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健康経営優良法人2022とは 認定基準・取得メリットを解説

旬な話題を知りたい 2021年10月27日

健康経営優良法人とは、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門により、それぞれ健康経営を実践している優良な企業を、日本健康会議が認定する顕彰制度です。
健康経営優良法人の認定を受けると、企業イメージの向上、優秀な人材の採用、離職率の低下など、さまざまなメリットがあります。

この記事では、健康経営優良法人の認定基準や押さえておきたいポイント、そして「健康経営優良法人2022」の変更点や注意点を分かりやすく解説します。

健康経営優良法人とは

冒頭で紹介した通り、健康経営優良法人とは、健康経営を実践している優良な企業を日本健康会議が認定するものです。評価項目が明確で、それを満たすための取り組みが、そのまま健康経営の実践につながります。
大規模法人部門に認定された企業のうち、健康経営度調査(注)の相対評価により上位500法人が「ホワイト500」に認定されます。
また、健康経営優良法人 2021(中小規模法人部門)から、「健康経営優良法人の中でも優れた法人」かつ「地域において、健康経営の発信を行っている法人」として優良な上位500 法人に対して、新たに「ブライト500」が認定されるようになりました。

(注)健康経営度調査とは、法人の健康経営の取組状況と経年での変化を分析する調査です。大企業だけでなく、中小企業も調査に回答することで健康経営に大きく活用できるというメリットもあります。詳細は、次の記事で分かりやすく紹介しています。

■健康経営度調査とは? 回答方法や調査内容を解説■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/personnel/bp300074/

健康経営優良法人に選定されるメリット

健康経営優良法人に認定されるメリットは、

健康経営を実践していることを社内外へアピールすることにより、優秀な人材を採用することができたり、離職率が低下したりするなど、従業員の定着につながること

です。

また、健康経営優良法人認定のロゴマークを、自社のウェブサイトや名刺に掲載するなどして社内外へアピールすることも可能になります。
経済産業省の資料「健康経営の推進について(令和2年9月)」には、就活生と就職を控えた学生を持つ親に対して行われた、健康経営の認知度および就職先に望む勤務条件等に関する2016年度のアンケート結果が掲載されています。

それによると、将来、どのような企業に就職したいか(就職させたいか)という質問に対し、「従業員の健康や働き方に配慮している」が、就活生の43.8%、就活生の親の49.6%と高い回答率でした。
また、同資料には、健康経営銘柄と健康経営優良法人における離職率に関する調査結果も掲載されており、それによると、健康経営に取り組んでいる企業では離職率が低いことが分かります。

【健康経営銘柄、健康経営優良法人における離職率】

  • 健康経営銘柄2020:2.7%
  • 健康経営優良法人2020:5.1%
  • 健康経営度調査回答企業平均:5.3%
  • 2018年全国平均:11.3%

その他にも、社内コミュニケーションの活性化、従業員の仕事満足度・モチベーションの向上など、健康経営優良法人に認定されることにより様々なメリットがあります。

健康経営銘柄との違いは

経済産業省のもう1つの顕彰制度として、「健康経営銘柄」があります。企業に期待される役割や選定企業の規模を見ると、健康経営優良法人(大規模法人部門)と似ている部分もありますが、両者は明確に異なります。

健康経営銘柄は、

東京証券取引所の上場企業の中から、健康経営に優れた取り組みを実践している企業を経済産業省と東京証券取引所が共同で選定するもの

です。
健康経営優良法人(大規模法人部門)は、業種ごとに定められた一定規模以上の企業が申請できますが、健康経営銘柄は東京証券取引所の上場企業のみです。
健康経営銘柄に認定されると、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に対し、魅力ある企業として紹介されます。
また、選定基準も、健康経営銘柄は「健康経営度が上位20%」「ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上」など、健康経営優良法人に比べて高いハードルが設定されています。

■健康経営銘柄とは? 選定基準と健康経営優良法人との違いを解説■
https://www.ganbarusite-daido.jp/report/strengthen/bp400052/

健康経営に取り組む場合は、狭き門である健康経営銘柄ではなく、まずは健康経営優良法人を目指すのが一般的です。以降では、健康経営優良法人の詳しい認定基準を紹介します。

健康経営優良法人の認定基準

健康経営優良法人の認定基準は、主に次の5つの評価項目で構成されています。

  • 経営理念(経営者の自覚)
  • 組織体制
  • 制度・施策実行
  • 評価・改善
  • 法令遵守・リスクマネジメント(自主申告)

大規模法人部門と中小規模法人部門では、それぞれ認定要件が異なるため、詳しくは経産省のウェブサイトを確認しておきましょう。
認定要件のポイントとしては、認定のために絶対に満たしておかなければならない必須項目と、いくつかの項目のうち何割かを満たす項目に分かれます。
大規模法人部門・中小規模法人部門いずれも、「経営理念(経営者の自覚)」「組織体制」が必須項目となっており、健康経営に取り組む上で、経営者などのトップ層が積極的に取り組むことを社内外に発信し、リーダーシップを発揮して組織体制を整備することが求められていることが分かります。

(大規模法人部門の必須項目)

  • 経営理念・方針:健康経営の方針等の社内外への発信
  • 組織体制:健康づくり責任者の役職、産業医・保健師の関与、健保組合等保険者との連携、健保組合等保険者との協議・連携

(中小企業法人部門の必須項目)

  • 経営理念・方針:健康宣言の社内外への発信・経営者自身の健診受診
  • 組織体制:健康づくり担当者の設置、(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供

