実現の可能性を高める事業計画書の書き方

競争力のある会社にしたい 2016年3月15日

ビジネスの羅針盤となる事業計画書

事業計画書は、事業の運営方針や戦略を決める大切なものです。既存事業のテコ入れや新規事業の立ち上げの際はもちろん、新たに創業する場合も事業計画書が必要です。事業計画書を作成するシーンに応じて、書き方について留意すべきことや盛り込むべき内容が変わってきます。また、助成金・補助金の申請を行う場合は、事業計画書の様式が定められている場合があるので、事前に確認しておく必要があります。

事業計画書の基本的なフォーマット(ひな型)は、インターネットサイトなどから比較的簡単に入手できますが、そのまま使うのは好ましくありません。経営のステージや事業内容、提出先(金融機関、ベンチャーキャピタル(VC)、親会社、取引先など)に応じて事業計画書に記載すべき内容を選択し、また、書き方や見せ方にも工夫することが大切です。本稿では、創業などの際に作成する事業計画書に注目し、その概要や作成時の基本的な留意点を紹介していきます。

基本となる事業計画書の構成

事業計画書の構成は次の通りです。これを基本とし、そのときの状況に合わせて内容や必要な情報を記載するようにしましょう。

事業計画書の構成

事業計画書に記載すべき事項

1)事業戦略計画

1.事業理念・ビジョン、事業目標
事業理念は事業の基本的な価値観や存在理由、事業ビジョンは事業活動を通じた将来のあるべき姿です。これらの他、売上高などの数値を事業目標としてまとめます。

2.事業の全体像
事業の全体像を示すために、「誰に(ターゲット顧客)」「何を(製品)」「どのように(独自技術など)」という点でまとめます。

3.ターゲット顧客および市場規模
ターゲット顧客の特徴と、本事業の対象となる市場規模を記載します。市場規模については、公的なデータと民間のデータをそれぞれ記載できると理想的です。

4.製品の概要
製品の名称・概要・特徴・価格などを記載します。取扱製品数が多い場合は、主力製品を中心に記載します。

5.マーケティング戦略
ターゲット顧客に対して、製品をどのように販売していくかというマーケティング戦略を記載します。マーケティング戦略は、「製品(Product)」「価格(Price)」「プロモーション(Promotion)」「チャネル(Place)」の4Pの視点に基づいて整理するとよいでしょう。

6.競合他社との比較
競合他社と自社を比較し、自社の競争優位性を記載します。その競争優位性を維持するための戦略も必要です。

2)事業収支計画

事業の収支を損益計算書やキャッシュフロー計算書を使って計画します。収益やキャッシュフローに大きな影響を与える項目については、別途個別計画を作成して明確にします。主な個別計画には、販売計画、仕入計画、人員計画、設備投資計画、資金調達計画などがあります。

3)想定リスクと対策

事業にはさまざまなリスクが存在します。主要なリスクを把握し、事前対策を講じる必要があります。

4)経営陣などの主要メンバーの経歴

経営陣など、事業の成否を左右する主要メンバーの経歴や実績などを記載します。特に外部の関係者に提出する事業計画書では重要な要素になります。

実現の可能性の高い事業計画にするために必要なこと

1)根拠や前提条件を明確にする

事業に対する思い入れが強過ぎると、「事業を成功させたい、承認を受けたい」との一心で、根拠の希薄な収益予想を立ててしまいがちです。こうしたことがないように、根拠や前提条件を明確にしましょう。また、設定した前提条件の妥当性を確認することも必要です。例えば、「客単価は販売する製品の価格帯から見て妥当な金額か」「1日当たり来店客数は同規模の競合他社と比べて極端に多く(少なく)ないか」などがポイントになります。

2)整合性のある事業計画書とする

事業計画書の記載事項は連動しているため、全体の整合性が保たれているかを確認する必要があります。例えば、売上目標を上方修正した場合、それに応じて仕入原価や人件費なども増加するので注意しましょう。この際、“辻つまを合わせる”ために数字を作るのはよくありません。改めて原価などを積算したり、原価低減の施策を検討するなど、裏付けのある数字にしなければ意味がありません。

3)第三者の意見を参考にする

事業計画を策定する立場にある社長や事業本部長は、その事業に熱い思いを持っているが故に、客観性を欠く事業計画書を作ってしまうことがあります。また、中小企業では社長と数人の幹部社員で事業計画書を作ることもありますが、いわゆる「グループシンク(集団浅慮)」に陥る恐れがあります。そのため、可能な限り第三者の意見を聞き、その指摘を必要に応じて事業計画書に盛り込んでいくことが大切です。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年3月10日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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