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会議の無駄を省いて生産性を上げるコツ

競争力のある会社にしたい 2020年11月24日

無駄が多く生産性を高められない会議にメスを

人材不足に直面する企業にとって「生産性向上」は重要なテーマです。多くの企業がIT導入による効率化や、業務プロセス見直しによる省力化などに着手しているに違いありません。しかしそんな中、今なお思うように生産性を高められずにいる業務の1つが「会議」です。

「結論が出ずに1時間過ぎた」「意見や方向性がまとまらない」「発言者は限られ、アイデアが出にくい」など、会議にあまりよくない印象を抱く人は多いのではないでしょうか。具体的かつ有効な施策や解決策を示せず終了するケースが多いことから、「会議は無駄」と思われているのかもしれません。

また最近は、新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークで社外から会議に参加する従業員も増えるようになりました。その結果、社外から参加する従業員の反応が分かりにくい、発言に対して肯定的なのか否定的なのかを都度確認しないといけないなど、会議室という「場」を共有しないことで意思疎通や合意が取りにくくなっています。

では、「非効率の代名詞」ともいえる会議の生産性を高められるようにするためには、どんな工夫やコツが必要なのでしょうか。以降で主なポイントを紹介します。

生産性の高い会議をするためのポイント

1)入念な準備と参加者の絞り込み

会議開催の数日前に議題を公開し、参加者に準備期間を設けるのが基本です。参加者に対して準備をどこまで求めるのかはケース・バイ・ケースですが、少なくとも自身の意見を裏付ける根拠や事例などを用意してもらうようにします。発言することを想定し、何を言うのかをある程度固めておいてもらうとよいでしょう。

なお、ブレーンストーミングを実施する場合、経営者は参加しないほうが意見も出やすくなります。会議の内容に応じて参加者を絞りましょう。

また、新規事業について十分な知見が社内にないなどの場合、分野に精通する社外の有識者に参加してもらうことを検討します。根拠も自信もない発言が繰り返される非効率な会議を回避し、有効なアイデアや方向性を探るのに効果的です。時間や場所の制約で参加しにくい有識者でも、ウェブ会議システムを活用すれば遠隔から会議に参加してもらえるかもしれません。

2)会議の時間を短く区切る

会議の時間を20分単位で設定します。20分より短いと実のある議論ができません。また、20分単位なら30分で区切ったときに10分の合間ができるので、議論した内容をまとめたり、移動や休憩に充てたりできます。せわしくなりますが、1時間に議題を3つ詰め込むことも可能です。

大切なのは、あらかじめ決めた時間を守ることです。20分の会議なのに、60分の会議のようなペースで無駄な話を入れたり脱線したりしていると、あっという間に時間切れになります。

20分で会議を終わらせる場合、ファシリテーター(進行役)がタイムキーパーを兼務し、時間を管理しながら会議を進めます。終了5分前にベルを鳴らすのも効果的です。

3)集中しやすい時間帯に開催する

ランチ後の午後1~2時は“魔の時間帯”といわれ、参加者の集中力が低下しがちです。睡魔に襲われ、居眠りをする参加者すら出てくるでしょう。この時間帯に会議を入れると、「会議に休憩しにくる参加者」が出てくるので、避けたほうが無難です。同様に、終業1~2時間前の会議も、「この会議で今日の仕事は終わり」といった具合に参加者が集中しにくくなります。

理想的な時間帯は午前10~11時です。この時間帯は、朝一の連絡などが終わって落ち着いた頃で、会議に集中しやすくなります。この時間帯の実施が難しい場合、「ランチミーティング」にしてしまうのも1つの方法です。

4)ファシリテーターの役割

会議を円滑に進める上で重要な役割を担うのがファシリテーターです。ファシリテーターには、「明るい雰囲気を持っている」「聞き役になれる」「中立的な立場に立てる」「臨機応変な対応ができる」などの要素を備えた人が適任です。テレワークの実施に伴い、社外からウェブ会議システムで出席する参加者にも適宜意見を求めるなど、会議参加者全員の様子をうかがえる視野も必要です。