その他にも、必須項目となっているものはありますので、詳しくは経産省のウェブサイトを確認しておきましょう。

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定を目指すときのポイント

1)毎年、更新の申請が必要

健康経営優良法人の認定は自動更新されないため、継続的に認定を受けるためには毎年申請しなければならず、結果的にそれが健康経営のPDCAを回すことにつながります。それを継続することによって、従業員の健康管理を経営的な視点で考えることが当たり前になっていくでしょう。

2)健康宣言事業への参加が必須で、「近道」でもある

中小規模法人の申請をするためには、加入している保険者(協会けんぽや健康保険組合等)が実施している健康宣言事業に参加しなければならず、その参加方法等は保険者によって異なる場合があるため、加入している保険者にあらかじめ確認するようにします。
参考までに、東京都の保険者が実施している健康宣言事業に参加している企業の場合は、健康企業宣言をするだけでは足りず、「銀の認定」を受けなければ健康経営優良法人の申請ができないので注意が必要です。
銀の認定を受けるためには少なくとも6カ月以上の取り組み期間が必要であるため、健康経営優良法人の申請をするためには、早めに取り組みを開始する必要があります。
銀の認定を受けるためにはさまざまな取り組みが必要になりますが、銀の認定の取組分野と健康経営優良法人の評価項目は、重複する部分がありますので、銀の認定を受けると健康経営優良法人の認定に近づくことにもなります。

3)認定要件は「必要項目数プラス1項目」を目指す

健康経営優良法人認定の申請をする際には、「必須」とされている認定要件を満たした上で、それ以外の選択項目の認定要件も満たさなければなりません。その際に可能であれば、必要項目数プラス1項目を目指して取り組むことをお勧めします。
例えば、(小項目の)健康経営の実践に向けた土台づくりであれば、「④管理職・従業員への教育」から「⑦私病等に関する両立支援の取り組み」のうち、少なくとも1項目を満たせば申請可能ですが、2項目以上を満たすようにします。
仮に申請書の記載誤りなどで1項目を満たせなくても、他の1項目を満たすことにより、当該項目の要件を満たすことができます。もしも必要項目数プラス1項目を目指すことが難しい場合は、必要項目数を確実に満たす必要があります。
なお、認定要件は毎年少しずつ見直されているため、申請する際には当該年度の要件を必ず確認するようにしてください。

健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)の変更点・注意点

2021年8月30日に申請が開始された健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)は、申請方法が完全電子化された他、同2021と比較して、主に以下の点が変更されました。

  • 「健康経営の取り組みに対する評価・改善」が必須化
  • 「喫煙率低下に向けた取り組み」を新たな評価項目として選択項目に追加
  • ブライト500については、自社からの発信を重視するウエイトに変更

その他にも、認定要件の必要項目数が増え、ブライト500の認定を受けるための必要項目数も12項目以上から13項目以上に変更されるなど、2021よりも厳しい要件になりました。
また、2021の申請については、新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していたものの実施できなかった取り組みに対する救済措置がありましたが、国内での感染拡大から1年以上が経過し、健康経営に取り組む法人の多くがコロナ下でも代替手段により取組を継続していることから2022は救済措置が撤廃され、申請受付期間の延長もなくなりました。
そのため、コロナの影響で予定していた健診や具体的施策(イベント等)を実施できなかった場合は、当該評価項目の要件を満たすことができない点に注意が必要です。

健康経営優良法人2022の認定を受けようとする場合、まずは認定要件のおおまかな評価項目を確認し、併せて認定申請書に記載されている設置趣旨および適合基準等を確認するようにしてください。
なお、健康経営優良法人2021までは認定基準解説書に設置趣旨および適合基準等が記載されていましたが、2022から認定申請書に記載されるようになりましたので、認定申請書を一読して、具体的にどのように取り組めば良いかをイメージしてみましょう。
その際には、複数の適合基準をすべて満たさなければならないのか、それともいずれか一つを満たせば良いのか、しっかり確認するようにしてください。
例えば、2022から追加された「喫煙率低下に向けた取り組み」であれば、喫煙者が現時点でいない場合であっても、その状態を維持するために、以下のいずれかの取り組みを行っていることが認定要件の適合条件とされ、特に行っていない場合は不適合とされます。

  1. たばこの健康影響についての教育・研修を行っている
  2. 喫煙率を下げることを目的とした継続的な保健指導を行っている
  3. 禁煙外来治療費を補助している
  4. 禁煙補助剤の無償支給や購入費支給を行っている
  5. 禁煙達成者に対する表彰やインセンティブの付与を行っている
  6. 非喫煙者に対する継続的なインセンティブの付与を行っている(例:手当や有給の特別休暇・休憩時間等)
  7. 喫煙に関する社内ルールを整備している(例:就業時間中禁煙、喫煙可能な時間の制限等)
  8. 禁煙・禁煙継続を促す社内イベントを実施している(例:禁煙月間、禁煙デー等)
  9. 禁煙・禁煙継続を促すアプリを提供している

■健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定申請書■
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/chusho2022_shinseisho_sample.pdf

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以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年9月24日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

執筆者
山岡 洋秋

ヒューマントレジャーサポートオフィス 代表
「特定社会保険労務士・健康経営エキスパートアドバイザー」
東北電力(株)にて、営業・人事・労務経験を経て社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、大手企業の労務顧問を担当し、平成20年7月にヒューマントレジャーサポートオフィスを設立。
大企業と中小企業の勤務経験を活かし、現在はクライアントの健康経営をサポートし、PDCAを回しながら健康経営優良法人認定に向けて専門家との橋渡しも行っている。
東京都社会保険労務士会:働き方改革・健康経営特別委員会健康経営推進部会委員

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