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健康経営に取り組む中小企業&大企業の事例まとめ

競争力のある会社にしたい 2021年11月10日

「健康経営に取り組みたいけど、実際にどのようなやり方があるの?」
「企業の規模によって健康経営の進め方は違うの?」

といった疑問を解消し、自社に合った施策を決めるためには、実際に健康経営に取り組む企業の具体例が参考になります。
そこで本記事では、健康経営について特徴的な取り組みをする中小企業・大企業の事例を紹介します。自社に似た健康課題を持つ企業の取り組みを知ることで、スムーズに健康施策を検討できるようになるでしょう。

健康経営とは

健康経営とは、従業員の健康増進の重要性を認識し、健康管理を経営課題として捉え、 その実践を図ることで、企業の生産性向上を目指す経営手法のことです。
アメリカの臨床心理学者ロバート・H・ローゼン氏が、1980年代に“Healthy Company”という概念を打ち出したことが始まりとされています。
最近では国も健康経営を推進しており、経済産業省が実施している「健康経営優良法人認定制度」では、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰しています。

健康経営の取り組み方法

健康経営は、主に次のような手順で進めます。

  • 健康経営に取り組むことを宣言する
  • 組織の体制を整える
  • 現状課題を確認する
  • 計画を作成して実行する

それぞれ簡単に解説します。

1)健康経営に取り組むことを宣言する

健康経営は、役員や従業員といった会社全体で実施する必要があります。社内で意識の差があると、本来最も参加してほしい「無関心層」が積極的に参加してくれないことがあるからです。そのため、まずは経営者が健康経営の意義や重要性を社内に周知し、従業員に理解してもらいます。

例えば、健康経営の対象を従業員とその家族とし、組織として行う具体的な取り組みを文書として明文化し、自社のウェブサイトや社内各所に掲示するなどの方法があります。

2)組織の体制を整える

宣言を行ったら、健康経営を進めるために、人事や総務など内部管理の担当部署だけでなく、推進チームの設置など、強力に健康経営を推し進める組織体制を構築します。

3)現状課題を確認する

健康診断やストレスチェックの結果などを基に、企業全体や各部署、年齢層にどのような健康課題が見られるのかを確認します。

4)計画を作成して実行する

明らかになった健康課題から、社内で取り組む健康課題について検討し、計画を立てます。計画策定後は一定期間で取り組み、評価や見直しを行います。

具体的な進め方については、次の記事で分かりやすく解説しています。

■中小企業の健康経営 実践に向けた4つのステップとは?■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300043/

中小企業&大企業の事例5選

健康経営の重要性を理解してもらうには、地域を巻き込んだり、トップダウンで決定したりするなど、さまざまな方法があります。大企業では従業員数が多く、組織も複雑になるため、周知や習慣化に工夫が必要です。

1)中小企業の事例:徹底した数値目標管理で成果を見える化:神戸マツダ

1.健康経営に取り組むきっかけ

神戸マツダでは、経営理念である「創新」の中に掲げた「社員とその家族の幸せ」を実現するために、2012年からさまざまな取り組みを開始しています。
中でも「元気なイキイキ社員を増やす」ことは重要な目標であり、2017年から本格的に「健康経営」の取り組みをスタートさせることになりました。

2.具体的な取り組み

神戸マツダでは、健康経営推進施策として、「生活習慣病対策」「メンタルヘルス対策」「喫煙対策」「家族の健康増進」を実施しています。
また、経済産業省の「健康経営優良法人」にも認定されており、健康診断の100%受診推進やインフルエンザの予防接種補助制度などの取り組みが評価されています。
各種の健康経営推進施策は、数値目標と達成度がホームページで公開されており、認定取得取組後の成果の見える化を徹底しています。

3.健康経営の効果

  • 定期健康診断受診率99.7%(2019年)
  • 特定保健指導実施率100%(2019年)
  • ストレスチェック受診率93.8%(2019年)
  • 有給休暇取得率前年度比+8.6%(2019年度)

2)大企業の事例 充実した健康経営推進体制:京セラコミュニケーションシステム

1.健康経営に取り組むきっかけ

京セラコミュニケーションシステムは、約3900名の従業員を擁する大企業であり、通信エンジニアリングや環境エネルギーエンジニアリング、経営コンサルティングを主な事業としています。

京セラグループでは国内外に多くのグループ会社を持っており、全ての従業員が健康的に仕事を続けられるよう、健康増進活動を展開しています。

2.具体的な取り組み

京セラグループでは、2018年に「京セラグループ健康経営宣言」を策定し、ウェブサイトでも公開しています。宣言の中では、グループ全体で総合的な健康増進活動(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)に取り組み、「健康経営」を実践することが掲げられています。

トータル・ヘルスプロモーション・プランでは、食堂メニューのヘルシー化などの食事対策、屋内全面禁煙などの受動喫煙防止対策、従業員への教育により知識を深めるメンタルヘルス対策などの取り組みが行われています。

京セラコミュニケーションシステムの健康経営委員会では、全従業員の「心身の健康」の改善・向上のため、定期的に健康経営施策の進捗状況の確認や新規施策について検討し、決定された内容に対して、健康保険組合や産業医・看護師・社員会との連携や報告が行われています。

3.健康経営の効果

  • 産業医・保健師・看護師との情報共有ができる健康増進アプリの開発
  • 産業医・メンタル専門嘱託医・保健師・看護師の増員
  • 屋内全面禁煙完了

3)運動・スポーツを軸とした健康経営の取り組み:美津濃(ミズノ)

