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健康経営につながる福利厚生のメリットと注意点

競争力のある会社にしたい 2021年10月14日

健康経営とは? 企業の成長を推進するカギは「社員の健康」

「企業は人なり」――。

人材こそ企業の最大の財産であると説いた松下幸之助氏の金言の通り、ビジネスにおいて社員一人ひとりのモチベーションやチームワークの充実は欠かせません。

社員の“健康”もその大きな要素です。「人生100年時代」と呼ばれる長寿社会が到来し、働き方改革で業務の効率化と生産性向上が日本企業全体の課題として挙がる今、かつては「善き努力」の一端とされてきた残業や上下関係の徹底などは、非効率で心身の健康を損なう「悪習慣」と見られるようになってきました。労働時間や職業性ストレスなどの要因から職種・業種・地域別の労働者の健康状態を評価する「健康格差」にも注目が集まり、社会人各自にとって職業を選択する際に「どれだけ健康的に働ける職場なのか」という点がますます重視されています。

そうした中で、社員の健康管理を実現する福利厚生を積極的にマネジメントに取り入れる「健康経営」企業が増えています。

社員の心身の健康をチェックし、増進させる職場環境を経営層自ら整備していく姿勢を通して、企業一丸となって業績向上を目指すこと。その姿勢を社内外に発信すれば、リクルーティングや企業ブランディングの効果が期待できます。

では、どこから手を着けていけばよいのでしょうか。本記事では、健康経営につながる福利厚生を、特に中小企業が着手しやすいサービスを中心に紹介します。また、福利厚生で健康経営を行うメリットと注意点を解説します。

健康経営につながる福利厚生の4要素

福利厚生施策を通じて健康経営を進めていく場合、主に次の4つに分けられます。

  • 心身の健康管理
  • 食生活の改善・支援
  • 肥満対策・運動不足解消
  • 禁煙支援

ひとつひとつ見ていきましょう。

1)心身の健康管理

社員が最大限に能力を発揮できるためには、まず健康を損なわないようチェックできること、そして健康を損なう前に相談を受けアドバイスを与えるためのセーフティーネットを社内に用意することが大切です。

もちろん、健康管理とは病気やけがなどのフィジカルな要素にとどまらず、業務によって必ず生じる職業性ストレスや業務内容への不適合、職場内の人間関係のあつれきなどからくるメンタルヘルスケアも含まれます。メンタルヘルスケアは適材適所の人員配置にも役立ち、離職防止にも効果があります。

具体的な施策としては、健康診断・ストレスチェックの実施と結果の分析、メンタルケア対策、カウンセリング体制の構築、産業医の設置などが挙げられます。

2)食生活の改善・支援

食生活の改善は生活習慣病などの防止につながるだけでなく、モチベーションにも大きく影響する項目です。

もちろん社員各自で管理していかなくてはならないことではありますが、多くの場合、昼食は業務時間内に取ることになりますから、職場からの適切な施策によってアシストすることができます。

具体的な施策としては、社員食堂のメニューの改善、健康に配慮した食事の宅配サービスの利用などが挙げられます。

3)肥満対策・運動不足解消

肥満の中でも内臓脂肪肥満からくるメタボリックシンドロームは、心臓病・脳卒中など重篤な病気につながります。原因は食べ過ぎ・睡眠不足などの他に、職種に大きく左右される運動不足が主要因です。

そこで、企業の働き掛けで社員の運動を促進し、肥満対策を行うことが健康経営において大切な要素となります。

具体的な施策としては、スポーツ施設などの優待、レクリエーション企画(社内スポーツイベント)、テレワークを導入している場合は、自宅でもできる運動の習慣化支援などが挙げられます。

4)禁煙支援

健康増進法や受動喫煙防止条例をはじめとして、喫煙による健康リスクを抑制することは社会全体の重要項目です。喫煙はあくまで社員各自の嗜好の範囲内のことではありますが、たばこをやめようという意思があってもニコチンの依存性などのためにうまく禁煙できない社員が多い場合、企業としての禁煙支援は重要です。

企業が積極的に社員の禁煙の動機付けを行い、禁煙を支援することも健康経営の大きな要素です。

具体的な施策としては、禁煙推進ポリシーの策定、禁煙手当の支給などが挙げられます。

健康経営には以上のような複数の要素があることを意識しながら、まず自社の状況に応じた方針を決定し、具体的な施策を検討していくことが成功への近道となります。

健康経営につながる福利厚生サービス4選

ここからは、前述した4つの要素ごとの福利厚生サービス例を紹介していきます。

自社で一から健康経営施策を開発運用していくことはなかなか難しいものですが、支援サービスを導入することで効率的な実践と効果測定が可能になります。

健康経営はすぐに効果が現れる取り組みとは言いがたく、長期的な視野を持つことが重要であるため、継続しやすい外部サービスの導入や他企業との情報交換の場を持つなど、継続性を保ちやすい環境構築から着手することも有用です。

1)心身の健康管理のサービス例(Carely:iCARE)

健康診断・ストレスチェック・産業医面談などの健康データをクラウド上で一元管理できます。社内の健康データは紙・エクセルなどバラバラな様式で管理されることが多く混乱しやすい状況ですが、こうしたサービスを導入することで管理コストを掛けずに健康経営を推進するためのデータ基盤を整えることができます。

2)食生活の改善・支援のサービス例(OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜):KOMPEITO)

社員の食生活改善に役立つ、オフィス設置型の社食サービスです。栄養バランスが取れた食事は勤労意欲を上げるためにも有用ですが、社内に社員食堂を設ける余裕がない中小企業が圧倒的多数です。