適任者がいないとき、部門長などがファシリテーターの役を安易に買って出ますが、これには良しあしがあります。発言力の強い人がファシリテーターになると、当人はフラットに会議を進めているつもりでも、参加者はその意見に流されてしまうからです。多少経験不足かもしれないと思える人のほうが適任です。

「無駄」な会議を改めよう

あらかじめ時間の決まった会議には無駄が潜んでいるかもしれません。「少しでも短い時間で会議を終わらせよう」という参加者の意識は低く、議題の多さや議論の難しさなどに関係なく、前例踏襲で会議時間が決まっているケースが少ないからです。例えば、「定例会議は必ず120分」といった具合です。

参加者の多い会議も重要性が高いように思われがちですが、無駄があるかもしれません。どれだけ多くの人を参加させられるかが、上司である自分の影響力の大きさや仕事の重要性を測る指標だと誤解されているところがあり、たくさんの部下を会議に参加させたがる人がいます。また、「念のため○○さんも参加して!」といった具合に、本来は参加する必要のない人が駆り出されることもあります。

参加者の準備不足で“空中戦”の議論が繰り広げられる会議も無駄です。会議は、今後の具体的な行動を決める場であり、参加者が議題を真剣に考え、自分なりの意見をまとめていなければなりません。しかし、特定の人がいつも発言するなど、自分が発言しなくてもよい会議では、参加者は準備をさぼります。

当然のことですが、そもそも会議をする必要がない会議も無駄です。典型的な例は、資料にまとめて関係者に配布すれば済む事柄を、多くの人が一堂に会して順番に報告する会議です。こうした会議には緊張がなく、参加者は自分の発表が終わった時点で傍観者になります。そのようなスタンスなため、他の参加者の報告もほぼ真面目に聞いていません。

生産性を高めるなら会議後も重要

内容が濃く有意義な会議を開催できるようになったとしても、それだけでは必ずしも十分ではありません。会議が終わった後も重要です。会議の決定事項を会議参加者はもちろん、不参加者にも通知し、方針や施策などを共有します。

できれば当日、遅くても翌日には共有すべきです。議事録制作の作業負担を軽減するため、会議中にできるだけ議事録を作成するのが望ましいでしょう。議事録を制作する人は会議終了前、会議参加者に対して会議の決定事項や課題などを発表して確認してもらうようにします。会議参加者間の意見の相違を防げる他、参加者は議論した内容を整理することもできます。

会議の内容を振り返ることも大切です。例えば、発言内容が議題から外れ、結論に至るまでに時間がかかったなら、ファシリテーターは参加者が発言途中でも制止して議論の方向を元に戻すなどの対処が必要でしょう。配布された大量の資料に目を通すだけで時間がかかってしまうなら、資料を減らすなどの措置も必要です。会議の悪かった点を反省し、次回の会議で改善していくことが、生産性を高めるためには必要です。

高い生産性を意識して会議に臨むべき

日本の労働生産性は、OECD(経済協力開発機構)に加盟する34カ国の中21位(2018年)と低いことを知っていますか。

ここでいう労働生産性は、GDP(国内総生産)を就業者数(または就業者数×労働時間)で割って計算しています。各国によって産業構造や人口動態が違うため、日本の労働生産性が低い理由を他国と単純比較するのは少々乱暴ではあるものの、日本の労働生産性はここ数年、低調のまま推移しています。

さまざまな要因がありますが、その1つに日本ならではの働くことへの意識・考え方が根強く残っていることが考えられます。従来の業務プロセスを踏襲し続けることに価値がある、残業することが当たり前であるなど、効率性や生産性を意識せず、これまでの働き方を変えようとしないことが労働生産性を高められない要因になっているのかもしれません。

「これまでの会議」を踏襲せず変えるべきではないか……。こうした考えを持って会議に臨むと、無駄や改善すべき点が見えてくるかもしれません。より有意義な会議にするためにも、改善すべきポイントを実践してみてください。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2020年9月3日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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