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【人事・総務担当者必見】 従業員の健康管理・増進のための対策

競争力のある会社にしたい 2021年11月10日

従業員の健康管理は企業の義務?

企業は従業員の心身の健康を、適切に管理しなければなりません。労働契約法第5条では、企業に対して、従業員が心身ともに安全かつ健康に働けるよう配慮する義務(安全配慮義務)が定められています。
労働契約法上、安全配慮義務に違反しても罰則はありませんが、従業員やその家族への損害賠償、企業イメージの低下など、企業にとって大きなリスクがあります。
また、企業には、安全配慮義務を果たすために法律により義務付けられている取り組みがあり、それを実施しない場合、罰則が科せられることがあります。
例えば、労働安全衛生法第66条では、事業者が労働者に対して、医師による定期健康診断を実施しなければならない旨が明記されており、実施義務を怠った場合、50万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。

そこで本記事では、安全配慮義務を守り、従業員が元気に生き生きと働ける職場作りのために、実際に健康経営を回していく人事・総務担当者が持つべきヘルスリテラシーや、従業員の健康管理・増進対策を解説します。

なお、経営者が押さえておくべき、安全配慮義務の具体的な内容や、安全配慮義務を守るために企業として取るべき措置については、次の記事で詳しく解説しています。

■企業が取り組むべき従業員の健康管理と「安全配慮義務」について■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/prepare/bp200016/

安全配慮義務とは

安全配慮義務を守る上で、次の3つのポイントを押さえる必要があります。

  • 適正労働条件措置義務
  • 健康管理義務
  • 適正労働配置義務

それぞれ簡単に解説します。

1)適正労働条件措置義務

労働時間や休憩時間、休日、休憩場所などについて、従業員の心身の健康が保たれるよう適正な労働条件を確保しなければならないというものです。

2)健康管理義務

定期健康診断やストレスチェック制度、産業医の職場巡視などを通じて、従業員の健康状態を把握しなければならないというものです。

3)適正労働配置義務

従業員の年齢や健康状態といった個別の事情に応じて、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少など、必要な措置を実施しなければならないというものです。

安全配慮義務の内容や、安全配慮義務違反とみなされるポイントについては、次の記事で詳しく解説しています。

■企業が取り組むべき従業員の健康管理と「安全配慮義務」について■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/prepare/bp200016/

人事・総務担当者が持つべきヘルスリテラシー

ヘルスリテラシーとは、健康や医療関連の情報を収集し、適切に取捨選択し、自分の健康のために活用できるスキルを指します。

人事・総務担当者がヘルスリテラシーを身に付けることで、

  • 症状や病気への対処などの医学的な問題に関するヘルスケア
  • 病気や感染症、精神疾患といった疾病予防
  • 人を取り巻く環境を健康的なものに変えるヘルスプロモーション

といった観点から、従業員の健康管理や職場環境について、適切な意思決定を行うことが期待できます。
ヘルスリテラシーは、次の3つのレベルに分類できるといわれます。

1.機能的ヘルスリテラシー

健康に関する情報を受動的に得た上で、健康リスクや保健医療の利用に関する内容を理解する能力のことです。

2.相互作用的ヘルスリテラシー

変化する環境の中で、さまざまな人とコミュニケーションを取りながら能動的に健康に関する情報を活用できる能力のことです。

3.批判的ヘルスリテラシー

健康に関する情報を批判的に分析し、日常的な出来事や状況をコントロールするために活用できる能力のことです。

ヘルスリテラシーを高めるには、まず、人事・総務担当者が上記1~3のどのレベルにあるかを知り、リテラシーレベルに合わせた研修や学習プログラムを受けてもらうとよいでしょう。

最近では、専任講師によるヘルスリテラシー向上セミナーを企画・提供してくれたり、インターネットで受講できるeラーニングで研修を行ってくれたりするサービスがあります。こうした外部サービスを積極的に活用するのも、一つの手です。

従業員の健康管理を担う人事部が取るべき施策

ヘルスリテラシーを高めたら、自社の環境、従業員の健康課題などに合わせて、次のような健康施策を主導していくことになるでしょう。
なお、健康施策を進める際には、人事部など健康経営担当部署だけで行うのではなく、健康経営の旗振り役である経営者や役員から従業員に周知してもらい、全社的な取り組みにすることが重要です。

