ一つ解説していきます。

1)人間関係が改善して業務効率化につながる

ラインケア研修を受けることで、職場の人間関係を改善させ、業務効率化につなげることができます。

ラインケア研修では、メンタル不調者を出さないための職場環境づくりについて学ぶため、職場のコミュニケーションが増え、社員が働きやすくなるという効果が期待できます。
このように職場の人間関係が改善されれば、当然、各社員のモチベーションにも良い影響を与えるため、生産性アップや業務効率化につなげられる、ということです。

2)優秀な人材の流出を防ぐことができる

ラインケア研修を受けることで、優秀な人材の流出を防ぐという効果があります。
メンタル不調者が相次いでいる会社では、優秀な人材はその会社に見切りをつけて、別の会社に移ってしまうということも多いでしょう。

また、メンタル不調で休職している社員の穴を埋めようと優秀な社員が忙しく働いた結果、その社員が心身の健康を害してしまい、会社から去ることもあるかもしれません。

そのため、管理者がラインケア研修を受講して、メンタル不調者が出ないよう部下の心のケアをすることは、結果として優秀な人材の流出を防ぐことにつながるのです。

3)管理職自身も自分の心のケアをできるようになる

ラインケア研修を受けることで、管理職自身も自分の心のケアができるようになります。
ラインケア研修においては、主に部下の心のケアの方法について学びますが、研修を通してメンタルヘルスへの理解が深まり、ストレス反応や心のケアの方法に詳しくなることができます。

そのため、管理職が自分自身の心の変化に気づき、休息や睡眠を改めるなどのケアがすぐにできるようになるのです。

ラインケア研修を受けることで、大きな責任を背負い、常にストレスにさらされがちな管理職自身も、自分の心を守ることができるようになります。

4)会社のイメージダウンや訴訟負担のリスクを低減できる

ラインケア研修を受けることで、会社のイメージダウンや訴訟負担のリスクを低減できます。
どういうことかと言うと、会社には「社員が安心して働ける環境を整える義務」があります。これは、労働契約法第5条において「安全配慮義務」として定められているものです。

この「安全配慮義務」には、会社側が社員の「身体」の安全に配慮するという意味だけでなく、「心」の安全や健康にも配慮するという意味が含まれています。

そのため、会社側は社員のメンタル不調に対して必要なケアや対処が求められているのです。
「安全配慮義務」自体には罰則規定はありませんが、「安全配慮義務」を根拠として損害賠償が認められた判例も存在しています。

つまり、社員のメンタル不調をケアせずに放っておくと、会社側の訴訟負担のリスクや、損害賠償を命じられるリスクがあるということです。このような事態になると、会社のイメージは大きくダウンしてしまうでしょう。

そこで、ラインケア研修を受講して、社員の心のケアに気を配り、このようなリスクを低減することが大切になるのです。

ラインケア研修を取り入れるべき企業

「うちの会社はラインケア研修を行ったほうがいいのだろうか?」と悩んでいる人に向けて、下記のラインケア研修を取り入れるべき企業について解説していきます。

  • メンタル不調による休職や退職が相次いでいる
  • 慢性的に社員が仕事の忙しさに悩まされている
  • 社員のモチベーションが低いことに悩んでいる
  • 管理職がメンタルヘルスの重要性を理解していない

もちろん、上記のような状況になかったとしても、予防のためにラインケア研修を取り入れることに大きな意義はあります。

ただ、上記のような状況が見られるようであれば、早急にラインケア研修を取り入れることを検討したほうがいいでしょう。

1)メンタル不調による休職や退職が相次いでいる

メンタル不調による休職や退職が相次いでいる場合には、すでに職場では適切なコミュニケーションが取れなくなっており、社員のモチベーションも下がっているような状況でしょう。
また、このままの状況を放置し続けると、生産性が下がる、業績が悪化するなど、会社にとって大きなダメージにつながることが予測されます。

そのため、業務の適切な割り振りや職場環境改善、社員へのヒアリングなどすぐにできることに着手しつつも、ラインケア研修の受講を検討しましょう。

ラインケア研修を受けることで、メンタルヘルスケアの重要さを社員それぞれが理解し、管理職が部下のケアができるようになれば、少しずつ休職や退職する社員は減っていくはずです。

