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なぜ、優秀な営業担当者のトークには引き込まれるのか?

競争力のある会社にしたい 2016年3月9日

外回り営業に出てはみたけれど……

IT関連の会社に勤める中堅SEのAさんは、最近、会社の方針で外回り営業にも出るようになりました。

営業経験が少ないAさんは、「普段通りに話す」ことを心掛けています。相手もAさんの自然体な姿勢に好感を持ち、はじめのうちはノートを開いてAさんの話を聞こうとしています。しかし、話が進んでくると明らかに退屈そうなしぐさを見せ始めます。どうやら、Aさんの話が分かりにくくて、聞く気になれないようなのです。

Aさんは相手との会話がうまく続かないことに悩んでおり、帰社後、上長に相談してみました。すると上長は、「自然体は大事だけど、話す内容については相手の理解度に合わせて変えないとだめだよ。それから、IT業界は横文字が多くて、慣れない人にとっては聞くのがつらいことがあるから注意が必要だ」と教えてくれました。

相手が変われば勝手も変わる

普段はあまり意識しませんが、日ごろ、私たちは各業界・企業特有の「専門用語」(相手から見れば、サービス名なども専門用語です)を頻繁に使っています。通常、専門用語はしっかりと定義されているため、それを知っている人同士であれば誤解が生まれにくい便利な用語です。

加えて、同僚や取引先とは、それまでの付き合いの中で、物事の考え方や仕事の進め方に関する共通の認識ができているため、話の展開についても違和感を感じにくくなります。

しかし、新規の営業先など、相手がこちら(業界・会社・サービスなど)をよく知らない場合は勝手が違います。まず、相手は専門用語を知りません。相手にとっては商品名も専門用語ですから、こちらが似たようなサービス名を順番に3つ紹介しただけで相手は混乱してしまいます。

そんな状況にお構いなしで、自分本位に話を続けてしまうと、相手は退屈し、話を聞いてくれなくなります。場合によっては、その場で商談を打ち切られることもあります。

あなたはどのレベル?

商談や報連相などで最も重要なのは、「相手に正しく伝える」ことです。相手に誤解を与えないように、相手の理解度に合わせて内容をかみ砕き、分かりやすい言葉でシンプルに伝える必要があります。

これを実践するための前提は、伝える側が伝えたいことの本質を十分に理解していることですが、このレベルに達しているビジネスパーソンは多くありません。実際、ビジネスパーソンの伝える力のレベルには、以下の1.~3.までの差があります。

1)簡単なことを難しくして伝える人

1つ目の、簡単なことを難しくして伝える人は論外です。こうした人は、伝えるべき内容をよく理解できておらず、頭の中は混乱しています。それを補うために難しい専門用語を使ったりしますが、結局は論点が散漫になり、何を言っているのか分からない状況になってしまいます。このレベルで上司に報連相をすると、「もう少し整理してから報告してくれ」と、たしなめられてしまいます。

2)難しいことを難しいまま伝える人

2つ目の、難しいことを難しいまま伝える人は、ビジネスパーソンに最も多く見られるレベルです。伝えるべき内容について、“自分なり”には理解しています。しかし、相手の理解度に合わせてかみ砕いて話せるほど追究していません。そのため、「自分が知っている言葉を使って、自分が話しやすい順番で話す」といった自分本位な伝え方になってしまいます。冒頭のAさんはこのレベルです。

3)難しいことを簡単にして伝える人

中堅社員が目指すべきは、3つ目の、難しいことを簡単にして伝える人です。こうした人は、伝えるべき内容の本質を深く理解し、自分なりの考えも持っています。一つのことについて多方面にわたる豊富な引き出しがあるので、ときと場合に応じて、話す内容、使う言葉、話す順番を使い分けることができます。

難しいことを簡単にして伝えるために実践したいこと

1)本気で仕事にはまる

本気で仕事にはまると、克服すべき課題が次々に出てきます。これらを解決するためには、上司に相談したり、資料や書籍を読んで勉強しなければなりません。

こうして少しずつ知見を積み重ね、理解を深めていくと、逆に知識や経験が乏しい人が、理解できるレベルというのが分かってきます。相手と話をするときは、自分が知見を積み重ねてきた道をたどってみましょう。そして、今、相手が立っている場所を見つけ、そのレベルを考慮して内容をかみ砕けばよいのです。その内容は、相手にとって、とても分かりやすいものになっています。

2)話すことを選択する

どんな仕事でも、細かな仕組みまで確認していくと、とても複雑であることが分かります。一方、複雑で難しいことを、丁寧に伝えようとすると、枝葉末節にこだわりすぎて、最も大切な部分がぼやけてしまいがちです。

まずは、骨子を相手に正しく理解してもらうように心掛けましょう。込み入った部分は、その後に肉付けすればよいのです。

大切なのは、「何を話すか」という選択です。例えば、「あなたの仕事内容を小学生でも理解できるように説明してください」と言われたら、何を話すでしょうか。ここで話すと決めたことこそが骨子であり、その選択が非常に重要となります。

3)考える、書く、読む、暗記する

相手に伝える骨子が決まっても、頭で考えていることをすぐに話してはいけません。頭の中ではまとまっているように思えても、言葉にして話してみると支離滅裂になってしまうことが珍しくないからです。

まずは、考えていることを紙に書いてみましょう。そうすると、テーマの重複が解消されるなど内容が整理され、起承転結が生まれます。次に、それを声に出して読んでみます。読みにくいところは伝わりにくいところになるため、修正します。

最後は紙に書いた内容を暗記し、相手の顔を見ながら話せるようにしましょう。相手の表情やしぐさを確認し、うまく伝わっていないようなら、話す内容を変えていきます。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年2月29日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者 日本情報マート

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