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2016年3月31日

伊勢志摩サミットの経済効果。話題のMICEとは?

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伊勢志摩サミットで改めて注目される「MICE」とは?

2016年5月に開催される伊勢志摩サミットは、議題もさることながら、滞在する政府関係者や報道関係者の宿泊や飲食といった開催そのものに伴う経済効果、さらには知名度の向上といった波及効果にも注目が集まっています。

こうした国際会議など、国内外から多くの集客や交流が見込まれるビジネスイベントは、「Meeting(以下「M」)」「Incentive tour(以下「I」)」「Convention/Conference(以下「C」)」「Exhibition/Event(以下「E」)」の頭文字からなる「MICE(マイス)」と総称されます。

MICEの概要と例

MICEの経済効果と政府・行政の取り組み

MICEは、周辺ホテルでの宿泊や飲食といった一般的な観光需要に加え、都市の競争力強化にもつながることから、国や多くの自治体では誘致に努めています。これは、MICEには次のような効果があるためです。

1)一般的な観光需要

個人旅行と同様、一般的な観光需要もMICEによる経済効果として挙げられます。

ただし、個人旅行と異なり、MICEならではの特徴があります。まず、MICEに参加するべく来日するビジネスパーソンは、旅費の大半を企業などが負担しているケースが少なくありません。これにより、自己負担が個人旅行に比べて少なくて済むため、外食や土産物などへの出費に余裕があります。

また、MICEの参加者が政府要人や経営者といったエグゼクティブ、報奨対象者などの場合、利用する宿泊施設や飲食店も高級なものとなり、経済効果も大きくなります。これは、料金が高いことから他の利用者を限定しやすく安全性や快適さを保ちやすい、設備が整っていて安らぎやすい、普段利用していないものを利用できることで報奨の効果を大きくしやすいといったことが背景にあります。

そして、見込まれる来訪客数も多くなりがちです。例えば、比較的人数が少ない「M」や「I」の分野でも、人数が数十人になることは珍しくありません。役職員数が極めて多い多国籍企業や巨大企業であれば、数百人、数千人といった規模もあり得ます。そして、「C」や「E」の分野となると、数千人から数万人になることもあります。参加人数が多くなることで、施設の収容力や安全性の問題から丸ごと貸し切るといったようなケースもあり得ます。

さらに、「見て回る」ことが主になりやすい個人旅行に比べて、1カ所に長期間滞在する傾向があることも、MICEの効果が大きくなりやすい要因として挙げられます。例えば、「M」と「I」の要素を兼ね備えたビジネスイベントをリゾート地で開催し、「初日と2日目は会議、3日目以降はゴルフなどのレジャーを楽しむ」といったプログラムを組むことが考えられます。

2)知名度の向上

「C」や「E」分野のイベントが開催された場合、開催地の知名度向上が期待できます。これは、こうしたイベントに関する報道がなされることに加え、参加者の中には影響力が大きい人が少なくないことから、口コミなどによる波及効果が見込まれるためです。つまり、広報の費用を掛けずに知名度を高められるのです。

また、定期的に同じイベントを開催している場合、「××市は○○で有名な~」といったように、長期的なブランド形成も可能となります。

3)交流の促進と蓄積

MICEの開催によりビジネスパーソンや政府・学術関係者などが来訪すると、それだけ交流の機会も増え、得られる情報も多くなります。また、国際会議や学術大会などに際しては、主催者や参加者によるワークショップが開かれることもあります。そして、商談会や展示会などが開催されれば、最新の技術やサービスに触れる機会もあるでしょう。

こうしたことが積み重なることで、人脈の構築やそれによる事業機会の拡大、知識や経験の蓄積による研究環境の向上やイノベーション創出などが進み、経済が活発化します。そして都市、さらには国の競争力向上につながります。  

4)政府・地方自治体の取り組み

経済効果の高さに注目し、多くの国・都市が経済戦略の中でMICEを重視し、産業振興、イノベーション創出のためのツールとして国際会議や見本市を活用しています。日本においても、観光庁を中心にMICEの誘致に向けた国の取り組みが進められています。

MICEの誘致に向けた国の取り組み

その他、地方自治体の中には、専門の部署や窓口を設け、誘致に力を入れています。例えば、宮崎県では、みやざき観光コンベンション協会を通じ、温暖な気候や豊富な観光資源、さらには過去のMICE誘致・開催実績を生かすべく、MICE開催支援補助などの支援をMICE開催者に提供したり、東京などで誘致活動を行ったりしています。

8年ぶりに日本で開催されるサミット(先進国首脳会議)の経済効果

2016年5月26日から27日にかけて、三重県の伊勢市、鳥羽市、志摩市、南伊勢町から構成され、歴史豊かな伊勢神宮のある「伊勢志摩エリア」において、伊勢志摩サミットが開催されます。日本で先進国首脳会議が開催されるのは、2008年7月の北海道洞爺湖サミット以来8年ぶりとなります。なお、実際には伊勢志摩サミットに前後して外務大臣会合(広島県広島市)など10の関連会合が各地で開催されるため、サミットの経済効果は広い地域に及びます。

伊勢志摩サミットの経済効果

マスメディアなどに取り上げられる効果を、パブリシティー効果として広告費に置き換えた金額が440億円に上るとされています。また、サミット開催に伴う支出や観光客の増加など、直接的な経済効果は1年間で222億~369億円に上ると試算されており、その効果の大きさが分かります。

企業がMICE誘致に取り組む際のポイント

MICEの誘致は、1企業単体では難しい傾向があります。これは、MICEの開催には、「イベントを行うための施設」「宿泊や飲食など、滞在に関わるサービス」「オフビジネスで楽しむレジャー」など、求められているものが多様であり、魅力あるプランを提案する場合は、複数の企業が協力して行う必要があるためです。特に、国際会議や大規模な学術会議の誘致は、信用度の裏付けや警備などにも配慮がいるので、自治体の協力を仰ぐ必要があります。

また、「M」「I」「C」「E」のどの分野に力を入れるか検討し、働き掛けをすることになります。例えば、「M」「I」に力を入れるのであれば、旅行代理店やMICEの手配を専門に行う業者への営業が欠かせません。また、「C」に力を入れるのであれば、業界団体や学会の事務局などに働き掛けることが考えられます。さらに、「E」に力を入れるのであれば、商談会や展示会などを主催している業界団体に加え、そうしたイベントを専門に開催する業者に働き掛けることになります。

なお、いずれの分野に力を入れるにしても、MICE誘致の専用ウェブサイトを自社や誘致協力グループで運用するなどして、MICEの開催場所を探している主催者に情報提供できるようにしましょう。

MICEは誘致に成功すれば地域経済の活性化にもつながるなど、さまざまな経済効果が見込めます。自社や地域が持つ観光資源を整理し、どのようなMICEの提案ができるか考えてみてもよいでしょう。

以上

※上記内容は、本文中に特別なことわりがない限り、2016年3月18日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
日本情報マート

中小企業の頼れる情報源として、経営者の意思決定をサポートするコンテンツを配信。 「開業収支」「業界動向」「朝礼スピーチ」など2000本を超えるコンテンツを有するほか、年間200件以上の市場調査も行っている。現在、50を超える金融機関に情報提供を行っている。

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