1.健康経営に取り組むきっかけ

ミズノグループでは、従業員の健康やワーク・ライフ・バランスを実現することが、社業発展と経営理念の実現につながるものと考え、健康増進施策を進めています。

従業員の健康増進のために、代表自らが「健康経営宣言」を行い、運動・スポーツの奨励を中心とした施策に取り組んでいます。

2.具体的な取り組み

ミズノグループでは、従業員の健康状態や健康リスクを細かく数値で管理しています。
喫煙比率の低下など基礎的な数値管理はもちろんのこと、BMIや腹囲、中性脂肪、LDL、γ-GTP、空腹時血糖値など、生活習慣病に関する数値を従業員ごとに把握し、目標値を設定しています。

また、メンタルヘルス不調による休職者の低減施策として、研修会やメンタル専門の顧問医による相談機会の提供などを行っている他、在宅勤務が増える中で従業員が運動機会を確保するために、ウオーキングアプリを活用したウオーキングイベントの開催や、自社独自の運動プログラムWEB配信等に取り組んでいます。

3.健康経営の効果

  • 従業員の健康に対する意識向上
  • 社内コミュニケーションの活性化

4)予防から改善まで重層的なサポート体制を整備:パソナグループ

1.健康経営に取り組むきっかけ

パソナグループでは、健康診断やストレスチェック、また独自調査である「ライフスタイル調査」等のデータを活用し、従業員の健康課題を把握し、健康経営の推進に取り組んでいます。そのため、健康診断の有所見率や高ストレス者率は全国平均に比べて低いものの、依然として一定数存在しています。また2019年に実施した「ライフスタイル調査」の結果、現在所見がない主に20~30代の従業員のうち、60%が運動や食事に関して生活習慣の改善が必要であることが判明しました。

生活習慣の乱れは、生活習慣病のリスクや健康起因による休職や退職などのリスクはもちろん、日々の業務におけるパフォーマンス低下にもつながります。

個人の健康リスクが、企業の持続的な成長に影響を与える経営リスクにつながることから、パソナグループでは重層的な健康予防の取り組みを行っています。

2.具体的な取り組み

パソナグループでは、ハイリスク者向けの2次・3次予防と並行して、生活習慣の改善を目的にした1次予防に関する取り組みを充実させています。年に1度行われる「ライフスタイル調査」とそのフィードバックや、在宅勤務の運動不足を解消するオンラインエクササイズの配信、セルフケアなどの情報を発信する健康セミナーを開催しています。

また、社内の健康風土を醸成するために「パソナ体操」という自社オリジナル体操を作り、朝礼や会議前に実施したり、部門対抗の歩数イベントを行ったりするなど、健康をきっかけとしたコミュニケーションの促進にも注力しています。

2次・3次予防の取り組みとしては、従業員やその家族の健康状態について相談できる健康推進室などの相談窓口の設置、生活習慣病予備軍の従業員に対する保健師や管理栄養士による保健指導等を実施しており、より健康リスクのある従業員に対しても、手厚いサポート体制を整備しています。

3.健康経営の効果

  • 従業員の約69%が健康経営の取り組みを実感
  • 健康診断受診率2019年、2020年の2年連続100%
  • 睡眠を十分にとる従業員の増加
  • 健康診断有所見割合(血圧・脂質・血糖・肝機能に何らかの異常の可能性がある割合)の減少
  • 「健康経営優良法人2020(大規模法人部門)」(ホワイト500) 5年連続取得
  • 健康経営度調査に回答した法人が選ぶ「健康経営を進める企業の手本となっている企業」選出

5)健康保険組合と連携した健康経営の実現:オリエントコーポレーション

1.健康経営に取り組むきっかけ

オリエントコーポレーションは、従業員が公私ともに生き生きとした生活を送ることを理想とし、一人ひとりが働きやすい環境をつくることを目指し、健康経営に取り組んできました。

健康宣言の中では、企業が従業員の心身の健康維持・増進を積極的にサポートすることや、従業員と企業・産業医・健康保険組合が、三位一体で健康経営に取り組むことが宣言されています。

2.健康経営に関する取り組み

オリエントコーポレーションでは、健康保険組合と連携し、健康診断と特定健康診査を同時に実施することで未受診を防いでいます。35歳以上の従業員に対しては、健康保険組合が費用補助を行い、法定項目以上の健康診断を推奨することで、疾病の早期発見にもつなげています。

また、労働時間の適正化の取り組みとしては、健康経営における目標を踏まえ、半年に1度職場ごとに「労働時間に関する協議会」を実施することで、企業全体で労働時間の適正化を進めています。

ワーク・ライフ・バランスの確保の観点からは、テレワークや選択制時差「スライドワーク」(業務状況や都合に応じて柔軟な働き方ができる制度)を導入するなど、多くの制度を整備しています。

3.健康経営の効果

  • 健康診断受診率100%
  • 年間所定外労働時間の削減
  • 年次有給休暇取得率の向上
  • 乳がん検診受診率57.9%
  • 子宮がん検診受診率41.3%
  • 前立腺がん検診受診率68.5%

大同生命では、健康経営の取り組みをサポートするWebサービス「KENCO SUPPORT PROGRAM」を提供しています。「健康診断の受診促進」や「生活習慣病等の発症リスク分析」など、役立つサービスが満載です。詳しくは、こちらをご覧ください!

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年9月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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