1)健康な体を作って維持する健康施策例

従業員の体の健康を維持する施策としては、次のようなものが考えられます。

  • 定期健康診断で病気の早期発見、健康状態を把握
  • レクリエーションで体を動かす機会を創出
  • 休憩や運動ができるスペースなどの環境の整備
  • 社員食堂で栄養バランスの良い食事の提供
  • 健康セミナーなど啓発活動の実施
  • テレワーク環境での健康増進施策

定期健康診断は労働安全衛生法で実施が義務付けられていますが、結果を健康管理に活用しなければ意味がありません。特に健康リスクの高い従業員をリスト化し、症状の経過をモニタリングするなどの対策が必要でしょう。
社内でのレクリエーションの実施や運動スペースの整備は、従業員が体を動かすきっかけになります。特にデスクワークが多い企業や部署では、定期的なレクリエーションなどで運動不足を解消する取り組みが求められます。
健康管理にはバランスの取れた食事も必要不可欠です。社員食堂で栄養バランスの良い食事を提供したり、メニューの見直しを行ったりすることで、従業員の健康リスクを減らせるかもしれません。

さらに、健康を維持するためには企業の人事・総務担当者だけでなく、従業員自身が知識を習得することが必要です。社内で健康セミナーを開催するなど、従業員一人ひとりの健康リテラシーを高めることも有効です。

最後に、テレワーク環境では運動不足になりやすいため、従業員への健康状態には特に配慮しなければなりません。チャットツール上の雑談ルームといったコミュニケーションの場を作って従業員の様子を確認したり、リモートでの定期的なレクリエーションなどを検討したりするとよいでしょう。

【関連記事】
■経営者523人に聞く テレワークの健康問題と対策■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/br300055/

2)健康的なメンタルを維持する健康施策例

従業員のメンタル面の健康を維持する施策としては、次のようなものが考えられます。

  • 過度な残業・長時間労働の改善
  • 対人関係やメンタルヘルスに関する専門相談窓口の設置
  • 定期的なストレスチェックの実施(注)
  • 産業医の配置とカウンセリングの実施

(注)ストレスチェックは、従業員数が常時50人以上の企業の場合、毎年1回の実施義務があります(実施しなかった場合の罰則はありません)。

厚生労働省「令和2年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活に関するストレスの内容は次の通りです。

1位は「仕事の量・質(56.7%)」です。長時間労働の是正のためには、仕事の効率化や適切な分担をする必要があるでしょう。2位の「仕事の失敗、責任の発生等(35.0%)」についても、仕事の量・質を見直し、1人の従業員に仕事が集中する状況を改善できれば、ストレスの軽減が見込めるかもしれません。
また、もう1つ注意が必要なのが3位の「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)(27.0%)」です。上司や先輩などとの対人関係の悩みは他人に相談しづらく、1人で抱え込んでしまうことがあります。企業にはハラスメントに関する相談窓口の設置が義務付けられていますが、こうした相談窓口ではハラスメントに限らず、従業員の悩みを幅広く受け付けるようにするとよいでしょう。
従業員のメンタルヘルスの兆候を見るには、定期的なストレスチェックや産業医の配置・カウンセリングも必要です。産業医は面談結果を踏まえ、面談者への配慮の必要性や職場改善に関する意見などを事業者に伝えてくれます。
それ以外にも、希望者からメンタルヘルスの相談を受けたり、メンタルヘルスに関する企業向けのセミナーを開催してくれたりするため、有効に活用しましょう。

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■産業医の上手な活用方法とは? 主な業務・相談事例を分かりやすく紹介■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300066/

3)ITツールによる健康状態の可視化

健康診断やストレスチェックの結果など、従業員の健康データを紙で管理していると、整理に手間が掛かったり、一元的に可視化できなかったりして、有効な健康施策を打ちづらくなります。
そこで、最近では健康データをデジタル化して、クラウド上で管理する「健康管理クラウドシステム」を活用する企業が増えています。
こうしたシステムを使うことで、従業員の健康状態をリアルタイムでチェックできたり、面倒な作業をせずにすぐに個々人の健康状態をグラフ化できたりします。
また、健康管理システムの中には、健康診断結果をもとに疾病の発症リスクを予測・分析できるものもあります。

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■【企業向け】健康管理クラウドシステムの比較9選■
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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年9月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

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