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「浅はかな人」からの脱却。本質をつかむために思考力を鍛えよう

競争力のある会社にしたい 2017年8月28日

質問されるとしどろもどろ。上司のサポートが必要……

クライアントに新サービスのプレゼンテーションを行った中堅社員のAさん。自ら準備した資料を使ってスムーズに進めていましたが、相手からの質問が始まると、途端にしどろもどろになってしまいました。結局、上司である課長が代わって受け答えすることでその場をしのぎました。

会社に戻る途中、課長はAさんに「今日のプレゼンテーションの反省点はどこだったと思う?」と質問しました。すかさずAさんは、「作成した資料が物足りなかったことです。そのために、クライアントからたくさんの質問を受けることになってしまいました」と答えました。

これに対して課長は、「クライアントが本気で検討しているなら質問があって当たり前だよ。それに、Aさんは基本的な質問にも答えられなかったけど、なぜかな?」と聞き返しました。

するとAさんは、「いや、もっとデザインをシンプルにして、出席者全員に分かる資料を作成していればよかったと思います」と、課長の質問の意図を理解しているとは思えない答えを返しました。

その答えを聞いた課長は困り顔で、「そうじゃないと思うけどな。もう一度しっかり考えてみて」と言って、話をやめてしまったのです。

本人は“本質”に気付いていない?

端的に言うと、Aさんは、自分の考えがプレゼンテーションの“本質”からズレていることに気付いていません。では、プレゼンテーションの本質とは何でしょうか?

Aさんの例では、「サービスのメリットを正しく伝え、導入などクライアントに次の行動のきっかけをつくる」ことです。Aさんが言っている分かりやすいデザインの資料は、これを達成するための要素の1つであり、本質ではありません。

しかし、仕事を進める上で、Aさんのように本質にたどり着けないばかりか、枝葉末節にこだわっている人が少なくありません。こうした人は、周囲から「本質が見えていない。考えが浅はかだ」などと思われているかもしれません。このようなことが続けば、「この人はビジネスが分かっていない。一緒に仕事をしても得にならないな」と、相手にしてもらえなくなってしまうでしょう。

なぜ本質にたどり着けないのか?

1)自分の視点のみで考えてしまう

ビジネスにおいては、相手から、「えっ!そこですか!?」と言いたくなるような思いもよらない質問をされるのはよくあることです。相手の視点に立って考える癖を身に付けていなければ、相手から見て「分かっていない人」になってしまいます。

2)目的をしっかり捉えられていない

Aさんが資料のデザインに注目したように、本質とは違う目的を設定してしまうと、本来、調べておくべきはずのことがおろそかになります。その結果、意見を求められても、見当違いな答えを返すことになってしまいます。

3)本人の経験不足

経験不足はすぐには解消できません。しかし、現状のままの「本質からズレた物事の捉え方」をしていては成長は見込めません。そのため、上記の2つの点を認識した上で、経験を積むことが大切です。

本質にたどり着けなかった場合の弊害

1)相手に言いたいことが伝わらない

ビジネスは、双方がある程度本質を理解していることを前提に進められます。本質をまるで理解しておらず、浅はかな考えのままでは、相手の認識と大きなズレが生じ、自分の伝えたいことが相手に伝わりません。そして、このような状態を放置しておくと、相手とのやり取りがスムーズにいかず、今後の取引に支障を来す恐れもあります。

2)業務効率の低下につながる

上司から指示を受けた場合、指示の本質までたどり着けず、浅はかな考えのままに「自分では理解した“つもり”」になっていると、指示の意図を取り違えることになります。そのまま業務を進めた場合、修正が必要となるなど、業務効率の低下につながります。

事象の本質を捉えるためのトレーニング

1)1つの事象を広げられるだけ広げる

ある事柄と関連する情報を枝分かれさせながら展開したり、自分の視点と反対の視点で事象を考えてみるなど多面的な視点を持ち、できるだけ考えを広げてみましょう。

2)枠組み(フレーム)を取り外す

人は、自分の知識や経験から無意識の枠組み(フレーム)を持っています。時には、その枠組みが制約となって思考が固まってしまうことがあります。定期的にその枠組みを取り払い、真っさらな視点で事柄を捉える癖をつけましょう。

3)5回のWHY(なぜ)で深掘りする

ある事象について、WHY(なぜ)を5回繰り返し、深掘りすることで本質(真因)に近づくことができます。5回が難しければ、最低3回は自問してみましょう。

考えを広げたり、枠組みを取り払ったりすることで、自分の思考にとらわれ過ぎることはなくなり、相手の視点や、これまで気付かなかった第三の視点から事柄を見ることができることがあります。加えて、5回のWHYで事柄を深掘りすることで、自分の考えに矛盾がないかを確認することができるでしょう。

ただし、これらの技術を身に付けることは簡単ではありません。その過程で見当違いの答えを導き出してしまう恐れもあります。このような不安を感じたときは、遠慮なく上司に質問しましょう。

最後には必ず相手のことを考える

仮に本質をしっかり捉えていても、浅はかな人だと思われてしまうケースがあります。それは、相手と本質の部分で同調できていない場合です。例えば、自分は「Z」という点に本質があるものとして、深く考えているものの、そもそも相手は「Y」という点に本質があるものとしている場合です。このような場合、自分がいかに「Z」について深く考えていたとしても、「Y」について深く考えている相手から、考えの浅い人と思われてしまう可能性もあります。

相手を知り、相手のことを考え、相手と同調を図ることも、「本質の見えていない考えの浅い人」から脱却するための手掛かりになるでしょう。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2017年8月16日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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