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コップ半分の水は多いか少ないか?この問いが判断の訓練になる

競争力のある会社にしたい 2016年3月21日

突然の値引きの相談…

ある日の午後、中堅社員のAさんは、担当している取引先Z社からの電話を受け、何やら話し込んでいました。どうやら、現在、継続して取り引きのある製品について、値引きできないか相談されているようです。

「ご要望は分かりました。社内で検討した上で、明日の17時までに回答させていただくようにいたします」と言って受話器を置いたAさん。その後、しばし、悩んだ様子だったAさんは、課長のもとに行って状況を報告した後に、「どうしたらよいでしょうか」と尋ねました。

Aさんからの質問を受けた課長は、逆にAさんに問いかけました。「状況は分かった。ただ、まずは担当者としての意見を聞きたいのだけど、Aさんは、どうしたらよいと思う?」それを聞いたAさんは、「どうしたらよいか分からないし、自分の権限を越えている事案だから聞いたのに…」と思いながら黙りこくってしまいました。

“ノーアイデア”ではいけません

仕事に関する知識や経験が乏しい新人社員のころは、新しい課題などに直面したときに、上司や先輩社員に「どうしたらよいでしょうか」と“答えを聞く”(=指示を仰ぐ)ことは珍しいことではありません。しかし、中堅社員になると、それまで培ってきた知識や経験をもとに、自分で考えて、自分なりの“答えを導き出す”(=判断する)ことが求められるようになります。それは、自分に決定権のない業務などであっても、自身が関わっている業務であれば、必須のことです。

中堅社員は、ただ上司の判断や指示を待つだけの受け身の姿勢でいるのではなく、常に自ら考え、行動することが求められるのです。

「経営者や管理職の重要な仕事の一つは、決断すること」ともいわれますが、中堅社員が、自分で考え、自分なりに判断するということは、決断を下せるようになるための最初の一歩ともいえるでしょう。

「コップ半分の水」に対する評価は?

目の前に、水が半分注がれたコップがあるとします。「その水は多いでしょうか。少ないでしょうか」と尋ねられたら、「半分しかないのだから、少ない」と考える人もいれば、「半分も入っているのだから、多い」と考える人もいるでしょう。

この話は、多面的な視点の例、あるいは、人によって考え方が異なることの例としてよく用いられるものです。この「コップ半分の水」の話ほど単純ではありませんが、ビジネスで直面する課題も同じです。ビジネスで判断を求められる課題は、「1+1=2」といった計算問題とは異なり、唯一の正しい答えがあるわけではない、言い換えると、多様な判断ができる課題が多いということです。

冒頭の例でいえば、「値引きに応じる」「値引きには応じない」という、いずれの判断も間違いではなく、状況に応じて異なる判断が下されることになります。

判断するのに必要となる2つの要素

こうした正解のない課題に対して自分なりの答えを出すためには、コップに水がどれだけ注がれているのかという「事実を把握すること」と、その水の量が多いか少ないかということを評価するための「価値基準や判断基準(以下「価値基準など」)を持つこと」の2つの要素が、最低限必要となります。実際にはどちらも大切ですが、中堅社員にとって、特に難しいのは、価値基準などを身に付けることかもしれません。それは、長い時間をかけて身に付けた個人の価値基準などと、ビジネスで求められる価値基準などは必ずしも一致しないことが一因となっているようです。多くの場合、ビジネスで求められる価値基準などは「会社としてどのように判断するか」という、いわば「会社の価値基準など」です。以下では、会社の価値基準などを身に付けるポイントを紹介します。

上司や先輩社員に学ぶ

会社の価値基準などを身に付けるためには、会社が示している価値基準などを把握する必要があります。会社が示している価値基準などの代表的なものとしては、会社の経営理念や行動指針、あるいは経営計画などに示される経営方針や営業方針などがあります。まずは、こうした価値基準などを把握するようにしましょう。

ただし、こうした会社の価値基準などは、自身の担当業務などにまで落とし込み、関連付けて考えることが難しい場合があるかもしれません。そこで、中堅社員は、会社の価値基準などを把握し、それに沿って判断を下している最も身近な存在である「上司や先輩社員」の姿から学ぶことが大切です。上司や先輩社員と同じように判断ができるようになるということは、会社の価値基準などを身に付ける上での、最も近道といえます。

上司や先輩社員の姿から会社の価値基準などを学ぶ際には、次の2つの点を意識して取り組むとよいでしょう。1つは、「特定の課題に対する上司や先輩社員の判断を『覚える』」ことです。覚えるときには、必ずその理由とともに覚えるようにします。上司や先輩社員の判断の理由がいわば「会社の価値基準など」です。理由を覚えておけば、自身が同様の課題に直面したときに、判断の拠りどころとすることができます。こうして会社の価値基準などが身に付きます。

もう1つは、「上司や先輩社員の立場になったつもりで、シミュレーションしてみる」ことです。上司や先輩社員が判断している事案について、「自分だったらどうする」ということを考え、実際に上司や先輩社員が下した判断と“答え合わせ”をするのです。

この2つを繰り返していくうちに、会社の価値基準などが徐々に身に付いていきます。

上司とのやり取りは“修行の場”

冒頭の例のような、上司に直接自分の判断を伝えることのできる場面は、中堅社員にとって自身の判断力を試す絶好の機会です。「間違ったら怒られるのではないか」「変なことを言ってしまったら恥ずかしい」と思って、自分の判断を伝えることをためらう人もいますが、積極的に自分の考えを上司や先輩社員などに伝えるようにしましょう。上司や先輩社員から会社の価値基準などを学び、自分の考えを聞いてもらう。こうした地道な取り組みこそが、自身の判断力の向上につながるのです。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年3月22日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

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