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家族に安心を届ける「見守りサービス」の動向

旬な話題を知りたい 2020年12月4日

確認手段で二分される見守りサービス

離れて暮らす父母や祖父母が無事に生活しているか……。普段、田舎になかなか帰省できない人でも、身内の安否を遠隔から確認できるようにするのが「見守りサービス」です。

身内が暮らす自宅の居間を映像で表示したり、電気やガスなどが定期的に使われているかを確認したりすることで安否を把握できるようにするものが一般的です。見守りサービスによっては、共働き夫婦が子供の帰宅を確認したり、飼っているペットが自宅で無事に過ごしているかを確認したりする用途でも使われています。

すでにさまざまな見守りサービスが登場していますが、最近はIoTを取り入れた見守りサービスが主流です。通信機能を備えた小型のセンサーを至る個所に取り付け、これまでよりも緻密かつ多くの情報を取得できるようにしています。安否確認にとどまらず、体調を崩していないか、病気になっていないかといったささいな異変まで気づけるのが特徴です。

その一方で、「会話する機会をつくりつつ安否を確認してもらいたい」という「人による見守り」のニーズも少なくありません。利用者の代わりに、高齢者宅を訪問するなどして安否確認する見守りサービスも根強い人気があります。

では、具体的にどんな見守りサービスがあるのか。以降で見ていきましょう。

IoTを活用した見守りサービスの動向

1)高齢者向けの見守りサービス

冷蔵庫やトイレのドアなどにセンサーを取り付け、開閉したかどうかを確認できる見守りサービスが登場しています。生活動線上にセンサーを取り付けることで、普段と異なる挙動に気づきやすくします。その他、玄関ドアの開閉を確認したり、照明のオン/オフを把握したりして安否確認する見守りサービスもあります。また、室温をモニタリングして熱中症のリスクがないかを把握しつつ、エアコンのオン/オフも確認できるものもあります。

もっともこうした見守りサービスの多くが、センサー情報を収集するのに無線LANを必要とします。無線LAN環境がない自宅では無線LANの導入費が膨らんでしまう、無線LANの電波が届きにくい場所に取り付けたセンサーから情報を収集できないなど問題が起こりかねません。

そんな中、無線LANを必要としない見守りサービスも登場しています。スマートフォンなどの通信に使われる「SIM」と呼ぶカードを電球に内蔵し、無線LANを経由せずに電球のオン/オフ情報を発信できるようにしています。無線LAN環境がない自宅でも見守りサービスを利用できる他、屋外の倉庫に取り付けた照明など、自宅の無線LANが届きにくい場所でもセンサー情報を収集することができます。電球がいつついた、消えたのかという情報や、電球がつきっぱなしのときも通知するため、異変に早急に気づくことが可能です。

その他、屋外での行動を把握できるようにする見守りサービスもあります。GPSを内蔵したカードを靴底に取り付け、今どこにいるのか、徘徊(はいかい)していないかを確認したり、自動車に専用端末を設置し、安全な運転をしているか、現在どこを走行中かなどを確認したりできるものもあります。

2)介護施設の入居者向けの見守りサービス

多くの高齢者が入居する介護施設用の見守りサービスもあります。介護スタッフが各居室に行って問診したり体温や血圧を測ったりすることによる作業負荷を軽減し、介護現場の効率的な業務を支援します。

居室の壁面やベッドにセンサーを設置し、入居者の生活を見守ります。入居者が部屋にいるか、ベッドで寝ているかといった情報を得られるだけではありません。例えば、壁面に取り付けた赤外線センサーが捉えた入居者のシルエット画像から、倒れていないか、うずくまっていないかを調べられます。ベッドのマット下に取り付けたセンサーから入居者の脈拍や呼吸数も読み取れます。

体温計や血圧計などの機器で測定したデータも、センサー情報などとともに一元管理できるようにしています。入居者の日々の情報を集約することで、入居者の健康状態をいろいろな視点を基に把握できます。また、介護スタッフが巡回したときに記録したデータの記載漏れを防げる他、介護スタッフが交代するときの申し送り事項の抜け漏れ防止、申し送り時間の短縮も見込めます。

IoTに依存しない見守りサービスも

これまで紹介した見守りサービスは、高齢者や施設入居者などを遠隔から確認するものが中心でした。しかし、「直接会って安否を確認してもらいたい」という利用者のニーズも少なくありません。

そこで、郵便物を届ける際、配達員が配達先の住民と会話をするサービスもあります。日本郵便が提供する「みまもり訪問サービス」の場合、郵便局員が定期的に高齢者宅を訪問し、会話を通じて生活状況を確認します。郵便局員はタブレットを使い、「体調」や「食事」「睡眠」などについて聞いた回答を利用者に通知します。

その他、スーパーやコンビニエンスストア、宅配といった生活に密着した場所やサービスは見守りサービスとの相性が良いため、これらに関連する事業者を中心にさまざまな形で見守りサービスは普及することでしょう。

今後は“見守られる対象”が増加する?

最近の見守りサービスは“見守られる”対象が増えています。高齢者や子供の他、ウエアラブル端末を首輪に装着して“愛犬を見守る”サービス、SNSの利用状況を分析して“子供がいじめやトラブルに遭わないように見守る”サービスなども登場しています。

また、独り暮らしの高齢者が入院すると自宅が空き家になってしまうため、その管理を行う“空き家(自宅)を見守る”サービスを展開する不動産会社もあります。国土交通省では、不動産のストックビジネスの拡大を図る方針を示しており、こうした“空き家を見守るサービス”は今後さらに広がっていくのかもしれません。

新しい技術を使ったさまざまなサービスが登場する中、“見守られる側”への配慮を充実させる動きも出てきています。例えば大学などで研究されているのは人の体温などを感知する力に長けた装置で、室内にいる高齢者の体温などを計測し、その変化を見守るというものです。これは、“見守られる側”に「監視されている」という印象を与えず、そっと見守るようなイメージといいます。何かを身に着ける必要がないので、「着け忘れる」心配もないそうです。

高齢者や子供たちの安否確認ができ、家族に安心を届けてくれる見守りサービス。見守る側、見守られる側の両方に優しいサービスが、今後は求められていくのかもしれません。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2020年9月1日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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