競争力のある会社にしたい

2016年3月22日

社員の営業力を高める3つの力

営業 部下育成

pixta_19394692_S

営業力強化のための3つの力

営業力を高めたい。これは恐らく、全ての営業担当者の願いではないでしょうか。営業マインドを身に付ける、営業トークを磨く、あるいはマーケティングや戦略的思考を学ぶ。営業力を高めるには、さまざまな能力が求められます。例えば営業トークを磨くにしても、ただフレーズを覚えるだけではなく、自分の中にフレームワークや事例などの引き出しをたくさん持っておくことが必要です。

「営業力は属人的なもの」と言われることがあります。トップ営業マンのノウハウをまねようと思っても、どのようなトークや進め方をしているのか見えてこなくて、なかなかまねることが難しいかもしれません。

このように、さまざまな能力が求められる上にノウハウが明らかになりにくいのが営業力ですが、最も基本となるコツは、次の3つの力によるものです。

  • 予測力=相手のニーズを予測し、商談をシミュレーションする
  • 質問力=相手からニーズや要望などを聞き出す
  • 提案力=相手と自社のWin-Winの提案を考え、分かりやすく伝える

これら3つの力は、営業活動の全ての場面で必要となりますが、特に、アプローチするときは「予測力」が、ヒアリングするときは「質問力」が、プレゼンテーションするときは「提案力」が求められます。比較的制約の多い法人営業の場合で、この3つの力について考えてみましょう。

予測力を磨くには

1)予測力とは

予測力とは、顧客のニーズを予測し、商談のゴールを想定する能力です。商談ごとに、「今回の商談の目的」「今回の商談で示される顧客の負の反応」などを事前にシミュレーションしておくのも予測力に含まれます。商談ごとに得た新たな情報を加味し、必要であれば想定したゴールを見直すことも大切です。

2)個別の商談シーンのシミュレーション

予測力を磨く例として、個別の商談シーンをシミュレーションするときを考えてみましょう。このとき、「商談ごとの目的を設定する」「相手の『負の反応』を予測する」ことがポイントです。

1.商談ごとの目的を設定する
商談の目的は、例えば「顧客のニーズを聞き、次回の提案のためのアポイントメントをとる」「提案内容の評価を聞き、不満足な点を明らかにして再提案する機会をもらう」などが考えられます。

目的が決まったら、商談の流れをシミュレーションしてみます。そのときは、「相手が知りたいと思うことは何か」を考えながら進めましょう。シミュレーションすることで、「相手に確認しなければならない点」「伝えなければならない点」を想定することができます。こうした点は、抜けや漏れがないようにリストアップしておくとよいでしょう。

2.相手の「負の反応」を予測する
負の反応とは、不満・不安・心配などのことで、「それほどメリットがあると思えない」「活用シーンがピンとこない」「価格が高い」などが考えられます。例えば商談の締めの段階で相手がこうした負の反応を示してくるということは、本気で購買を検討してくれている可能性が高いとも考えられます。事前に対応を決めておくことで成約に結びつきやすくなるかもしれません。

負の反応を予測するには、営業経験豊富な上司や先輩に“意地悪な顧客”になってもらってロープレ(ロールプレイング)をするとよいでしょう。実際の商談では、自分では考えつかないような負の反応を相手が示すことがありますが、ロープレをすることによって、こうした点に対する準備不足を補うことができます。

質問力を磨くには

1)質問力とは

質問力とは、商談を進める上で必要な情報を相手から聞き出す能力です。法人営業では「ニーズ」「予算」「意思決定者の意向」「時期」「提供方法」など聞かなければならないことや、聞いておいたほうがより効果的に商談を進めることができることがあります。顧客との信頼関係の深さなどにもよりますが、一般的にこうした聞きたいことは、聞きにくい(相手が簡単に教えてくれない)ことでもあります。質問を工夫しながら、聞き出していかなければなりません。

2)「予算」「意思決定者の意向」を聞き出す質問力

法人営業で特に重要になってくる「予算」「意思決定者の意向」について、どのような質問の仕方がよいか考えてみましょう。

予算も意思決定者も営業担当者としては必ず確認したいことではありますが、顧客内部の情報であり、なかなか答えてもらえないかもしれません。そこで重要になるのは、「明確に答えてもらえなかったとしても、相手の答えから推測できるような質問」を試してみる質問力です。

1.予算についての質問
先に述べたことと矛盾するかもしれませんが、予算については、はっきりと「予算はどのくらいですか?」と聞いてしまうのも一策です。相手が本気で購買を検討している場合は、予算を明確に答えてくれることがあるからです。

予算について推測できるような質問としては、次のような例が考えられます。

「今回ご提案のプランですと、おおよそ○万円になります。この金額でご検討いただける可能性はございますか?」

高いか安いかを、「可能性はありますか?」という言い方をしているので、明確な金額を聞かれるよりは相手が答えやすくなります。

この質問に答えるとき、相手は、これまで見聞きしたことのある金額や、「このくらいだったら予算内でなんとかなる」という金額など、ある程度具体的な数字を思い浮かべながら答えるはずです。そのため、相手が高いと答えた場合には予算を上回っている恐れがあり、安いと答えた場合には予算を下回っていると推測することができます。

