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運動すると医療費が控除される「指定運動療法施設」とは

競争力のある会社にしたい 2021年12月1日

指定運動療法施設とは

指定運動療法施設とは、障害や疾患の予防や治療に運動を活用する運動療法(注)を行う場合、その利用料金を医療費控除の対象にできる施設です。

(注)運動療法の目的や効果などについては、厚生労働省「e-ヘルスネット」の解説が参考になります。

指定運動療法施設は、医師の処方箋があれば、生活習慣病だけでなく、腰痛などの運動療法でも利用することができます。そのため、企業が従業員の福利厚生の一環として施設と法人契約を結んだり、施設の利用を勧めたりするケースもあります。

この記事では、指定運動療法施設を利用する人、利用を検討している人向けに、

医療費控除をする際の手続きの流れや注意事項など

を紹介します。

また、フィットネスクラブや医療機関型施設、疾病予防運動施設などを運営する事業者、運営を検討している事業者向けには、

指定運動療法施設の要件や、認定までにかかる期間など

を紹介します。

医療費控除の対象になる

指定運動療法施設での医療費控除は、医師の運動療法処方箋が必要になります。
具体的には、高血圧症、高脂血症、糖尿病、虚血性心疾患等の疾病に関する運動療法処方箋に基づいて運動を実施する必要があります。こうした生活習慣病の他にも、医師の運動療法処方箋があれば、腰痛などの運動療法も医療費控除の対象になります。
一方で、医師の運動療法処方箋のない症状や、単なる健康目的といった場合は、医療費控除の対象にはなりません。

また、指定運動療法施設での運動療法は、おおむね週に1回以上の頻度で、8週間以上の期間にわたり行う必要があります。頻度が低かったり、数回しか施設に通わなかったりした場合は、医療費控除を受けることはできません。

指定運動療法施設の利用から医療費控除申請までの流れ

指定運動療法施設の利用から医療費控除申請までの流れは、次の通りです。

一連の手続きは、かかりつけ医師とのコミュニケーションが重要です。確定申告が迫ってから焦ることがないよう、分からないことがあったら医師に確認し、必要書類はしっかり保管しておきましょう。

医療費控除の手続きの注意事項

指定運動療法施設で医療費控除を受けるためには、次の手続きに注意してください。控除要件を満たしていない場合、控除が受けられないことがあります。

1)かかりつけの医師等に「運動療法処方箋」を書いてもらう

指定運動療法施設を利用して医療費控除を受けるには、医師から運動療法処方箋を書いてもらう必要があります。処方箋を基に運動療法を行うことで、生活習慣病等の治療と見なされます。
運動療法処方箋は、運動処方の内容が変わらなければ、1回の発行で継続して使用することができます。
運動療法は、おおむね週に1回以上の頻度で、8週間以上の期間にわたって行うことが基本となります。運動療法を受け始めるときに、処方箋を書いてもらうことを忘れないようにしましょう。

2)医師の経過観察が必要

運動療法は受ける頻度や継続性の要件以外にも、4週間に1度は医師による経過観察が行われることが基本です。
運動療法は、あくまで生活習慣病等の治療の一環として行われるものなので、経過観察の結果が記録されていることも、医療費控除を受けるための重要な要素です。

3)かかりつけの医師や提携医療機関から運動療法実施証明書の確認を受ける

医療費控除の手続きに必要な書類で、かかりつけの医師や提携医療機関から運動療法実施証明書の確認が行われます。
運動療法実施証明書は該当する指定運動療法施設が作成し、運動療法処方箋を発行した医師が確認後、署名なつ印をする書類です。
運動療法実施証明書は医療費控除を受ける際に税務署に提出する重要な書類なので、大切に保管しておきましょう。

確定申告の際、税務署に、施設利用料金の領収書と併せて、「運動療法実施証明書」を提出する

確定申告の時期になったら、対象となる医療費の控除を受けるために必要書類を添付して税務署に提出します。
確定申告の際は、施設利用料金を証明する領収書と併せて、運動療法実施証明書を提出します。
医療費控除が認められれば、翌年の所得税から決められた金額が控除されます。