このサービスは、オフィスに専用の冷蔵庫・冷凍庫を置き、飲料の自動販売機のようにサラダや惣菜を販売するというもの。管理栄養士監修の品質が確かなメニューがコンビニよりも低価格で提供され、社員満足度が非常に高いサービスです。商品は配達員によって補充、集金されるため管理の手間が少ないこともポイントです。

3)肥満対策・運動不足解消のサービス例(aruku&(あるくと)forオフィス:ONE COMPATH)

スマホを持って歩くことでポイントがたまり、地域名産品などの商品がもらえる運動アプリです。ゲームのように運動を楽しめる手軽さで100万ダウンロードを超えています。

その法人向けプラン「aruku& forオフィス」は、アプリを活用した社内でのウオーキングイベントを支援します。場所と時間を設定して集合する従来の運動イベントとは異なり、社員各自の時間でウオーキングを行いアプリ上でコミュニケーションする形式。密を避け、ワークスタイルの多様化にも対応した自然な運動不足解消施策が行えます。

4)禁煙支援のサービス例(禁煙推進企業コンソーシアム)

健康経営を推進するためには、課題と志を同じくする企業が実際にどのような施策を行い、成果を挙げているかを知ることが非常に有用です。禁煙推進企業コンソーシアムは企業内で禁煙をサポートするための情報とノウハウを提供する企業同士の情報交換の場です。

禁煙推進活動のメリットと成果を参加企業間で共有することで継続性を高め、コンソーシアムの活動そのものを発信しています。取り組みの価値を社会的な文脈からも実感できるため、経営層・社員双方のモチベーション維持につながっています。

上記4つのサービスはあくまで例ですが、まずは手軽に導入・加入できるところから始め、企業として取り組み続けられる手段を選んでみてはいかがでしょうか。

最後に、福利厚生で健康経営を行うメリットと注意点を確認していきます。

福利厚生で健康経営を行うことのメリット

企業の福利厚生として健康施策を打っていくことは、主に次の3つのメリットがあります。

  • 労働意欲が高まり、生産性が向上する
  • 体調不良による欠勤、休職、離職のリスクが減少する
  • 労働環境の整備によって企業イメージが向上する

ひとつひとつ見ていきましょう。

1)労働意欲が高まり、生産性が向上する

労働に限らず、心身の健康状態があらゆる活動の意欲に直結することは言うまでもありません。健康の不安なく働ける環境は仕事への集中力を高め、さらに企業内の結束を強め、生産性を向上させる効果が期待できます。

2)体調不良による欠勤、休職、離職のリスクが減少する

従来の労働環境では、社員の健康管理は各自の取り組みに任されていましたが、近年になり、特にメンタルヘルスの不調を理由とする休職や退職が増えています。社員の健康を重視する姿勢を経営層が示すことで、社員の会社への帰属意識が高まり、離職を防ぐ効果を見込めます。

3)労働環境の整備によって企業イメージが向上する

労働人口が減少する中で、採用市場で優秀な人材を獲得するためには給与のみならず企業イメージの向上が重要です。さらに健康経営はブランディング施策としても機能するでしょう。社員の健康を第一に考える姿勢は、消費者に自社の商品・サービスが選ばれるためにも重要な判断基準となります。

福利厚生で健康経営を推進する上での注意点

福利厚生を通じて健康経営を進めていく上では、次のような点を念頭に置き、長期的な視点で効果を測定・分析していくことが重要です。

  • コストが掛かり過ぎる場合がある
  • 効果が見えにくい
  • 効果検証のデータ収集に労力が掛かる
  • 全ての社員ニーズに応えることが難しい

ひとつひとつ見ていきましょう。

1)コストが掛かり過ぎる場合がある

健康経営を行うに当たり、注意しなくてはならない問題はコストです。福利厚生サービスを新規に導入する費用だけでなく、すでに設置済みの福利厚生を拡充するコストにも注意が必要です。
例えばヘルスケアを充実させるため、医師や専門家に社員との個別面談を依頼するケースでは相応の費用が見込まれます。そのため、まずは実践事例などを研究し情報収集の上で、コストバランスを組み立てることが重要です。

2)効果が見えにくい

費用対効果の観点から見たときに、健康経営は即効性がある戦略とはいえません。
優れた健康経営の取り組みを発信することで、比較的早期に企業イメージが向上したり、業績アップに貢献したりすることもありますが、基本は継続的な投資であり、リスクマネジメントに極めて近しい性格を持っていることには意識が必要です。

3)効果検証のデータ収集に労力が掛かる

健康状態は非常に多くの要素から成り立っており、効果検証のためには、多角的なデータを収集し効果測定を継続することが必須です。

しかも健康データは社員個人のパーソナルな部分に関わる情報を含む場合が多く、セキュリティーを担保した管理体制を敷くことが求められます。

4)全ての社員ニーズに応えることが難しい

特に食生活や喫煙は健康状態に大きく影響しますが、個人の嗜好に関わる要素であるために、一律に管理することが難しい側面があります。

社員間にも健康意識に差があるため、全社員を同様に満足させることは難しいと割り切った上で、最適解を求めていく制度設計の検討が成功につながります。

ここまで、健康経営につながる福利厚生のポイントを紹介してきました。

近年の健康経営に対する注目の高まりは、労働人口の減少や労働年齢の延伸による労働観の変革といった社会背景が大きく、今後ますます重要性が高まる分野です。

コストや時間を戦略的にコントロールし取り組みを継続することが重要となるため、まずは情報収集の上で手軽にトライアルできる施策から着手を検討してみてはいかがでしょうか。

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年8月26日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
祢津 悠紀 (ねつ・ゆうき)

経済ライター・編集者。
1983年生まれ。経済誌の編集記者を経て、経営者コミュニティ運営に携わる。ビジネスリーダーへのインタビューを中心に、紙・webメディアにて取材・執筆。

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