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2016年6月20日

猫ブームにより注目される猫マーケットの今

ビジネスチャンス 新規事業 業界動向・市場分析

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猫ブームで広がりを見せる猫マーケット

近年、テレビ番組・CMや雑誌などさまざまなシーンで猫が注目され、猫ブームと呼ばれる現象が起きています。関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算では、猫ブームがもたらす経済効果(ネコノミクス)は総額約2兆3162億円に及んでいます。

この猫ブームにのって、猫に関連するさまざまな商品・サービスが展開されています。猫マーケットの代表的な商品・サービスを分類すると次のようになります。

猫マーケットにある商品・サービス

上記の商品・サービスのうち、「猫付きマンション・シェアハウス」「猫カフェ」「猫島などの観光誘致」などの「猫を飼育する-生体(猫)」の一部と「猫を飼育しない-生体(猫)」は、近年新しく生まれた猫マーケットのポジション(以下「新ポジション」)です。新ポジションの商品・サービスの特徴は、猫の飼育に伴う責任を軽減して(あるいは負わないで)、直接猫と触れることができるという点にあります。

今まで、住環境などの理由で猫を飼いたくても飼えず、本や動画などで猫を見て楽しむことしかできなかった人たちに対しても、直接猫に触れて、間近で愛くるしい姿を見ることができる機会が提供されるようになったことが、猫ブームの裾野を広げる1つの要因と考えられます。

猫付きマンション・シェアハウス

現在、ペットの飼育環境(住環境や飼い主の生活スタイル、少子高齢化など)が変化しており、自分で猫を飼いたくても飼えない人が増えています。そうした中、一時保護やシェアといった形で猫と一緒に暮らすことができる猫付きマンション・シェアハウスといったサービスがあります。

例えば、東京キャットガーディアンは、猫付きマンションや猫付きシェアハウスなどの賃貸物件情報サイト「しっぽ不動産」を運営しています。

しっぽ不動産では、高齢者のペット問題や、多頭飼育崩壊などで行き場をなくした猫を助ける場所として、猫付きマンション・シェアハウスを位置付けており、住人が猫付きマンション・シェアハウスから引っ越す際に、希望があれば(審査の上)猫の譲渡も行っています。

「猫を飼うのが初めてで心配」「高齢のため猫と暮らしたくても最後まで飼えるかが心配」といった、猫を飼いたくても飼えない人のニーズに応えたサービスであると同時に、行き場をなくした猫の愛護活動にもつながり注目されています。

猫カフェ

環境省「猫カフェ実態調査」によると、猫カフェとは第一種動物取扱業のうち、販売業者、貸出業者、展示業者で、成猫(生後1年以上の猫)を、当該成猫が休息できる設備に自由に移動できる状態で展示を行っている業者としています。

実際の猫カフェでは、猫が店内で放し飼いにされており、来店者は、自由に遊ぶ猫を眺めたり、猫と直接触れ合ったりすることができます。

猫カフェ自体は2000年代からありましたが、猫カフェ実態調査の調査対象となった猫カフェの店舗数を見ると、2013年10月末時点の225店舗から、2015年10月末時点では314店舗に増えています。

このように猫カフェが増加する一方で、2016年4月には劣悪な環境で猫を飼育しているなどとして、東京都福祉保健局から業務停止命令が出される猫カフェも出てきています。

猫島などの観光誘致

多数の猫が住んでいる地方の離島に観光客が押し寄せ、今では「猫島」と呼ばれ、観光名所の1つとなっています。現在、宮城県石巻市の田代島、香川県高松市の男木島などが猫島として知られています。SNSなどを使った情報の拡散により、日本人だけでなく、外国人観光客の集客にもつながっているようです。

また、広島県は猫と坂の街として有名な尾道市を対象に、猫の目線で観光地を回ることができるウェブサイト上のサービス「広島キャットストリートビュー -尾道編」を公開しています。広島キャットストリートビューは、その地域の暮らしが息づく路地裏の風景や、商店街などを猫の目線で探索しながら、店舗情報や店舗にいる看板猫の情報などを見ることができる観光ガイドコンテンツとなっています。

猫ブームの明と暗

動画投稿サイトやSNSなどの普及による猫好きコミュニティーが広がりを見せる中で、「猫アプリ(ゲームなど)」「猫本・猫グッズ」などの非生体(被写体など)の商品・サービスに対する人気も高まっています。同時に、本稿で新ポジションとして位置付けた商品・サービスを通じて、猫を飼育していない人でも、気軽に直接猫に触れることができるようになったことで、新たに猫を飼育する人が生まれてくるといった流れとなっています。

こうした好循環が支える現在の猫ブームは、かつての「なめ猫」のような一過性のブームにとどまらない本格的な猫マーケットが創造されているとみることができるかもしれません。

しかし、良いことばかりではありません。例えば、業務停止命令を受けるような猫カフェが出てくるなど、「新ポジション」の商品・サービスの提供者側のモラル低下があります。また、全国の猫島の中には、観光客が自由に餌をやることで、猫の健康や島の環境が脅かされているとして、猫への餌やりを禁止している猫島もあります。

このような状況が広がると、猫マーケット全体の動向に悪影響を与えかねません。そのため、本格的な猫マーケットが創造されているのか判断するには、今しばらく注視する必要があるのかもしれません。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年6月9日時点のものであり、 将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」な ど2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている 。

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