今日中って何時まで?ビジネスの時差解消法
競争力のある会社にしたい 2016年3月21日
これは、単なる「すれ違い」?
オフィス向け文具の製造会社に勤める中堅社員のAさんは、本社で行われる大事な営業会議に参加していました。しかし、会議が長引いてしまい、予定よりもかなり遅い時間に支店に帰ってきました。
そうすると、Aさんのデスクにはデザイン会社のZ社から電話があった旨のメモ書きが残されていました。現在、AさんはZ社と新しい商品パンフレットの製作を進めていますが、レイアウトや写真がなかなか決まらず、スケジュールが遅れ気味です。今日もいくつかの商品の写真を確定する予定ですが、AさんはZ社に明確な時間を告げておらず、ただ「今日中に連絡します」とだけ伝えていました。どうやら、Z社はAさんからなかなか連絡がこないことを心配し、電話をかけてきたようです。
Aさんの外出中にZ社から連絡があったことを知っている課長は、「写真の件は今日の何時までにZ社に伝えるんだい?」と、Aさんに状況を確認しました。すると、Aさんは、Z社に伝えたのと同じように、「今日中です」と答えたのでした。
ビジネスに潜む時差
ビジネスにおいて、相手から「今日中に連絡します」と言われたら、皆さんは「何時まで、連絡を待てばよいだろう」と考えますか。
終業時刻(例えば、18時)までという人や常識的に考えて20時までという人が多いかもしれません。一方で、「今日中」なのだから、文字通り、24時までと考える人がいても不思議ではありません。
これは、どれが正解というわけではなく、個人の感覚やそのときの状況によって変わってくるものであり、だからこそ余計に難しい問題です。
例えば、18時と24時の間には6時間もの差があります。仮に、「今日中に連絡します」と伝えた側は24時までという認識、伝えられた側は18時までという認識だったらどうでしょうか。伝えられた側は、待てど暮らせど連絡がこないことにイライラし、相手に対する不満を募らせるでしょう。ところが、伝えた側は相手がそのように感じているとはつゆ知らず、まだまだ時間に余裕があると考え、夜食のラーメンを食べているかもしれません。これでは、その先の仕事の関係にも悪影響を与えてしまいかねません。
ビジネス上の立場が時差を広げる
そのような状況になる前に、「相手に確認すればよい」という人もいるでしょう。しかし、ビジネスではそう簡単にいかないことがあります。先のZ社は、Aさんが写真を決めなければ仕事を進めることができません。そのため、何時に連絡をもらえるのかを確認しようとAさんに連絡しました。
ところが、Aさんは会議で不在です。そのときに、Aさんの代わりに対応した従業員が、「Aは、本社の会議に参加しています。しかし、会議が長引いており、終了時間は未定です」と伝えていたらどうでしょう。Z社は、会議中のAさんの携帯電話に連絡するのをためらうでしょう。Z社が下請けの立場であれば、なおさらです。