また、コミュニケーションが活発になって職場環境が改善し、生産性や業績の悪化も防ぐことができるでしょう。

2)慢性的に社員が仕事の忙しさに悩まされている

慢性的に社員が仕事の忙しさに悩まされている場合にも、ラインケア研修を受けることをお勧めします。

仕事の忙しさが慢性的に続くとメンタル不調になりやすく、また、業務に没頭することで、社員自身が自分の心の不調に気づきにくくなります。

そのため、ラインケア研修を受けて、忙しいときこそ、特に管理職が部下の様子を気にかけるよう意識しましょう。そうすることで、部下の健康やモチベーションが維持され、生産性が上がったり業績がアップしたりなど、会社にとっていい影響につなげていけるのです。

3)社員のモチベーションが低いことに悩んでいる

社員のモチベーションが低いことに悩んでいる場合にも、ラインケア研修を取り入れることをお勧めします。なぜなら、社員のモチベーション低下の要因がメンタル不調やストレスの蓄積であることが考えられるからです。

メンタルの状態が良くないとモチベーションが低下したり、また、ミスが多くなったりなど業務遂行に支障を来します。
そのため、ラインケア研修を受けて、職場でのコミュニケーションを増やすなど職場環境を改善することで、社員のメンタル状態を整え、モチベーションアップにつなげていきましょう。

4)管理職がメンタルヘルスの重要性を理解していない

管理職がメンタルヘルスの重要性を理解していない場合にも、ラインケア研修を受けることをお勧めします。

現在のところは職場がうまく回っていたとしても、仕事が忙しくなったり、人間関係に問題が生じたりしたら、メンタル不調で退職するような社員が次々に出てくるかもしれません。

そのような事態になったときに、メンタルヘルスの重要性を理解していない管理職では対処できるはずがなく、問題は深刻化してしまうでしょう。

そのため、管理職に早めにラインケア研修を受けさせ、メンタルヘルスの重要性を理解し、いざというときに適切な対応ができるように教育しておくことが大切です。

厚生労働省のラインケア研修資料を利用しよう

ラインケア研修の重要性を理解したものの、「まずは無料の資料を利用してラインケアについて学びたい」と考える人もいるかもしれません。

そのような方にお勧めしたいのが、厚生労働省「eラーニングで学ぶ『15分でわかるラインによるケア』」です。PDFの資料はこちらからダウンロードすることができます。

厚生労働省のラインケア研修資料の構成は下記の通りです。

上記サイトには、「クイズ・ラインケア」のように知識の定着を測るツールも用意されていますので、まずは、会社内の全ての管理職に受講させてみるのもよいでしょう。もしくは、上記資料を利用して管理職向けの社内研修を行うのもお勧めです。

また、民間の研修機関のプログラムを受講予定の会社でも、上記資料を利用して前もって学んでおくと、研修内容への理解が早くなるでしょう。

まとめ

本記事では、

  • ラインケア研修とは?
  • ラインケア研修の具体的な内容
  • ラインケア研修を取り入れることで得られる4つの効果
  • ラインケア研修を取り入れるべき企業
  • 厚生労働省のラインケア研修資料を利用しよう

について解説しました。

ラインケア研修とは、管理職が部下のメンタルをケアする方法について学ぶ研修のことです。

ラインケア研修の具体的な内容には、メンタルヘルスに関する基礎知識や部下のメンタル不調のサインに気がつく方法といった項目があります。

ラインケア研修を取り入れることで得られる4つの効果は、

  • 人間関係が改善して業務効率化につながる
  • 優秀な人材の流出を防ぐことができる
  • 管理職自身も自分の心のケアができるようになる
  • 会社のイメージダウンや訴訟負担のリスクを低減できる

です。

ラインケア研修について無料で学びたい人は、厚生労働省「eラーニングで学ぶ『15分でわかるラインによるケア』」を利用してみてください。

本記事を読むことで、ラインケア研修についての基礎や目的、受講するメリットを理解した上で、自分の会社にラインケア研修を取り入れるかどうかを判断してもらえたなら幸いです。

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年8月26日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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