2.意思決定者の意向についての質問
一般的に、法人営業では、直接話をする相手が最終的な購買決定権を持っていることはまれで、最終的な意思決定者は、相手よりも役職が上の部門長などです。また、その部門長も、最終的に決裁する前に、関係部門と調整します。営業担当者は、なるべく早い段階で、意思決定者か、意思決定者に対して「声の大きい人(意思決定者が意見を重んじる人)」に会い、意思決定者の意向を知るようにしたいものです。

しかし、営業担当者が意思決定者などに直接会うことは容易ではありません。そうした場合は、意思決定者や「声の大きい人」の人の持つ意向を推測できるような質問をしてみます。例えば、次のような質問が考えられます。

「導入の最終決定をされる方にこの商品・サービスをご説明されるとき、ポイントとなる点はどこでしょうか?」

この質問に対する相手の答えから意思決定者の意向を推測することができます。

提案力を磨くには

1)提案力とは

提案力とは、顧客と自社がWin-Winになる提案内容を考え、それを分かりやすく相手に伝える能力です。機能や価格などを説明するだけではなく、「どのような提案内容であれば顧客と自社の双方にメリットがあるか」を考え、「どのように伝えれば分かりやすいか」を工夫することが求められます。

2)Win-Winを実現する提案内容を分かりやすく伝える提案力

Win-Winを実現するときは、まず顧客に焦点を当てて検討し、その後に自社の視点を加えて検討すると整理しやすいでしょう。

顧客の視点からは、「ニーズ」「予算や意思決定者の意向」「スケジュールや提供方法など顧客の要望」などを検討します。自社の視点からは「利益」「将来性」「企業活動への影響力」などを検討しなければなりません。顧客の視点、自社の視点の全てを満たすことができれば理想的ですが、そうでなければ、今回の商談で優先すべき点は何かを考えてみるとよいでしょう。

こうしたWin-Winを実現する提案内容を分かりやすく伝えるには、「具体的に話す」「相手と歩調を合わせる」ことがポイントです。

1.具体的に話す
抽象的な説明よりも、具体性のある話のほうが理解しやすく、印象にも残りやすいものです。相手も意思決定者をはじめ他の人に伝えやすくなるでしょう。例えば、「現在よりも約○%ものコストダウン効果が期待できます」といった数字を使う方法が考えられます。

また、他社の成功事例も相手にとっては分かりやすく、実績のある提案内容という意味で信頼性のあるものとして受け止めてくれるでしょう。

2.相手と歩調を合わせる
相手にうまく伝わっていない、相手が疑問に思うといった点は、相手が話を理解する上で阻害要因になります。話のポイントごとに相手に伝わっているか(相手が理解しているか)を確認し、うまく伝わっていない、あるいは疑問に思う部分があれば、それを取り除きながら話を進めるように心掛けたほうがよいでしょう。

また、使う言葉にも気を配る必要があります。自社の商品・サービスに関する説明が中心となるため、つい自社内でしか通じない用語や難解な専門用語を使ってしまいがちです。こうした用語は相手の理解を妨げる要因となるので、平易な言葉にしたり、相手が使用している言葉に置き換えたりする必要があります。

以上のような方法で提案内容を相手に分かりやすく伝え、理解してもらった上で、最終的に「いかがでしょうか?」と検討結果を聞きます。

このとき、相手から「予測力」の章で紹介した負の反応(不満・不安・心配など)が返ってくることがあります。ニーズを十分に満たしていない、あるいは予算、意思決定者の意向、時期や提供方法などの要望に十分に応えられていないのかもしれません。もう一度「質問力」を使って、相手が負の反応を示した理由を聞き、場合によっては提案内容を調整するなどして再度提案することになります。

何よりも重要な能力とは

ここまで紹介してきた「予測力」「質問力」「提案力」は、あくまでも“基本的な能力”でしかありません。一人前の営業担当者となるためには、その他にも、例えば相手との距離を縮め、信頼関係を築くためにコミュニケーションを図る「会話力」や、要所要所で適切な判断をする「判断力」なども大切です。営業は営業担当者の持つ「総合力」が要求される業務なのです。また、こうした総合力のベースとしては、ビジネスに関する幅広い知識と論理的な思考も欠かせないといえるでしょう。

営業の現場では、最終的な購買決定の判断は相手が下します。そのため、時には自身がどれほど努力したと思っていても成果が上がらないこともあります。しかし、そこで「自分は営業に向いていない」と心が折れてしまってはいけません。成果が上がらなかった理由を考え、仮に自身の商談プロセスに改善点が見つかったなら、それを改めて次のチャンスに生かすことが大切です。

そうした意味では、日々、知識と思考の幅を広げて自身を成長させ、たとえ成果が上がらないことがあったとしても、次の営業機会につなげようとする「継続力」こそが、営業担当者に求められる何よりも重要な能力といえるでしょう。

営業力強化のために必要な能力とポイント一覧

「予測力」「質問力」「提案力」のポイント

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年3月19日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

関連記事