全国の指定運動療法施設

厚生労働省のホームページには、全国の運動型健康増進施設、温泉利用型健康増進施設、温泉利用プログラム型健康増進施設が一覧としてまとめられています。
指定運動療法施設は、「運動型健康増進施設一覧」のうち「指定」の欄に丸がつけられた施設です。そこで、最寄りの施設を探すことができます。

■厚生労働省「運動型健康増進施設一覧」■
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/undou04/01.html

指定運動療法施設の認定を受けるには

ここからは、指定運動療法施設の運営を検討している事業者に、要件や認定までの期間を解説していきます。
まずは、運営するフィットネスクラブ、医療機関型施設、疾病予防運動施設など、「厚生労働大臣認定 健康増進施設」として認定される必要があります。このうち、厚生労働省が運動療法を行うに適した施設として指定したものが指定運動療法施設です。

日本健康スポーツ連盟へのヒアリング(2021年9月6日時点)によると、厚生労働大臣認定 健康増進施設の認定を受ける際に、最もネックになるのが、次のような施設要件とのことです。

  • 施設内に、有酸素運動および筋力強化運動等の補強運動が安全に行えるトレーニングジムや運動フロアがあり、合わせて150平方メートル以上あること
  • 更衣室や、シャワールームないし浴室があること

この施設要件について、最近では、「敷地が限定される病院内に、指定運動療法施設を併設したい医療機関が増えたことから、『150平方メートル以上』という要件を緩和することが決定している。ただし、緩和される時期については現状では未定」とのことです。

その他、厚生労働大臣認定 健康増進施設の主な要件は次の通りです。

  • 体力測定、運動プログラム提供及び応急処置のための設備の配置
  • 生活指導を行うための設備を備えていること
  • 健康運動指導士及びその他運動指導者等の配置
  • 医療機関と適切な提携関係を有していること
  • 継続的利用者に対する指導を適切に行っていること(健康状態の把握・体力測定運動プログラム)

具体的な施設要件や、認定を受けるための手順については、日本健康スポーツ連盟「健康増進施設認定制度」を参照の上、同連盟に問い合わせるようにしましょう。

指定運動療法施設の要件

厚生労働大臣認定 健康増進施設として認定されたら、さらに次のような要件をクリアすることで、指定運動療法施設の認定を受けることができます。

  • 提携医療機関担当医が日本医師会認定健康スポーツ医である
  • 健康運動実践指導者の配置
  • 運動療法実施にかかる1回ごとの施設利用料金を5000円以内に設定している

厚生労働省によると、2021年7月1日現在、指定運動療法施設は全国に221あります。

指定運動療法施設で指導にあたる健康運動指導士・健康運動実践指導者とは

指定運動療法施設では、健康運動指導士・健康運動実践指導者が運動療法の指導にあたるとされています。
健康運動指導士は、

保健医療関係者と連携しながら、安全で効果的な運動プログラムを作成・調整する者

健康運動実践指導者は、

自ら見本を示せる実技能力と集団に対する運動指導技術に長けた者

を指します。

両者とも決められた講座を受講し、認定試験に合格した健康づくりのプロフェッショナルであり、運動を通じて生活習慣病等の予防や改善の手助けをしてくれます。

指定運動療法施設の認定までにかかる時間

日本健康スポーツ連盟へのヒアリング(2021年9月6日時点)によると、厚生労働大臣認定 健康増進施設の認定までにかかる期間は、「平均6カ月程度」とのことです。申請の前に、日本健康スポーツ連盟との事前協議や施設の現地調査があるためです。

厚生労働大臣認定 健康増進施設の認定を受けた後、指定運動療法施設の申請を出してから認定されるまでは、「平均1カ月程度」とのことです。すでに施設の現地調査などは終えているため、書類上の審査だけで済むからです。

そのため、厚生労働大臣認定 健康増進施設・指定運動療法施設のどちらの認定も取るには、7カ月から1年程度の期間を見ておくとよいでしょう。

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年9月17日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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